【NFT FREAKをローンチ】デイトナ・インターナショナル 取締役CDOの加藤利典氏にインタビュー
セレクトショップ「FREAK'S STORE」を運営する株式会社デイトナ・インターナショナル(以下、デイトナ・インターナショナル)が、NFTプロジェクトをローンチしました。
その名も「NFT FREAK」。「好き」を共通項としたコミュニティ醸成やクリエイター支援など、NFTを軸とした企画を展開しています。
第一弾として販売される「EVERT NFT」では、片桐裕司氏やNIKO24氏など、大物クリエイターとのコラボが話題となっています。なぜ、デイトナ・インターナショナルはこれほどの力を入れてWeb3プロジェクトを推進しているのでしょうか。
そこで今回は、デイトナ・インターナショナルが手掛けるWebプロジェクト「NFT FREAK」について伺うべく、取締役CDOである加藤利典氏へインタビューを行いました。
以下の疑問にお答えいただき、デイトナ・インターナショナルが描く事業戦略に迫ります。
- NFT FREAKを企画した背景とは?
- NFT FREAKが目指すゴールとは?
- Web3プロジェクトを実行する上で苦労したことは?
- NFT FREAKが描く今後の事業展開とは?
自社事業としてNFTプロジェクトに取り組みたい方、NFTを活用したコミュニティ形成に興味のある方はぜひ最後までご覧ください!
システムエンジニアのキャリアを活かし、社内のデジタル化を推進
ーーまずはデイトナ・インターナショナルについて、企業の概要をお聞かせください。
加藤氏:デイトナ・インターナショナルは、衣・食・住におけるライフスタイル事業を手掛ける企業です。
メインとなる事業は、全国に58店舗(2024年12月時点)を展開するアパレルのセレクトショップ「FREAK'S STORE」です。この他にカメラストラップのブランド「YOSEMITE STRAP」やDXソリューションの子会社「Innovation Studio」を展開しています。
デイトナ・インターナショナルの特色は、デジタル分野に力を入れている点です。事業戦略の一丁目一番地としてDX化を掲げており、実店舗とオンラインショップの連携を得意としています。
ーー加藤利典様の役職やミッションをお聞かせください。
加藤氏:私は、デイトナ・インターナショナルで取締役CDO(最高デジタル責任者)を務めています。主なミッションは、デジタル技術の活用による企業価値の向上です。
2021年4月に、投資ファンドの「Unison Capital Partners」がデイトナ・インターナショナルの株式を取得しました。私はこの投資ファンドの一員であり、株式取得のタイミングで取締役に就任しています。
私はもともとシステムエンジニアのキャリアを歩んできており、デジタル化やDX戦略を得意としていました。そのためデイトナ・インターナショナルに参画した時も、デジタル分野の推進が私の使命だと思っていたのです。
しかし、デイトナ・インターナショナルにジョインした当時の社内は、アナログの業務が多く、他社よりも5〜6年遅れている状況でした。そこで私が社内のDX改革を先導し、業界内で比較しても先端的な地位にまで押し上げました。現在では、デジタルマーケティングやOMO(オンラインとオフラインの融合)の分野で第一線として活躍できる企業に変化しています。
ーー加藤利典様のこれまでのキャリアについて、教えてください。
加藤氏:これまでに、私はWebディレクターやシステムエンジニアのキャリアを歩んできました。
まず新卒で入社した企業は、レコード会社です。Webディレクター兼フロントエンジニアの役割を与えられ、Webサイト制作や音楽配信サービスの企画・運営を担当しました。次に転職した会社が、外資系のファッション企業です。そこではシステムエンジニアとして基幹システムの開発に携わりました。
そして、大手セレクトショップに移籍し、2007年頃から自社プロジェクトの立ち上げに携わりました。結果として担当したECサイトが軌道に乗り、当初の目標である売上に到達。そこで、次なるチャレンジとして投資ファンドに参画したところ、デイトナ・インターナショナルで取締役CDOに就任しました。
ーー加藤利典様がブロックチェーンを初めて知ったきっかけについて、お聞かせください。
加藤氏:2018年頃、暗号資産をきっかけにブロックチェーンの存在を知りました。
当時は暗号資産の市況が盛り上がっている時期で、私の周りにいた数名の友人がマイニングやトークン発行に挑戦していたのです。その姿を目の当たりにし、自分が手掛けていたECサイトの事業にもブロックチェーン技術を活用できないか考えるようになりました。
