米ドル高でも米ドル/円は、なぜ上昇しない? 米中貿易交渉に中国が秘密兵器を投入!?

■市場関係者がリスクオフを警戒!? この1週間の金融市場の動きですが、まず、一番目立っているのは、各国の債券に断続的に買いが入っていて、世界的に長期金利が低下傾向にあります。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 どうやら、債券をショート(=売り)していた人たちが、リスクオフに備えて、買い戻しをしているようです。
 また、株価も世界情勢に不透明感が増してきていることを背景に、徐々に下落していっています。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
■為替相場は緩やかな米ドル高。でも、米ドル/円は… 一方の為替相場ですが、こちらの方は、米国が一番、安定しているという判断から、緩やかに米ドルが買われています。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 しかし、米ドル/円に関しては、リスクオフへの懸念から、米ドル高・円安にならないという動きとなっています。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 それでは、足元の注目材料について、それぞれどういう状況であるか、考えていきたいと思います。
■EUの混乱は中長期的なユーロ安要因に! まず、注目された欧州議会議員選挙ですが、連立を組んでいる主要政党2党では、過半数を割るという結果となりました。
 親EU(欧州連合)派の政党の議席を全部合わせると、3分の2を上回っているので、とりあえず、難を逃れたということになります。
 しかし、イタリアでは、EUに対しての反対勢力が大きく躍進し、ギリシャでは、EUの方針に従って緊縮財政を続けてきた政権が倒れました。
 EUの混乱は、今後も続いていくことになるのは間違いありません。
 こうした状況は、中長期的にはユーロ安要因となってくる可能性が高いと、私は考えています。
ユーロ/米ドル 週足(出所:Bloomberg)
■メイ首相が辞任。英ポンド安はまだまだ進む? 英国では、とうとうメイ英首相が来月(6月)、辞任をすることになりました。
 これから、次の首相が誰になるのか、EU離脱の問題はどこに向かうのか、まったく予断を許さない状況です。
 リスクとしては、まだまだ、英ポンド安方向にあるのではないかと考えています。
【参考記事】
●メイ英首相が辞任表明! 米中貿易戦争は長期化へ…米ドル/円は105円台目指すかも(5月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
●買われやすい通貨と売られやすい通貨は? ユーロ/英ポンドが0.90ポンド台へ上昇中!?(5月28日、バカラ村)
英ポンド/米ドル 日足(出所:Bloomberg)
 また、米中の貿易交渉が来月(6月)…

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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