UAE当局、TONのゴールデンビザ発表を公式否定|仮想通貨経由の取得は認めず

UAE当局、TONのビザ申請発表を全面否定

アラブ首長国連邦(UAE)のICP、SCA、VARAは2025年7月7日、TON財団が発表した「UAEの10年間有効なゴールデンビザが発行される」との主張に対し、これを否定する共同声明を発表しました。

TON財団は、メッセージングアプリ「Telegram」から誕生したブロックチェーンプロジェクト「The Open Network(TON)」を支援する組織です。

当局は、ゴールデンビザは不動産投資家や起業家などに限定して発給される制度であり、仮想通貨を保有していることは対象条件に含まれないと明言しています。

加えて、ドバイの規制機関であるVARAは声明の中で、TONは同局からライセンスを取得しておらず、規制の対象にも含まれていないことを明らかにしました。

ゴールデンビザを巡るTONとUAEの食い違い

TONが発表したビザ取得の条件

TON財団は7月5日、独自のステーキング制度を通じて、UAEの10年間有効なゴールデンビザ取得を支援する取り組みを開始すると発表しました。

公式サイトによれば、申請者は10万ドル(約1,440万円)相当のトンコイン(TON)を3年間ステーキングし、加えて3万5,000ドル(約505万円)の処理手数料を支払う必要があります。

TON財団によると、ビザの発行には約7週間を要し、ステーキング期間中も仮想通貨資産は申請者自身で管理できるとされています。

さらに、取得する10年ビザは、配偶者や子供、両親といった家族にも追加費用なしで適用されるとされています。

CZ氏「矛盾した情報がある」

この発表を受け、仮想通貨(暗号資産)業界の関係者からは懐疑的な声が上がりました。

仮想通貨取引所Binance(バイナンス)の共同創業者であるチャンポン・ジャオ(CZ)氏は、X(旧Twitter)上で「これは本当なのか?」と疑問を呈しました。

同氏は「本当なら素晴らしいが、現時点では矛盾する情報が確認されている」とコメントし、UAE政府の公式サイトでは同様の内容が確認できないとも指摘しています。

これは本当なのでしょうか?もし本当なら、とても素晴らしい話ですよね。

ですが、これまでのところ矛盾する情報を得ています。(後略)

さらに、米投資ファンドSigil Partnersのジョー・ヘッジホッグ氏もX上で、「第三者のサービス提供者がTONを利用して顧客のビザ取得を手助けしているだけだ」とコメントしました。

その上で、今回のプログラムは政府の認可を受けたものではなく、民間主導の取り組みである可能性に言及しました。

UAE当局、TON発表を公式に否定

こうした議論が拡大する中、UAE当局は政府の公式通信社「WAM」を通じて前述の共同声明を発表し、仮想通貨保有者を対象としたゴールデンビザの発給を明確に否定しました。

声明では改めて、ゴールデンビザの対象分野に仮想通貨投資は含まれていないと強調されました。あわせて、仮想通貨への投資は別の規制体系に該当し、ビザ取得の資格要件とは無関係であると説明されています。

当局は利用者に対し、誤情報や詐欺を回避するためにも、公式な情報源のみを参照するよう強く促しており、ライセンスを取得していない企業による宣伝に対しては、十分な警戒を呼びかけています。

仮想通貨の法整備で注目されるUAE

一方でUAE(アラブ首長国連邦)は近年、ブロックチェーンや仮想通貨分野において世界的なハブとなることを目指し、積極的な政策展開を進めています。

2025年6月にはドバイ金融サービス局(DFSA)が、Ripple社の米ドル連動型ステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」を公式に認可し、ドバイ国際金融センター(DIFC)内での利用が可能となりました。

さらに同年5月には、ドバイの仮想通貨規制当局(VARA)が、RWA(現実資産)のトークン化を含むガイドラインの更新を発表しました。 このガイドラインでは、不動産資産のトークン化に関する発行や取引の枠組みが明示されています。

こうした取り組みを背景に、UAEは分散型金融(DeFi)Web3関連事業を含む幅広い企業の誘致を進めており、実際に進出事例も増加しています。

ドバイの経済特区であるDMCC(ドバイ・マルチ商品センター)フリーゾーンには、すでに650社を超えるブロックチェーン・仮想通貨関連企業が集積しています。さらに、DIFCやOne Centralといった主要ビジネスエリアにも、海外企業の進出が続いています。

UAEは仮想通貨規制の厳格化とビジネス環境の整備を両立させる姿勢を示しており、誤解を招く情報の拡散には引き続き注意を呼びかけています。今後も、投資家には信頼性の高い公式情報に基づいた慎重な判断が必要となります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.25 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:UAE公式通信社「WAM」発表
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

コメント

タイトルとURLをコピーしました