例えば、衣服の流通をブロックチェーン上で管理できれば、トレーサビリティの観点からメリットが生まれます。他にも、ユーザーの会員証をブロックチェーン上で発行できないかと思案していました。この時点では具体化できなかったものの、2018年の体験がNFT FREAKの原点になっています。
「好き」で繋がるWeb3コミュニティ
ーー2024年9月、デイトナ・インターナショナルがNFTプロジェクト「NFT FREAK」をローンチしました。このNFT FREAKについて、概要をお聞かせください。
加藤氏:NFT FREAKは、デイトナ・インターナショナルとして初のWeb3プロジェクトです。
FREAK'S STOREの運営を通じて培ってきた「ドキドキ、ワクワク」させる企画力を通じて、一人ひとりの「好き」を表現するプロジェクトになっています。
2022年8月頃にNFT FREAKの構想が生まれ、2年の歳月をかけてローンチを実現させました。そして、いよいよ第一弾のNFT「EVERT NFT(エバートNFT)」が2024年11月14日に販売されます。NFT FREAKの第一弾企画では、架空の映画宣伝風プロジェクトを実施します。映画好きやホラー好きの人がNFTを通じて繋がる企画で、1,200名のクリエイターコミュニティを形成する計画です。
今回のプロジェクトでは、NFTの知識を持たない人でも楽しめるカジュアルな設計にしています。例えば、NFTの購入にあたって暗号資産を必要とせず、クレジットカードで手軽に決済できます。加えて、デイトナ・インターナショナルのECサイトから購入が可能です。
NFT FREAKは、第一弾のNFT販売だけで終わってしまうわけではありません。今後も新しい企画を打ち出し、継続的にプロジェクトを運営していくつもりです。
ーーNFTプロジェクト「NFT FREAK」を立ち上げた目的について、お聞かせください。
加藤氏:NFT FREAKの目的は、コミュニティ醸成とクリエイター支援です。
このプロジェクトを企画した背景には、デイトナ・インターナショナルの掲げるバリュープロポジションが関係しています。デイトナ・インターナショナルでは「服屋ではなく、好き屋」というコンセプトを設定し、お客様にワクワク・ドキドキする体験を提供してきました。そこで、この「好き」を共通項としたコミュニティの形成に、NFT技術を活用できないかと考えたのです。
加えて、クリエイターの支援も重要な目的の一つです。デイトナ・インターナショナルには、長年クリエイターを支援してきた歴史があります。この取り組みをさらに強化すべく、NFTを軸としたクリエイター育成プロジェクトも計画中です。
またクリエイターの発掘や活動支援のほかに、コラボ商品の展開も考えています。最終的には、社会の課題をクリエイティブの力で解決し、クリエイターにも恩恵がもたらされる「クリエイターエコノミー」を実現したいとの思いがあります。
デイトナ・インターナショナルでは、これまでにも色々な手法でコミュニティ醸成やクリエイター支援の施策に挑戦してきました。しかし、従来の延長線上ではなく、新しい切り口での取り組みができないかと考えていたのです。その際に、かつて私が思案していた「ECサイトへのNFT技術の導入」というアイデアが役立つのではないかと思い付きました。そして、NFTはコミュニティ形成やクリエイター支援との親和性が高いと考えた結果、NFT FREAKの構想が生まれました。
ーーNFT FREAKの実現にあたり、経営陣に対してどのような説明をしたのか教えてください。
加藤氏:デイトナ・インターナショナルにとってWeb3プロジェクトは初の試みであったため、NFT FREAKの実施による費用対効果を丁寧に説明しました。
私が特に力説したのは、以下の3点です。
- NFT発行にかかるコストが低い上に、在庫保有リスクがない
- 全世界に向けて販売が可能で、グローバル市場にアプローチできる
- コミュニティ形成に活用できる
まず、挑戦するリスクが小さい割に、十分なリターンを期待できると示しました。その上で、グローバル市場が秘める可能性についても言及しています。
またデイトナ・インターナショナルでは、以前からコミュニティドリブン経営に強い関心を抱いていました。そこでWeb3のコミュニティ文化について説明し、NFTと自社事業との親和性をアピールしました。
このような経緯で、経営陣からプロジェクト実行の承認を得たのです。
ーー「NFT FREAK」プロジェクトの発足について、企画段階における社内の雰囲気をお聞かせください。
加藤氏:ほとんどのプロジェクトメンバーがNFTに関する知識を持っていなかったため、手探りでのスタートとなりました。
NFT FREAKの企画に先立って、まずは私一人で1年間ほど研究に費やしました。人気のプロジェクトを分析した上で、Web3の第一人者からコンサルティングも受けています。そして方向性が定まった段階で、ようやく自社のメンバーへNFTプロジェクトの概要を伝えました。
