
仮想通貨少額取引の非課税法案を可決
米国オハイオ州下院は2025年6月18日、200ドル未満(約2万9,000円)の仮想通貨取引で得られる利益に対するキャピタルゲイン税を免除する法案を可決しました。
可決されたのは、通称「オハイオ・ブロックチェーン基本法(HB-116)」と呼ばれる法案で、同法案は仮想通貨による少額決済を非課税とすることで日常利用を促進させることを目的としています。
さらに、同法案にはマイニング事業を政府による不当な規制から保護する方針も盛り込まれています。
下院本会議での採決は賛成70票・反対26票という結果で、法案は現在、州上院での審議を控えています。可決された場合は、マイク・デワイン州知事の署名を経て成立する見通しです。
この法案の可決により、オハイオ州は少額の仮想通貨取引に対する税制優遇を導入し、日常生活における仮想通貨の利用を後押しする姿勢を打ち出しています。
仮想通貨での納税受け入れ法案
仮想通貨税制・マイニング・自己管理を支える新法案
提案者である共和党のスティーブ・デメトリウ下院議員は、本法案の主要な柱として、仮想通貨による支払いの利便性向上と、マイニング事業に対する不当な規制の排除を挙げています。
法案の主な内容は以下の通りです。
200ドル未満の取引益を非課税に
仮想通貨取引1回あたりの利益が200ドル未満の場合、州のキャピタルゲイン税を課さないと定めています。
この非課税枠は、インフレ率に応じて毎年引き上げられ、消費者物価指数に連動して5ドル単位で調整されます。さらに、一度引き上げられた非課税上限額は、州税務当局によって引き下げられることは禁じられています。
また、州政府や政府機関が住民による仮想通貨での支払い受け入れを制限する規則を制定することも制限しています。
州がマイニング事業者を支援
本法案では、個人が住宅地で地域の騒音規制を守ったうえで仮想通貨のマイニングを行うことを認めています。
また、マイニング企業に対しても、地域の規制を順守する限り、工業地域での操業を許可する内容が盛り込まれています。
さらに、仮想通貨マイニング事業にだけ適用される差別的な法律や条例を州が施行することを禁じ、仮想通貨マイニング事業に影響を与えるゾーニング(土地用途指定)の変更は正当な告知・意見募集手続きなしには行えないと規定しています。
また、不適切な手続きのまま不利なゾーニング変更が行われた場合には、当該マイニング事業者が法的手段に訴える権利も明記されています。
仮想通貨保有者の自己管理権を明確化
仮想通貨のマイニングやステーキングなどのブロックチェーン関連の各種活動について、これらの活動を行うにあたって、資金移動業者(マネー・トランスミッター)のライセンスは不要であると明文化されています。
加えて、マイニングやステーキングのサービス提供者は、有価証券や投資契約を提供しているものとは見なされないと明記されています。
さらに、政府およびその機関が、住民によるハードウェアウォレットを使った仮想通貨の自己管理(セルフカストディ)を妨げる規則を設けることも禁じられています。
州財源の一部をビットコインで保有へ
オハイオ州では、州政府が一般財源の一部をビットコインで保有することを目的とした「オハイオ・ビットコイン準備基金」の創設法案も審議されています。
この基金が承認されれば、州が仮想通貨を財務戦略に組み込む動きとして、今後の政策に影響を及ぼす可能性があります。
カリフォルニア州、BTC支払い受入法案可決
業界団体がオハイオ州仮想通貨法案を歓迎
ビットコイン(BTC)支援団体の「Satoshi Action Fund」は、オハイオ州下院による今回の法案可決を歓迎し、本法案を「米国の州議会で可決された中でも特に包括的なビットコイン擁護法案の一つ」と評価しています。
同団体はX(旧Twitter)の投稿で、HB116法案が下院本会議で圧倒的多数により可決されたことを伝えるとともに「自分の鍵、自分のコイン(セルフカストディ)」の保護など本法案が掲げるユーザー権利の強化策を称賛しました。
BREAKING: Ohio’s HB 116 passes the House with massive bipartisan support, 68–26.
