米ドル買い中心戦略を継続! 中国恒大集団の経営危機は、今後金融市場に 大きな影響を与えるほどのものではない
2021-09-17
それは、中国の大手不動産会社、中国恒大集団が経営危機に直面しているというニュースです。
【参考記事】
●中国株の下落が米国株の下落を誘引するか。マーケットの懸念が拡大する中国リスクにジョージ・ソロスも警告(9月16日、西原宏一)
●豪ドル/円の押し目買い継続!「サナエノミクス」は、いわば「NEWアベノミクス」。株高・円安の再来に期待できそう(9月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
この会社は、多額の借入れと積極的な開発用地の取得を通じて急成長した会社で、従業員は20万人ほどいます。中国でプロサッカーチームを持っていることでも有名です。
ただ、高騰する住宅価格を抑制するために、中国政府が不動産業界への融資を引き締めたことで、同社の資金繰りが急速に悪化して、工事中断などの事態が発生しています。
さらには、債務の支払いも滞っているようで、現在、金融機関との協議が続けられているようです。
市場は一時リスクオフモードに入ったが、今後大きな影響を与えるほどのものではない こうした報道を受けて、金融市場には動揺が広がり、市場は一時リスクオフモードに入りました。
その影響で、FX市場でもリスクオフからの円買いが発生し、米ドル/円は一時109.00円直前の水準にまで下落しました。
しかし、時間の経過と共に、市場も冷静さを取り戻し、現在はまた元の水準に向かってゆっくりと動いています。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
また、108円台では、日本の機関投資家が買い意欲を見せているとの情報もありましたが、そうしたことも、さらなる下落を阻止していたのかもしれません。
この中国恒大集団の経営危機の事案に関しては、まだ結論がでているわけではないので、予断を許さないところもありますが、個人的には今後、金融市場に大きな影響を与えるほどのものではないと考えています。
ただ、今後の動向から目を離さないようにしておいたほうがいいことは言うまでもありません。
米国の経済指標がかなり良い結果に さて、今度は米国の景気動向に目を向けてみたいと思います。
この1週間に発表された米国の経済指標ですが、かなり良い結果となっているものが目立ちました。いくつか例を挙げてみたいと思います。
まず、9月のNY連銀製造業景気指数が34.3と市場予想の18.0を大きく上回りました。
また、米小売売上高の前月比も0.7%のプラス、9月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数も30.7といずれも好調な結果となっています。
私は、いずれ米国の景気が回復基調にあることを示すような経済指標が徐々に出てきて、米ドル高に緩やかに向かっていく可能性が高いとずっと言ってきました。
【参考記事】
●米ドル/円は109~111円のレンジトレードが効率的。もう少し時間が経てば米ドル高へ(9月10日、今井雅人)
●米ドル高になぜならない? 市場はパウエル議長に勝手に期待して、勝手にがっかりした。次の注目は米雇用統計に!(9月3日、今井雅人)
●米ドル/円は109円前後をしっかり買って、110円台を売り抜くトレードを続けることが有効(8月26日、今井雅人)
今週発表の経済指標を見ていると、いよいよそういう傾向になってきたのかもしれないなと、少し期待をしているところです。
FOMCのメンバーが現在の米国の景気状況をどう見ているか、非常に高い関心が集まる 来週の9月21日(火)、9月22日(水)には、いよいよ注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。
今のところ、今回テーパリングを決定する可能性は極めて低いといわれていますので、それ自体は材料にならないかもしれません。
ただ、最近の経済指標を参考に、FOMCのメンバーが現在の米国の景気状況をどう見ているかについては、非常に高い関心が集まると思います。よく注意して見ておきましょう。
依然として米ドル買い中心戦略 トレードとしては、依然として米ドル買い中心戦略でいきたいと思います。
先週のコラムで申し上げたように、米ドル/円は109円~111円の中での押し目買い、ユーロ/米ドルではユーロショートポジションの継続とします。
【参考記事】
●米ドル/円は109~111円のレンジトレードが効率的。もう少し時間が経てば米ドル高へ(9月10日、今井雅人)
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)