
ウォーラー理事、ステーブルコインの重要性を強調
FRB(連邦準備制度理事会)のクリストファー・ウォーラー理事は2025年9月29日、ドイツ・フランクフルトで開催された国際決済会議の講演で「ステーブルコインがアメリカの決済の未来の鍵となる」との見解を示しました。
この講演でウォーラー理事は、ステーブルコインについて「民間による新たな通貨形態であり、消費者が安全で低リスクな資産と認める限り、既存の支払い手段と共存するだろう」と説明しました。
また、ウォーラー理事はステーブルコインを市場の選択肢の一つとして位置づけ、需要に応じて利便性が高まると評価しています。
同理事は7月の別の講演でも「ステーブルコインは競争を促進し、支払いコストを引き下げる可能性がある」と述べており、こうした動きが米ドル紙幣の需要にも影響を与える可能性があると指摘しています。
FRB利下げで市場が強気転換か
FRB理事、ステーブルコインの市場拡大に前向きな姿勢を示す
ステーブルコインがもたらす低コスト決済の可能性
ウォーラー理事は講演で、ブロックチェーン技術などのイノベーションが支払いコストを低減できる可能性を指摘し「ステーブルコインが消費者や企業にとって低コストな選択肢となるなら、私は全面的に賛成だ」と強調しました。
実際、米国外では米ドル連動型ステーブルコインが銀行サービスの利用が難しい国・地域で魅力的な選択肢となっていると述べています。
GENIUS法が示すステーブルコイン規制と安全性の確保
また同理事は、支払い型ステーブルコインは必ず法定通貨と同等の安全な資産で1対1に裏付けられ、利用者は常に元本保証の形で換金可能であると説明しました。
こうした利用者保護の前提を踏まえ、適切な規制が整備されれば、ステーブルコインは安全性や金融安定上の懸念をクリアしながら市場で拡大していく可能性があると述べています。
また、同理事は、こうした規制整備の枠組みの中で技術革新は政府ではなく民間部門が主導すべきだと強調し、FRBは決済インフラの研究や業界会議を通じて企業と連携しながら新技術の実用化を支援する方針も示しました。
米国で初のステーブルコイン規制が成立
FRBが描くステーブルコインとDeFiの未来像
FRBはこうした取り組みの一環として、2025年10月21日に決済イノベーション会議を開催すると発表しました。同会議では、ステーブルコインや分散型金融(DeFi)、トークン化などが議題となり、最新の技術動向や市場の課題について議論される予定です。
こうした動きを受け、7月に成立したステーブルコイン規制「GENIUS法」を背景に、9月にはTether(テザー)社が米国向けステーブルコイン「USA₮」の発行計画を発表しました。
このような法整備や企業の動向を踏まえ、ウォーラー理事らFRB関係者は、今後も新技術の研究を継続しつつ、業界と連携して決済システムの安全性と効率性を高める方針を示しています。
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Source:FRB公式声明
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







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