米ドル円 往来相場で有効なストラングル売り戦略 魅力と欠点
2020-03-02
米ドル円の往来相場を狙うのに有効なストラングル売り戦略をご紹介します。 ストラングル売り戦略は、往来相場の多いFXに向いています。「往来相場を狙う」という戦略FXオプションには、「一定値幅の範囲であれば利益になる」という仕掛け方があります。これは、オプションの教科書で「ストラングルの売り戦略」と呼ばれています。為替相場は往来相場7割と言われるほど一定値幅への変動が多い傾向があります。その意味で、この「ストラングルの売り戦略」は、FX投資家にとっては非常に有効な一手にもできる可能性があります。知っておいて損はない戦略ですので、紹介させていただきます。この仕掛けは、2つのFXオプションを使います。ストラングル売り戦略 仕掛けるポジション現在値よりも高値のコールオプション売り現在値よりも安値のプットオプション売り2つの「売り」ポジションを組み合わせることで、利益を狙う「往来相場の値幅を設定」していきます。実際の値に合わせて仕掛け方をご説明します。ケース1 4円幅の往来を想定したケース現在値から上下2円・合計4円幅での往来相場を想定した仕掛けはこんな感じで行います。この画像をご覧ください。この画像時点の米ドル円値は2月27日で110.40円のときのものです。薄青色部分が仕掛けるポジションです。ここでポジションを作ったとすると、こういう内容になります。4円幅の往来相場狙い ポジション内容109..50円 コールオプション売り プレミアム0.679111.50円 プットオプション売り プレミアム0.359コールオプション売り・プットオプション売りともに「利益限定・損失限定なし」という性質を持ちます。この2つのポジションを仕掛けたときに最大利益となるプレミアム受取ができます。プレミアム受取額:0.679+0.359=1.0381万通貨で10,380円10万通貨で103,800円仮に10万通貨仕掛けたとしましょう。この103,800円の受取が満額利益として確定するには、権利行使日の米ドル円が一定の値幅に入っている必要があります。満額利益を受け取れる一定値幅コールオプション売りは111.50円よりも下落すれば利益プットオプション売りは109.50円よりも上昇すれば利益この2つを合わせた「109.50-111.50円の範囲内」が103,800円の満額利益を受け取れる条件です。2つのポジションの権利行使価格の中に入っている場合は、このストラングル戦略売り仕掛けでの最大利益が得られます。「最悪でも最終利益にできる損益分岐点」にすると、受取ったプレミアム分の値幅を考慮できるので、大分拡がります。損益分岐点の値幅上げ相場:111.50+1.038=112.538円下げ相場:109.50-1.038=108.462円最悪でも利益を出せる損益分岐点としての値幅は、108.462-112.538円となります。112.538-108.462=4.076円約4.076円の往来相場であれば最終利益にできるポジションということになります。4円だと安心できない、もっと広い値幅で仕掛けたい、そう考える方もいるでしょう。もう少し広く取るとどうなるかも参考までにご紹介しましょう。ケース2 もう少し広い値幅にした場合往来相場の値幅をもう少し広くする方法自体は簡単です。コールオプション売りをもっと高いところで仕掛けるプットオプション売りをもっと安いところで仕掛けるこれだけだからです。この画像は、先程同様に2月27日の米ドル円110.40円時点のものです。先程と同じ手順で内容を確認していきましょう。更に広い値幅の往来相場狙い ポジション内容112.50円 コールオプション売り プレミアム0.138108.50円 プットオプション売り プレミアム0.419この2つのポジションを仕掛けたときに受け取れるプレミアム額はこうなります。。プレミアム受取額:0.138+0.419=0.5571万通貨で5,570円10万通貨で55,700円仮に10万通貨仕掛けたとします。この55,700円の満額利益として確定するための値幅は、先程の仕掛け時の権利行使価格の範囲内です。つまり、「108.50-112.50円の範囲内」で約4円の往来相場の値幅内であれば55,700円の満額利益が確定します。ケース1に比べると2円幅⇒4円幅ですので満額利益を撮れる可能性は高くなりました。でも、満額利益自体も半分になっています。先程同様に「最悪でも最終利益にできる損益分岐点」も計算してみましょう。損益分岐点の値幅上げ相場:112.50+0.557=113.057円下げ相場:108.50-0.557=107.943円最悪でも利益を出せる損益分岐点としての値幅は、107.943-113.057円となりました。113.057-107.943=5.114円幅約5.114円の往来相場であれば最終利益にできるポジションということになります。ケース1とケース2 どちらが有利かケース1とケース2の最終結果を見比べてどう思われたでしょう。ケース1:約4.076円の往来相場で最大利益は103,800円ケース2:約5.114円の往来相場で最大利益は55,700円最終利益を確保できる往来値幅は1円違います。それに対して最大利益は半分になってしまっています。これを「安全性重視だからケース2でいく」とするか「バランス的にケース1」にするかなどは、投資家それぞれの判断で違ってくるところです。ちなみに、権利行使日を数カ月先にすれば時間的価値の関係でプレミアムも高くなります。なので、さらに広い値幅を対象とした「ストラングルの売り戦略」も可能になります。往来相場10円幅もできないことはありません。この辺は、仕掛ける前にいろいろと計算しながらやってみるのをお勧めいたします。ストラングルの売り戦略の欠点 大きな変動相場では損失になるこのストラングル戦略の弱点は、相場が大きく動いたときです。上げ2.5円・下げ2.5円・合計5円の往来相場で設定実際には10円以上上昇した。こういう場合は、2.5円を超えた部分が損失になります。10円動いたときの損失:2.5円ー10円=-7.5円10円・20円と大きな動きをする時期にストラングル戦略の仕掛けを入れると大きな損失になることもあります。対処法は、大きく2つあります。単純に損きりで対応FXの買いポジション・売りポジションをと組み合わせる。などです。単純に損きりするというのはFXと同じです。Fオプションでも途中決済ができるので、ポジションをクローズしてストラングル戦略を終了させます。これとは別に、FXと組み合わせるという選択肢もあります。例えば、ストラングル戦略を仕掛けていて、大きな上げ相場が始まった時はFXの買いポジションを同数量入れておくというのも有効です。ストラングル戦略の損失FX買いポジションの利益上げ相場が続くようであれば、この2つが損益相殺されてくれます。この辺は、行き当たりばったりでやるのはよくありません。ストラングル戦略を仕掛けるときに、「不利な展開になったときの対処」としてルール化しておくことをおすすめします。
参照元:お気楽FX 相場生活入門編