ヴァンエックCEO「Xなどのスーパーアプリが伝統金融の脅威に」仮想通貨主導の決済革命

ステーブルコイン普及が伝統金融に圧力

大手資産運用会社VanEck(ヴァンエック)のCEOヤン・ヴァン・エック氏は2025年7月19日、ロビンフッドやクラーケン、X(旧Twitter)といったステーブルコインに対応する「スーパーアプリ」が、伝統的な金融機関の決済システムに影響を及ぼし始めているとの見解を示しました。

ヴァン・エック氏は米CNBCのインタビューで、ステーブルコイン決済はVisaやMastercardなど手数料が約3%かかる決済仲介業者を介さないため、コスト削減につながると指摘しました。

また、スーパーアプリは既存の決済手段に代わる新たな選択肢となる可能性があると述べています。

さらに同氏は、ステーブルコイン決済の普及が既存の決済システムにコスト面での圧力を与えるとした上で「クラーケンやロビンフッド、Xなどを皮切りに、今後は多くのスーパーアプリが登場するだろう」と語っています。

スーパーアプリとは?ロビンフッドやXが進める決済革命

スーパーアプリとは、金融や決済、通信、ショッピングなどの複数機能を一つのアプリに集約した、統合型のサービスプラットフォームです。

東南アジアで展開する配車アプリ「Grab」がその代表例で、ユーザーはアプリを切り替えることなく、送金・支払い・予約・通信など複数のサービスを一括で利用可能となっています。

現在では、ロビンフッドやXもスーパーアプリ化を推進しており、従来の金融アプリとは異なるユーザー体験を提供する新たな競合プレイヤーとして注目を集めています。

仮想通貨とスーパーアプリが変える決済の未来

仮想通貨がもたらすコスト革命の波

ヴァン・エック氏が指摘する「コスト面の圧力」とは、クレジットカード網に象徴される従来型の決済インフラにおいて、高額な手数料構造が見直される可能性を示唆しています。

米投資アプリ大手ロビンフッドのブラッド・テネフCEOも、2024年のCNBC出演時に「仮想通貨ビジネスの運営コストは、伝統的な金融サービスと比較して桁違いに安価である」との見解を示しています。

ブロックチェーン技術の活用により取引コストが大幅に削減されることで、仮想通貨プラットフォームは従来型金融機関に対する競争力を高めつつあります。

こうした技術革新にフィンテック企業や仮想通貨取引所が参入することで、これまでカード会社が独占してきた手数料ビジネスに新たな競争環境が生まれると考えられています。

ヴァンエックCEOが見るステーブルコインの未来

ヴァン・エック氏は市場動向にも触れ、ステーブルコイン領域においては、米Circle(サークル)社の動きが堅調に推移していると述べています。

2025年6月に上場したCircle社の株価は上昇を続けており、投資家は将来の決済インフラの変革を見越した動きを取っていると分析しています。

一方で「これらは現時点の既存勢力に過ぎず、今後はさらに多くの競合がこの分野に参入してくる」との見通しも示されており、新興プレイヤーの台頭が注目されています。

金融機関の収益構造に変化が生じるまでには「数四半期はかかる」としながらも、市場はすでに将来的な変化を織り込みつつあるとヴァン・エック氏は指摘しています。

伝統金融機関が迫られる仮想通貨対応の決断

こうした市場の変化を受けて、伝統的な金融機関は新たな競合との競争に備え、仮想通貨技術を活用したサービス展開を模索する必要性が高まっています

今後、規制の整備や技術の進化に伴い、銀行やカード会社が仮想通貨にどう対応していくかが、業界全体の重要な関心事として注視されています。

仮想通貨決済に動くテック・小売業界

近年では、大手テクノロジー企業や小売各社も、仮想通貨による決済手段の導入に向けた動きを本格化させています。

UberやShopifyがステーブルコイン活用へ

配車サービス大手Uberのダラ・コスロシャヒCEOは、2025年6月に開催された会議において、ステーブルコインを活用した国際送金コストの削減策を検討していることを明らかにしました。

さらに同氏は、将来的にビットコイン(BTC)などの仮想通貨による支払い受け入れも選択肢から除外していないと示唆しており、仮想通貨の活用を視野に入れた方針を示しました。

また、世界的ECプラットフォームであるShopify(ショッピファイ)は、販売者および消費者向けにステーブルコインによる決済オプションの提供を2023年に開始しており、迅速かつ低コストな支払い手段として関心を集めています。

PayPalとXが進める仮想通貨決済インフラ

フィンテック大手のPayPalは2023年8月、米ドルと連動した独自ステーブルコイン「PayPal USD」の発行を開始し、仮想通貨による決済および送金分野への本格的な参入を果たしました。

同社は主要な金融テクノロジー企業の一角として仮想通貨インフラの整備を推進しており、その動向は業界全体にも波及効果を及ぼしています。

さらに、X(旧Twitter)も決済分野での事業展開を本格化させており、イーロン・マスク氏率いる同社は、独自のデジタル送金サービス「X Money(エックスマネー)」を立ち上げる計画を進めています。

X Moneyはウォレット機能とデビットカードを備え、ユーザー同士のP2P送金や即時の入出金に対応する予定であり、複数州での送金業者ライセンス取得やVisaとの提携も進められています。

X Moneyの正式なリリースは2025年後半と見込まれており、同サービスはマスク氏が構想する「何でもできるアプリ(Everything App)」の中核機能として開発が進められています。

既存のSNSに決済機能と仮想通貨ウォレットを統合する動きは、スーパーアプリが金融領域に大きな変革をもたらす可能性を示す象徴的な取り組みとされています。

仮想通貨とスーパーアプリの融合が進む中、決済インフラの主導権を巡る金融業界の勢力図は、今後さらに大きく塗り替えられていくと見られています。

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:CNBCインタビュー
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

コメント

タイトルとURLをコピーしました