マスターカードが評価「GENIUS法はステーブルコイン規制の転換点」仮想通貨市場に明確なルール

マスターカード「仮想通貨の信頼性向上」

決済大手Mastercard(マスターカード)は2025年7月17日、米国で初めてステーブルコインに明確な規制枠組みを提供する「GENIUS法」は、仮想通貨の信頼性と透明性を高める重要な転換点になるとの見解を示しました。

同法案は米上下院で可決・成立し、トランプ大統領が7月18日に署名した米国初の連邦仮想通貨規制法で、ドルに連動するステーブルコインに対し、初めて包括的な規制の枠組みを定めた内容となっています。

GENIUS法では、銀行などの厳格に規制された組織が、十分な準備金の保有や毎月の情報開示などの要件を満たすことを条件に、ドル連動型ステーブルコインの発行を認めています。こうした制度設計により、市場の透明性が高まり、利用者の保護につながると期待されています。

マスターカードは、この法律の制定によって仮想通貨業界に明確なルールが整備されることで信頼性が高まり、ステーブルコイン市場の健全な成長と本格的な普及が促進される可能性があると強調しました。

マスターカードが示すステーブルコインの転換点

マスターカード幹部が語るステーブルコイン法案の意義

マスターカードのグローバル政策責任者であるジェシー・マクウォーターズ氏は、GENIUS法案の可決について「ステーブルコインは今まさに転換点にあり、米国議会の可決は仮想通貨における新時代の規制の明確性と自信を示すものだ」と述べ、規制環境の進展を歓迎しました。

同氏は、欧州連合(EU)で施行された包括的規制枠組み「MiCA法」や、香港・シンガポール・アラブ首長国連邦(UAE)などで進む規制整備の動きを挙げ、これらが「イノベーションの促進と信頼の強化」を両立させる国際的な共通基盤の形成につながっていると強調しています。

マスターカードは「責任ある成長を可能にし、選択肢を拡大し、実世界の利益を引き出す強力で明確な規制を支持する」との立場を示しており、今回の米国における法整備もこうした方針に沿うものだと評価しています。

ステーブルコイン普及に必要な信頼と安全性

一方でマクウォーターズ氏は、ステーブルコインがニッチな存在から主流の決済手段へと広がるためには「ユーザー保護や紛争解決の仕組みが整い、国境やプラットフォームを超えて機能する信頼性の高いシステム」に統合される必要があると指摘しました。

そのうえで同氏は「それを実現するのがマスターカードの役割だ」と述べ、自社が数十年にわたり信頼性の高い決済ネットワークを構築してきたことに言及しました。また、約10年前からは同様の知見を仮想通貨貨分野にも展開しているとしています。

マスターカードが長年進める仮想通貨戦略

マスターカードは、こうした転換点を見据えて早くから準備を進めてきました。仮想通貨業界や伝統的な金融機関との連携を通じ、ステーブルコインなどの仮想通貨が既存の決済システムを補完・強化する方法を模索しています。

同社は、安全で責任ある拡大を実現するためのツール開発や、パートナーシップの形成、標準化の取り組みに継続的な投資を行ってきました。

具体例として「マスターカードマルチトークンネットワーク(MTN)」や「Mastercard Crypto Credential」などを挙げており、これらを通じてコンプライアンス重視の決済インフラの構築を進めています。

安全な決済のためのグローバル連携を推進

こうした取り組みにより、ステーブルコインの決済プロセスにおける安全性や規制遵守の確保が進められています。

その一方で、柔軟性やプログラム可能性といった特性を損なうことなく、システム全体に信頼性を組み込む仕組みが整えられつつあります。

さらにマスターカードは、各国政府や仮想通貨企業、金融機関、テクノロジー企業といった「グローバルなパートナーネットワーク」を構築し、ステーブルコインの今後の普及に向けて共に方向性を模索していることも明らかにしました。

マスターカードが見据えるデジタル経済の未来

マクウォーターズ氏は「GENIUS法やMiCAなどの新たな規制枠組みによって、より多くのイノベーションに満ちた未来が開かれる」と述べました。

そのうえで「マスターカードはこの扉をくぐり、インフラ構築や標準化、パートナーシップの推進を通じて次世代のデジタルマネー時代を定義していく」と語り、ステーブルコインの進化に強い意欲を示しています。

業界では同法成立を「仮想通貨業界にとって画期的な一歩」と歓迎する声が相次いでおり、規制の明確化によって信頼性が高まったステーブルコインが今後さらに主流の決済手段として浸透していくことが期待されています。

マスターカード、仮想通貨決済の実用化を加速

ステーブルコイン決済を世界展開へ

マスターカードは、規制対応だけでなく、実際のサービス提供の面でもステーブルコインを含む仮想通貨決済の導入を積極的に展開しています。

2025年4月28日、マスターカードは世界中の加盟店ネットワークにおいて、ステーブルコインによる仮想通貨決済が可能になることを発表しました。

この取り組みにより、利用者は自身の仮想通貨ウォレットから直接ステーブルコインを利用して、実店舗やオンライン加盟店で支払いを行えるようになります。一方、加盟店側もUSDCなどの米ドル連動型ステーブルコインで代金を受け取ることが可能になります。

OKX・Circle・Nuveiとの連携で決済網を拡張

この新たな決済システムを実現するため、マスターカードは大手仮想通貨取引所のOKX(オーケーエックス)や決済企業Nuvei(ヌーヴェイ)、ステーブルコイン発行元のCircle(サークル)社と提携しました。

OKXとの提携では、ユーザーが保有するステーブルコインを世界中のマスターカード加盟店(1億5,000万店以上)で日常的に利用できる「OKXカード」が発行される予定で、ウォレット内の仮想通貨を従来のカード決済と同様に使えるようになります。

また、NuveiおよびCircleとの協業により、加盟店はUSDCなどのステーブルコインで直接代金を受け取れる選択肢が提供されます。さらに、仲介業者を介さず、ウォレットからの支払いが法定通貨へ自動的に変換される仕組みの導入も進められています。

これらのソリューションにより、ユーザーと加盟店の双方が「ウォレットから店舗決済まで」の流れをシームレスに体験できる仮想通貨決済の環境が整いつつあります。

マスターカード連携のデビットカードや新規サービスの展開

マスターカードのネットワークを活用した仮想通貨対応カードは次々と増加しており、2024年には自社管理型ウォレット内の仮想通貨を直接利用できるデビットカード「Spend」をMercuryo社が発表しました。

2023年には、人気のウォレットMetaMask(メタマスク)が「MetaMask Card」の提供を発表しました。これにより、保有する仮想通貨をマスターカード加盟店で直接使用できるサービスの選択肢がさらに広がっています。

金融機関向け仮想通貨サービスも提供

マスターカードは、自社サービスとして「Crypto Credential」によるブロックチェーン上の送金簡素化や「Crypto Source」を通じた金融機関向けの仮想通貨カストディ・売買サービス提供など、複数の分野で仮想通貨関連事業を展開しています。

同社は「今後も信頼性の高いネットワークとパートナーシップを活用し、仮想通貨と従来の金融システムをつなぐ橋渡し役を担っていく」との方針を示しており、規制と技術の両面から仮想通貨の社会定着を後押しする姿勢です。

マスターカードをはじめとするグローバル企業の取り組みは、仮想通貨の信頼性向上と実用化を加速させる原動力となりつつあります。

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Source:Mastercard公式発表
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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