その後、社内にて勉強会やワークショップを幾度か開催し、NFTに関する知見を共有してきました。
トップクリエイターを迎え、独自の世界観を演出
ーー第一弾の「EVERT NFT」では、片桐裕司さん(ハリウッド映画業界における特殊造形のトップアーティスト)とNIKO24さん(NEO TOKYO PUNKSファウンダー)がフィーチャーされています。お二人との企画が実現した背景について、教えてください。
加藤氏:クリエイター支援のプロジェクトにふさわしいアーティストを探していた時に、世界で活躍するお二人の名前が挙がりました。
第一弾となる企画では、インパクトのある作品を作りたいと考えていたのですが、そこで候補として挙がったのが片桐裕司さんです。デイトナ・インターナショナル自体が映画の配給に携わっており、かつ私自身もハリウッド映画に大変興味があったため候補に挙がりました。
片桐裕司さんにコラボの打診をしたところ、NFT FREAKの趣旨に快くご賛同いただきました。片桐裕司さんは立体の造形を得意とするアーティストなので、キャラクターのデザインを依頼しました。
次に、片桐裕司さんのキャラクターを活かしつつ、NFTに落とし込める人物を探したのです。そして探し当てた人物こそ、日本発の人気プロジェクト「NEO TOKYO PUNKS」を運営するNIKO24さんでした。私自身もNEO TOKYO PUNKSの世界観が好きだったため、さっそく協力を要請し、ご賛同いただいたのです。このような流れで、片桐裕司さんとNIKO24さんによる夢のようなコラボが実現しました。
ーー片桐裕司さんとNIKO24さんのコラボについて、最初に打診した際のお二人の反応をお聞かせください。
加藤氏:お二人から「面白そうな企画だ」との感想をいただき、すぐにコラボが実現しました。
片桐裕司さんは、以前より先進的な企画を打ち出したいとの思いがあったようです。加えて新たな映画を作りたいとの構想もあり、ご自身の中でアイデアを温めていると聞きました。そこで今回、そのキャラクターをモチーフにしたNFTの発行に至ったのです。
一方のNIKO24さんからも「ファッション企業主体のWeb3プロジェクトは興味深い」との評価をいただきました。NFT FREAKの趣旨やロードマップについて説明したところ、すぐにご賛同いただいています。
ーープロジェクトの第一弾では、架空の映画作品を題材としたNFTが販売されます。今回打ち出す「映画の逆再生プロジェクト」とは、どのような企画なのでしょうか。
加藤氏:今回のプロジェクトは「片桐裕司さんの作りたい映画」が起点となっています。片桐裕司さんがホラー映画に関するアイデアをお持ちだったため、その構想の中のキャラクターを先行してNFT化することにしました。
映画の逆再生プロジェクトと銘打った理由は、通常の映画製作とは逆の手順で進行するからです。片桐裕司さんによる映画制作を最終ゴールに掲げ、キャラクターの発表やCM制作といったプロモーションが先行して行われます。まさに、始まりに向かって進んでいくプロジェクトだと言えるでしょう。
継続的な取り組みで、より強固なコミュニティを目指す
ーー第一弾として発売されるNFT「EVERT NFT」について、購入者特典を教えてください。
加藤氏:EVERT NFTの購入者の特典として、以下の5つを用意しました。
- ファンイベントへのご招待
- ロバート秋山プロデュース 体モノマネTシャツ【BOTY】プレゼント
- 次回NFTの優先購入券
- FREAK'S STORE独自の発想で商品化
- デイトナパークで利用できるポイントやクーポンの贈呈
まず一つ目の特典が、ファンイベントへの招待です。NFT FREAKで定期的に開催される特設イベントに出席できます。
二つ目が、ロバート秋山さんプロデュースのTシャツです。EVERT NFTのストーリーでは、
Emilyの姉が幼い頃に行方不明となってしまいます。このEmilyは、いつもクマのぬいぐるみのEvertを持ち歩いていました。しかし物語が進むにつれて、ぬいぐるみの中身は行方不明であった姉の顔の皮で作られていたと知ります。
グロテスクなお話なのですが、この「裏返すと別のものが現れる」という設定から着想を得ました。そこでロバート秋山さんプロデュースのTシャツを採用し、裏返しにするとグロテスクなキャラクターが現れるTシャツを制作しています。
この他にも、NFTのアローリストやデイトナパークで利用できるポイントなど、様々な特典を用意しました。
ーーNFT FREAKについて、ユーザーからの反響をお聞かせください。
加藤氏:「ファッション企業が何か面白い取り組みをしている」と、好意的な声をいただいています。
