ZKsync、Ethereumブロックを35秒で証明する「Airbender」発表

ZKsyncが新たなゼロ知識証明システム「Airbender」を発表

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2ネットワーク「ZKsync」の開発元である「マターラボ(Matter Labs)」が、新たな暗号学的証明器の「エアベンダー(Airbender)」を6月25日に発表した。同証明器は、単一のGPUでイーサリアムブロックの証明を35秒で完了できるという。

証明器は、ゼロ知識証明を必要とするレイヤー2にとって重要なコンポーネントで、ベースレイヤーブロックチェーンに投稿されるゼロ知識証明を生成し、2つのチェーンを結び付けてセキュリティを確保する重要な役割を担う。ZKsyncチームは、「エアベンダー」が同種のシステムの中で最も高速であり、競合他社のベンチマークを上回る性能を示していると主張している。

同証明器は、オープンソースのゼロ知識仮想マシン(zkVM)で、新しいプログラミングフレームワーク「RISC-V」をベースにしている。なおイーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、現在のEVM(イーサリアム仮想マシン)を「RISC-V」で置き換えることでブロックチェーンがより効率的になると提案している。

また「エアベンダー」は、高性能GPUの「H100」で標準化されたベンチマークにおいて約21.8MHzのベース証明速度を達成し、既存の証明器である「SP1 Turbo」の3.45MHz、RiscZeroの1.1MHzを大幅に上回ったとのこと。また「エアベンダー」は、最も近い競合他社のシステムと比較しても約6倍の速度を実現しているという。

この高速化により取引手数料の大幅削減が可能になることで、「マイクロペイメント、高頻度取引、分散型ソーシャルメディアなどの重要なユースケースに不可欠な、セント未満の手数料領域に入っている」と「マターラボ」の共同創設者アレックス・グルチョウスキー(Alex Gluchowski)氏は語っている。

また、より高速な証明により、より迅速なファイナリティ、より安価なアプリ、そして大規模なGPUファームだけでなく、どこでも証明を生成できる能力が解放されるという。

「エアベンダー」により、ZKsyncチェーンでの証明コストは転送あたりわずか0.0001ドルまで削減され、エラスティックネットワーク全体のアプリに意味のある節約とパフォーマンス向上をもたらすという。ZKsync Era、Abstract Chain、Sophon、Memento、LC、GRVTなどのZKsyncチェーンが今後証明システムとして「エアベンダー」を使用する予定だ。

同プロジェクトの全ての部分は無料オープンソース(MIT/Apache)としてリリースされており、現在はアーリーベータ段階で内部監査が完了している。「マターラボ」は、開発者が新しいプルーバーをテストできるアプリをリリースしており、ZKsyncガバナンスプロセスが承認すれば、今夏のプロトコルアップグレードで「エアベンダー」が含まれるという。

なお「エアベンダー」は真に分散化され、自宅環境で実行可能であり、ほぼリアルタイムでの証明生成、zkApps向けの豊富なGPU計算パワー、オンチェーンプライバシーやゲーミングでの新しいユースケース、リアルタイムクロスチェーン調整などの新たな可能性を開くとのことだ。 

画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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