ロシア国営企業、ルーブル連動ステーブルコイン発行と決済プラットフォーム立ち上げへ

ロステック、ルーブル連動ステーブルコインを発行へ

2025年7月3日、ロシア国営の防衛・技術企業ロステックが、ルーブルに連動した独自のステーブルコイン「RUBx」を発行し、年内に決済プラットフォーム「RT-Pay」を立ち上げる計画であることが明らかになりました。

ロシアの国営通信社「TASS」の報道によると、RUBxは1トークン=1ルーブルの価値で設計されており、各トークンはルーブル建て債務を担保として発行される仕組みです。

このトークンの発行システムはロシアの現行法に準拠して構築されており、ロステックが唯一の発行主体として管理・運営を担うと伝えられています。

また、決済プラットフォーム「RT-Pay」はロシア国内の銀行インフラと統合される予定で、企業や個人がデジタル形式での決済を行い、外部ウォレットやスマートコントラクトと連携可能な設計が採用される見込みです。

RUBxトークンはTron(トロン)ブロックチェーン上で発行され、そのソースコードはGitHubで公開される予定となっています。さらに、セキュリティ面ではブロックチェーン監査企業CertiKによる監査が計画されています。

ステーブルコイン「RUBx」導入で独自決済圏を構築へ

ロステックは2022年6月以降、米国および欧州の経済制裁下に置かれており、RUBxの発行は国際送金ネットワーク「SWIFT」の迂回を目的とした戦略の一部であるとの見方も示されています。

ロシア中央銀行も、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)である「デジタルルーブル」の開発において、SWIFTからの脱却を主要な目的として掲げています。

Tronブロックチェーン活用による国際取引対応戦略

RUBxの発行基盤としてTronブロックチェーンが採用された点にも関心が寄せられています。

Tronネットワークは、低コストかつ高速なトランザクション処理を特徴としており、テザー(USDT)をはじめとする主要ステーブルコインの発行基盤としても広く採用されています。

USDTの総流通量の過半数がTronネットワーク上で流通しているというデータもあり、RUBxに同ネットワークが採用された背景には、こうした手数料の低さや高速処理といった特性が影響していると考えられています。

ロシア議会、仮想通貨決済を合法化

2024年7月、ロシア議会は国際貿易における仮想通貨決済を正式に認める法律を可決しました。これにより、企業が制裁回避の手段として仮想通貨を活用できる法的枠組みが整えられました。

同年12月には、アントン・シルアノフ財務相が「国内で採掘されたビットコインを対外貿易に使用する取引はすでに始まっており、今後さらに拡大していく」と発言し、政府として仮想通貨の対外活用を推進する姿勢を示しました。

中銀発行のCBDC導入計画に遅れ

一方でロシア中央銀行は独自のデジタル通貨(CBDC)であるデジタルルーブルの開発も進めています。

デジタルルーブルの導入時期について、当初は2025年7月が予定されていましたが、ロシア中央銀行はこれを2026年秋以降に延期する方針を明らかにしています。

仮想通貨を巡るロシアの最新動向

原油貿易における仮想通貨決済

2025年3月、ロイター通信は、ロシアの石油企業が中国やインドとの原油取引において、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)、ステーブルコインなどを決済手段として活用していると報じました。

企業は人民元やインドルピーで受け取った代金を一度仮想通貨に変換し、最終的にルーブルに両替する形式を採用しており、これは米欧による経済制裁を回避する手段の一つと見なされています。

こうした仮想通貨による決済は、ロシアの年間約1,920億ドル(約27.7兆円)規模に及ぶ石油貿易全体の中では、まだわずかな比率にとどまっていますが、今後の拡大が見込まれていると報告されています。

農業分野における仮想通貨の導入検討

2025年5月には、国営のロシア農業銀行が、穀物輸出における新たな決済手段として仮想通貨の導入を検討し、中央銀行と協議していることが明らかになりました。

同行のイリーナ・ジャチキナ第一副総裁は、制裁下において仮想通貨が「実用的な代替手段になり得る」との見解を示しており、現在、穀物輸出での活用が具体的に検討されています。

投資商品提供とマイニング規制の動き

ロシア最大手銀行ズベルバンクやモスクワ証券取引所は、ビットコインに連動する金融商品の提供を相次いで開始し、仮想通貨関連サービスの拡充を進めています。

一方でロシア政府は、2025年から2031年にかけて国内の一部地域における仮想通貨マイニングを禁止する方針を示しています。

このように、ロシア国内では仮想通貨の導入促進と規制強化の両面で動きが活発化しており、政府主導によるデジタル経済戦略の推進が加速しています。

今後もロシアにおける仮想通貨政策の動向と、ステーブルコイン「RUBx」を含むデジタル通貨インフラの展開には、国際社会からの注目が集まると見られます。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.51 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:ロシア国営通信社「TASS」報道
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

コメント

タイトルとURLをコピーしました