Majority Whip @steve4ohsenate’s leadership delivers the strongest Bitcoin Rights bill to pass a state chamber in the U.S.
This legislation:
Protects self-custody; Your keys, Your coins.
… pic.twitter.com/HXPrWflCbR
— Satoshi Action Fund (@SatoshiActFund) June 18, 2025
速報:オハイオ州の法案「HB 116」が、超党派の圧倒的な支持(賛成68、反対26)を得て下院を通過しました。
多数派幹事であるスティーブ・デメトリウ下院議のリーダーシップのもと、これまでに州議会で可決された中で最も強力な「ビットコインの権利法案」が実現しました。
この法案には以下の内容が含まれています:
自己保有の権利を保護(鍵はあなたのもの、コインもあなたのもの)
ビットコインマイニングやノード運用の自由を保障
200ドル未満のビットコイン決済に対する課税を免除(インフレに連動)
オハイオ州をデジタル資産分野における全米のリーダーへと押し上げ
この「ビットコイン権利法案」は次に上院へ送られます。
Coinbaseやオハイオ・ブロックチェーン協議会をはじめとする協力団体とともに、年内にマイク・デワイン州知事のもとへと法案を届けられるよう、引き続き尽力してまいります。
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専門家からは、下院での強い支持を受けて法案が州上院でも可決される可能性は高く、近い将来法律として成立する公算が大きいとの見方も出ています。
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米国全体に広がる仮想通貨税制改革の動き
オハイオ州のように仮想通貨取引のキャピタルゲイン税を軽減・免除する動きは他地域でも見られます。
米国では、テキサス州やフロリダ州、モンタナ州など複数の州が仮想通貨に積極的な規制緩和策を進めており、一部の州では、州政府レベルでのビットコイン準備金法案が成立しています。
一方、連邦レベルでも仮想通貨の少額決済を非課税とする法案が過去に提案されてきました。
2020年には、仮想通貨による単一取引の利益が200ドル以下であれば非課税とする法案が米議会に提出されましたが、成立には至りませんでした。
その後、2022年には非課税枠を50ドルに引き下げた超党派法案が上院に提出されています。
ただし、これらの連邦法案はいずれも現時点では成立しておらず、連邦レベルでの仮想通貨に関する税制整備は依然として課題となっています。
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海外でも進む税制優遇|タイ政府の仮想通貨政策
海外に目を向けると、タイ政府は6月18日、仮想通貨の売却益に対する個人所得税(キャピタルゲイン課税)を今後5年間免除する優遇策を承認しました。
この措置は2025年から2029年まで適用される予定で、タイを仮想通貨に寛容な国際金融拠点として発展させる戦略の一環とされています。
タイ政府は仮想通貨分野での投資促進によって経済活性化を図る考えを示しており、規制整備と税制優遇の両方を通じて業界の成長を促進する方針を明確にしています。
仮想通貨の本格実用化に向けた制度設計
オハイオ州下院で可決されたHB-116法案は、仮想通貨が日常生活においてより広く利用されるための制度的な土台を築くものとして注目されています。
とりわけ200ドル未満の取引に対する非課税措置や、マイニング事業者への差別的規制の排除、住民の自己管理権の保護といった条文は、実用性を重視した実務的な内容となっています。
これまで仮想通貨の活用は主に投資対象としての側面が強調されてきましたが、今後は日常決済や地域経済での利用拡大に向けた制度整備が求められる時期に来ています。
オハイオ州の事例は、他の州や各国の立法に影響を与える先例となる可能性があり、税制や規制における政策変更を促す動きにつながることが予想されます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.93 円)
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Source:オハイオ州下院議会公式サイト
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用


BREAKING: Ohio’s HB 116 passes the House with massive bipartisan support, 68–26.
Protects self-custody; Your keys, Your coins.






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