NYダウ崩れずリスクオフは徐々に沈静化。 英ポンド下落の背景には中東と中国あり
2016-03-03
先月(2月)のSQ(※)ショックはマーケットに大きな影響を与え、多くの投資家が日本株への投資にためらいがちとなり、2月後半の日本株と米ドル/円のマーケットは方向感なく、乱高下が続いていました。
(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)
【参考記事】
●日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか?(2月18日、西原宏一)
しかし、今月(3月)に入ってセンチメントは徐々に改善。
これは「日銀の追加緩和期待と政府の大規模補正予算期待」が背景にあるのですが、もっとも重要なことは先月(2月)にNYダウが崩れなかったこと。
先月(2月)、ヘッジファンドが日経225オプションのSQをうまく利用して「日経平均と米ドル/円」の暴落劇を演出した後、リスクオフ相場が継続しなかったのは、本丸のNYダウが底堅く推移していたためです。
NYダウ 日足(出所:CQG)
■NYダウは2月SQショックにまったく追随せず… 以前コラムでも何度かご紹介しましたが、金融市場の本丸は米国株であり、昨年(2015年)8月のチャイナショック同様、仮にNYダウが崩れれば、日経平均と米ドル/円は暴落する公算が高かったのですが、NYダウは今回の2月SQショックにはまったく追随しませんでした。
【参考記事】
●ソロスも警告! リーマンショックが再来!? 株安・円高の行方占う2つのポイントとは?(1月14日、西原宏一)
NYダウはザラ場では、注目の200週移動平均線を下抜けましたが、週の終値ベースではサポートされています。
NYダウ 週足(出所:CQG)
NYダウは、昨年(2015年)8月のチャイナショックの安値である1万5370ドルにも届かず、反発しています。
本丸のNYダウが値を戻す中、日経平均もマジノ線(※)である1万6500円をやっと回復し、2月のSQショックは徐々に沈静化しつつあります。
(※編集部注:「マジノ線」とは第二次世界大戦前にフランスがドイツとの国境に築いた難攻不落と言われた要塞のこと)
日経平均 日足(出所:株マップ.com)
日経平均の回復につれて、米ドル/円もやっと114円台まで値を戻しています。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
2月のSQショックでもNYダウが相場の大きなカギを握っていたことを再確認した格好です。
一方、2016年年初から続落しているのが英ポンド。前回のコラムでご紹介した…