
2025〜2026年を戦略フェーズと定める
イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)が新たな財務方針を6月2日に発表した。
今回の発表では、「債務戦略の再構築」、「暗号資産運用方針」、「法定通貨建て資産の管理」、「透明性確保」、および「プライバシーに関する原則」についてのガイドラインとポリシーが示された。
EFは、「年間オペレーションコスト」と「オペレーションコストバッファ(備蓄年数)」を基準とし、財務の健全性を定量的に管理。今回、年間運営費を財務全体の15%に設定し、2.5年分の運営費を準備金として保持する方針を導入した。
またEFは、2025〜2026年をイーサリアムにとって重要な時期と位置づけ、コアな成果物への集中投資を強化する方針を表明。長期的には財団の役割を段階的に縮小していくとし、今後5年間で年間運営費の割合を5%まで削減する計画も明らかにした。
財務資産の活用に関しては、イーサリアムの基本原則に沿いながら、適切なリターンの確保を目指す姿勢が示された。
具体的には、ソロ・ステーキングやDeFiプロトコルへの資金供給を活用しつつ、スマートコントラクトのセキュリティや流動性リスク、ステーブルコインのペッグ乖離リスクなどを継続的に評価していくという。
またEFは、「私たちは、市場状況の変化、多様化、または新たな収益機会などの理由により、プロトコル間で資金の再配分を頻繁に行う。そのため、資金の引き上げ(withdrawal)は、特定のプロジェクトに対する否定的な評価(アンチ・エンドースメント)として受け取らないでほしい」と述べている。
ETH売却・運用ルールも明確化
新財務方針の一環として、ETHの売却方針も明確化された。四半期ごとに財務資産とOpex Bufferの乖離を評価し、必要に応じて法定通貨建て資産へのスワップやオフランプを通じたETH売却を実施するという。これは、財務運営の透明性を確保し、市場の誤解を防ぐことを目的としている。
併せて、ETHの運用方針も整理された。現在はソロ・ステーキングや主要レンディングプロトコルへのwETH供給を主軸とし、長期的な活用を前提としている。また、ステーブルコインの借入やオンチェーンでの高利回りの追求も視野に入れ、今後はトークン化された実世界資産(RWA)や信頼性の高いファームへの配分も、法定通貨準備金の一部として組み込む計画である。各運用先については、セキュリティ、流動性、ペッグリスクなど複数の観点から精査される。
法定通貨建て資産を3カテゴリに分類
法定通貨建て資産の管理は、「即時流動性資産」「負債対応型準備金」「トークン化されたRWA」の3カテゴリーに分類される。現金や流動性の高い資産は日常的な運営費に充て、長期的な支出に対しては低リスクな金融商品を活用する方針が示された。トークン化されたRWAも、暗号資産と同様のリスクガイドラインに基づき戦略的に管理される。
年間報告書提出で透明性担保も
また、財務管理の責任は、EFの共同最高経営責任者(Co-EDs)が負う。財務チームは四半期ごとおよび年間の報告書を作成して財務状況や投資パフォーマンス、重要な出来事等の内容を理事会および経営陣に報告するとのことだ。
「プライバシーは以前として不可欠」
さらにEFは、プライバシーを「重要な市民的自由」と位置づけ、DeFiプロトコルを評価する基準として「Defipunkフレームワーク」を導入。セキュリティ、オープンソース、金融的自己主権、トラストレス技術、暗号ツールによる自由の保護、プライバシー保全などの要素が評価対象とされる。
EFは、「プライバシーはDeFi領域で歴史的に軽視されてきたが、依然として不可欠な価値」との見解を示しており、今後もプライバシー保護ツールの導入や、オープンソースインフラへの貢献を通じて、Defipunkの理念を支援していく姿勢を明確にした。
参考:ブログ
画像:PIXTA
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参照元:ニュース – あたらしい経済

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