今回の米大統領選は2016年とは状況が違う。 米ドル/円は当面104~106円、クロス円は?

■米大統領選の動向に注目が集まる展開へ 米大統領選まで、いよいよ3週間を切ってきました。ここからは、金融市場も、米大統領選の動向に注目が集まる展開となってくるでしょう。
 その間は、余程の大きなものでなければ、他の要因は無視されるのではないかと思います。
【参考記事】
●米大統領選が近づき、しばらく気迷い相場か。米ドル/円は、引き続きレンジトレードで!(10月8日、今井雅人)
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
 そこで、今回はまず、米大統領選の行方について、考えてみることにします。
■世論調査などは、バイデン氏が優勢だが 現状、各世論調査では、バイデン候補がトランプ大統領を大きく上回る状況となっています。
過去6カ月間の支持率の推移※RealClearPoliticsが各世論調査の結果から集計した平均支持率
(出所:RealClearPolitics)
 フロリダ州やペンシルベニア州など、勝負のカギを握るといわれている接戦州(スイング・ステート)においても、バイデン氏が軒並みリードをしています。
 しかし、前回、大統領選が行われた2016年、3週間前の時点では、クリントン候補がトランプ候補をリードしていたにも関わらず、そこから逆転を許し、負けてしまったことが多くの人の記憶に残っているので、まだ、先行きはわからないと、慎重な意見が多いようです。
【参考記事】
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(2)トランプ氏当選でまさかのリスクオン到来!
■2016年とは状況が違う。バイデン氏勝利を予想 ただ、前回は、クリントン候補の私用メール問題が出てきたことが決定打となりましたので、今回は、状況が違うのではないかと思います。
 ここにきて、米国で新型コロナウイルスが再拡大の兆候を見せていることや、ワクチンの治験が軒並み休止になっていることなど、コロナ対策を軽視してきているトランプ大統領には、不利な状況にもなってきています。
 そういうことを考えると、バイデン候補に新たなスキャンダルでも出てこない限り、今回は、バイデン候補が勝つのではないかと、私は考えています。
 来週、10月22日(木)には、2人の第2回目のテレビ討論会が予定されていますが、そこが最後の勝負の場です。ほぼその段階で、勝敗の行方が見えてくるのではないかと思います。
【参考記事】
●トランプ米大統領コロナ感染で、大統領選はバイデン有利? 為替は大統領選で動き出す(10月5日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米大統領選、討論会はバイデン氏に軍配? メディアの論調よりも浮動票の行方に注目(10月1日、西原宏一)
●米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)
写真は9月29日(日本時間30日)に行われた第1回目のテレビ討論会の様子。本来、テレビ討論会は3回にわたって行われるが、トランプ大統領の新型コロナウイルス感染によって10月15日に予定されていた第2回目の討論会は中止となり、22日の討論会が候補者同士による最後の勝負の場となる (C)Bloomberg/Getty Images News
■バイデン氏勝利なら、金融市場は徐々に好意的に さて、そこで、バイデン候補が勝利した場合の、金融市場への影響について考えて見ましょう。
 バイデン候補は、端的に言えば、増税政策を掲げています。しかし、それは長期的な政策であり、すぐにその方向に舵を切るわけではありません。
 それよりも、バイデン候補は当面は、コロナ対策を重視した政策を採るでしょうから、むしろ、短期的に財政は緩む、つまり、拡張傾向になると思います。
増税を公約に掲げているバイデン候補だが、当面は新型コロナウイルス対策で財政は拡張的になると今井氏は予想している (C)Scott Olson/Getty Images News
 勝負が決まった時点での、超短期的な市場の反応は、正直、よくわかりませんが、継続的に金融市場が崩れることはないのではないかと思います。
 むしろ、中国との貿易摩擦の激化を避けられるということで、徐々に金融市場は好意的な反応をするようになるのではないかと、私は考えています。
【参考記事】
●米大統領選挙後のマーケットの動きを予想。カギとなる財政支出は、上院選の結果次第か(10月14日、志摩力男)
●米大統領選、トリプルブルーなら増税を掲げるバイデン氏勝利でも株高・円安に!(10月8日、西原宏一)
●米大統領選で「増税」掲げるバイデン氏が当選しても、中長期では株価にポジティブか(10月8日、志摩力男)
 最後に、今後、目先1週間程度の相場展開について…

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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