「明確かつ透明な仮想通貨規制が必要」米FDIC副総裁が銀行関連の規制に言及

FDIC副総裁が「明確な規制の必要性」を強調

米銀行規制当局である米連邦預金保険公社(FDIC)のトラビス・ヒル副総裁は2025年1月10日に、ドナルド・トランプ氏の大統領就任後に始まる新しいFDICの政策に関する自身の見解を語り、「明確かつ透明な仮想通貨規制が必要である」との考えを示しました。

トラビス・ヒル副総裁は「これは私個人の意見であり、FDICや他のメンバーの意見を反映したものではない」と説明しつつ、「2025年1月20日頃に起きるFDICのリーダーシップ変化後には、FDICにも新たな方向性が必要である」との考えを語っています。

同氏は今回の発表で複数の内容についてコメントしていますが、その中の一部では暗号資産やブロックチェーンに関する内容にも触れられていて、「技術革新関連ではリスク管理などを考慮したバランスが必要にはなるが、近年のFDICはうまくバランスを取れていない」との指摘もなされています。

明確かつ透明な仮想通貨規制の重要性

ヒル副総裁は「FDICはフィンテックパートナーシップ・人工知能・デジタル資産・トークン化に関する複数のトピックについて追加のガイダンスを発行することを検討すべき」と述べていて、FDICや銀行機関はここ数年で一部の銀行に強制措置を行なってきたが、明確なルールを透明性のある形で示して、一般から意見募集できる機会を提供する方がずっと良いアプローチであるとの考えを示しています。

また、特にリセットが必要な分野の1つとしては「デジタル資産とトークン化に対するFDICのアプローチ」が挙げられていて、具体的には以下のような指摘がなされています。

リセットが必要とされているもう1つの分野は「デジタル資産とトークン化に対するFDICのアプローチ」です。2021年、銀行機関はさまざまな政策文書を発行する計画を記載したロードマップを発行し、銀行がデジタル資産関連の活動に従事することに対する当局の期待を詳しく説明しました。

しかし、この作業は2022年初頭のFDICリーダーシップ交代を受けて中止され、代わりに当局は、各機関がデジタル資産やブロックチェーンに関連する活動を行う前に、個別に規制当局と対話を行う必要があるプロセスを確立しました。

私は以前、このアプローチがいかに有害であったかについて話しました。なぜなら、このアプローチは「FDICはブロックチェーンや分散型台帳技術に関連する活動を行うことに関心を持つ金融機関に対して”業務停止”の処分を下し、イノベーションを阻害している」という世間の認識につながったからです。

最近、FDICが20以上の銀行に対して「全ての仮想通貨関連活動を停止するように」と指示したことが公表され、この印象がさらに強まりました。

私は、「どのような活動が法的に許容されるか」や「そのような活動を安全性・健全性の基準に従って行う方法」を一般向けに明確かつ透明性のある方法で説明し、規制当局の承認が必要な場合はタイムリーに行動する方がはるかに良いアプローチだっただろうと思っており、今でもそう思っています。

仮想通貨企業の銀行口座凍結問題にも言及

ヒル副総裁は、仮想通貨関連企業の銀行口座を意図的に閉鎖・凍結する「デバンキング」の問題についても言及していて、「法を守る顧客に対するデバンキングは容認できない。規制当局はこれを終わらせるために取り組むべきだ」と指摘しています。

デジタル資産に関するアプローチと密接に関連しているのが「デバンキング」の問題です。過去数年間で「仮想通貨産業に関連する個人や企業が、説明なしに銀行口座を失った」という報告がいくつかあります。これは元々「オペレーション・チョークポイント」によってターゲットにされた政治的に不利なビジネスグループ、特定の宗教や政治的なグループに関連する個人、そしてその他多くの人々が直面してきた問題の延長線上にあります。

銀行口座へのアクセスは、個人や企業が現代経済の多くの側面に参加するために不可欠です。FDICの長年の目標の一つは「無銀行者の数を減らすこと」です。法を守る顧客に対するデバンキングは容認できません。規制当局はこれを終わらせるために取り組むべきです。法を守る顧客への銀行サービス提供を停止するように圧力をかけた者は、FDIC内に居場所はありません。

デジタル資産に対する新たなアプローチを採用し、チョークポイントのような戦術を排除することは重要な第一歩ですが、規制当局はまた、銀行秘密法(BSA)の実施方法を再評価する必要があります。私たちは皆、犯罪者やテロリストが銀行システムを利用して麻薬取引、テロ行為、その他の重大な犯罪の資金調達を行わないようにすることを目指していますが、現行のBSA制度は、銀行に対して不十分なBSA遵守のリスクを避けるために口座を閉鎖するインセンティブを与えています。

また、銀行が顧客にローンを拒否した理由を説明するアドバースアクション通知を提供することを要求する一方で、顧客の口座が完全に閉鎖された場合にその理由を提供することを禁止するという方針も再検討する価値があります。これらの問題は、BSAの領域における他の問題とともに、次の政権での注目と精査が必要です。

今回語られた内容はトラビス・ヒル副総裁の個人的な意見だとされていますが、トランプ政権下では仮想通貨に友好的な政策が採用されると期待されているため、今後は銀行規制関連でも仮想通貨にプラスの変化が見られる可能性があると期待されています。

仮想通貨関連企業の銀行口座凍結などは数年前から問題視されていた重要なトピックの1つであるため、今後はそのような動きの変化などにも注目です。

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Souce:トラビス・ヒル副総裁のスピーチ
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Freepikのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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