また、NFTのデザインもコミュニティメンバーから大好評です。キャラクターの良さに加えて独自の世界観があり、NFT FREAKを支える魅力のひとつとなっています。片桐裕司さんのファン層も強い関心を持っているようで、DiscordコミュニティやSNSも大いに盛り上がっています。
ーーNFT FREAKの運営について、特に大変だった点を教えてください。
加藤氏:NFT FREAKのプロモーションに苦労しました。
FREAK'S STOREの会員数は、数百万人を超えます。しかし、その中でNFTについての知識がある人は1%もいません。このような状況では、マーケティングに力を入れたとしてもなかなか成果に繋がりません。NFTを知らない顧客層にも購入してもらうには、通常のプロモーションとは異なる工夫が必要だと痛感しています。
この他に大変だった点は会計上の課題です。暗号通貨を保有すると、企業の会計処理が複雑になってしまいます。そこで、どのような事業モデルが実現可能なのかを検討しました。結果として、NFT FREAKでは難易度の高い暗号資産の保有を断念し、クレジットカードによる日本円決済を採用しています。
ーー「NFT FREAK」プロジェクトの前後を比較した時、社内にどのような変化が起きたかを教えてください。
加藤氏:プロジェクト実施前と比較して、Web3業界やWeb3マーケティングに関する知見が社内に溜まりました。
最初は手探りであったものの、NFT FREAKを運営する過程でたくさんの学びを得ました。特にマーケティング戦略やコミュニティ醸成についての発見が多く、プロジェクトメンバー全員が成長できたと感じています。NFT FREAKを通じて得られたノウハウは、今後の施策でも大いに役に立つはずです。
ーー今後のロードマップで、クリエイターの発掘プロジェクトが掲げられています。このクリエイター発掘プロジェクトについて、概要を教えてください。
加藤氏:まだアイデア段階ではあるものの、オーディション形式のNFTクリエイター発掘イベントを考えています。
若手クリエイターから作品を募集し、片桐裕司さんやNIKO24さんのような著名なアーティストにも審査員として参加していただく構想です。そして、選考を勝ち抜いた若手クリエイターに対して多方面から支援し、芸術活動を後押しします。
Web3やメタバースは、アーティストにとって新たな活動の場所となる可能性があります。NFT FREAKを通じてNFTの民主化を推し進め、若手クリエイターの登竜門となる場所を用意する計画です。
ーー2024年11月9日、フリークスストア渋谷店に併設されたギャラリーにてトークイベントが開催されました。この特設イベントについて、詳細をお聞かせください。
加藤氏:EVERT NFTのSPECIAL TALK EVENTと銘打ち、一夜限りのトークショーを開催しました。
私と共にご登壇いただいたのは、NIKO24さんとSNPITのディレクターである吉田健一さんです。それぞれの立場から、プロジェクトにかける思いや作品の世界観についてお話いただきました。
イベントの様子はSNSの音声配信でも同時中継され、質疑応答も大いに盛り上がりました。11月14日のプレセール直前であったため、皆さんの熱量は相当高かったようです。
ーー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
加藤氏:コミュニティ醸成とクリエイター支援という趣旨に賛同いただけましたら、Discordコミュニティにご参加いただきたいです。
また、第一弾となるEVERT NFTが、以下のスケジュールで販売されます。
- 2024年11月14日(木)20:00〜 プレセール開始 →SOLD OUT
- 2024年12月16日(月)12:00〜 第一弾の発売開始
- 2025年 1月 6日(月)12:00〜 第二弾の発売開始
EVERT NFTは、NFT FREAKの世界観をより深く楽しむためのアイテムです。さまざまな特典を用意しましたので、ご興味があれば是非ご購入ください。
この他に、企業やクリエイターとの提携も可能です。コラボによってNFTと既存の商品との連携も実現できるため、お問い合わせをお待ちしております。
▼NFT FREAKの詳細はこちら
- NFT FREAK ポータルサイト :https://www.daytona-park.com/nftfreak/
- NFT_FREAK_OFFICIAL 公式X :@_NFT__FREAK_
- DAYTONA INTERNATIONAL ウェブサイト :https://daytonajp.com/
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