西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

新型コロナ治療薬への期待が相場押上げ! 銅価格上昇は将来的なリスクオンを示唆!? ブログ

新型コロナ治療薬への期待が相場押上げ! 銅価格上昇は将来的なリスクオンを示唆!?

■新型コロナウイルス治療薬への期待が高まる みなさん、こんにちは。

 4月29日(水)の米国株は、7週ぶりの高値に反発。

NYダウ 週足(出所:Bloomberg)

 背景は、新型コロナウイルス治療薬への期待。

 米国の大手製薬会社、ギリアド・サイエンシズが、抗ウイルス治験薬レムデシビルにおいて、新型コロナウイルス治療での有効性を調べる米国の臨床試験で、主要評価項目を満たしたと発表したことが、米国株を押し上げた要因。

 リーマンショック時と違い、今回のショックは、新型コロナウイルスの感染で始まったわけですので、ウイルス治験薬の開発が進めば、マーケットは一気に戻るというのがコンセンサス。

 よって、新型コロナウイルス治療薬開発の報道は、マーケットを一気に押し上げる材料となります。

【参考記事】

●新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も(3月5日、西原宏一)

■トランプ大統領が発表した「ワープスピード作戦」とは? 一方、トランプ米政権は、新型コロナウイルスワクチンの迅速な開発に向け、「ワープスピード作戦」を発表。

トランプ米政権は新型コロナウイルスワクチンの迅速な開発に向け、第2次世界大戦時の原子爆弾開発プロジェクト「マンハッタン計画」のように官民を総動員する「オペレーション・ワープ・スピード(超高速作戦)」を計画している。

出所:Bloomberg

 さらに、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長も「あらゆることをする」と宣言!

米FRB、ゼロ金利と量的緩和を維持 パウエル議長「経済支援にあらゆる手段」

FRBのパウエル議長は会合後の記者会見で「4~6月期の米経済活動は過去に例を見ない勢いで落ち込むだろう」との見方を示し、米経済をサポートするために「あらゆる手段を講じることを約束する」と追加緩和を辞さない姿勢を強調した。

出所:毎日新聞

 こうしたことを受けて、ナスダック総合指数は、年初の水準に接近しました。

ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 原油相場は、急反発。

WTI原油先物 日足(出所:Bloomberg)

 そして、米国株の急騰に呼応して、日経平均は節目の2万円台を回復。本稿執筆時点の日経平均は、2万350円に急騰しています。

 マーケットは、リスクオンへ――。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 このコラムで何度かご紹介させていただいたように、コロナショックに対し、米国は躊躇なき「金融緩和と財政出動」により、資金が溢れ出しています。

【参考記事】

●マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?(4月9日、西原宏一)

 結果、事態が沈静化した後、つまりポストコロナは、そうした資金が、株やコモディティ(商品)へ流れると考えています。

 そして…
WTI原油暴落の背景にあったロックダウン。 買われ続けるスイスフランに介入の可能性!? ブログ

WTI原油暴落の背景にあったロックダウン。 買われ続けるスイスフランに介入の可能性!?

■WTI原油価格がマイナス圏に急落した理由 みなさん、こんにちは。

 今週(4月20日~)のマーケットの注目は、なんといってもWTI原油の動向。

 4月20日(月)のWTI原油の5月限は、1バレル当たり、初のマイナス37.63ドルに急降下!!

WTI原油先物5月限 週足(出所:Bloomberg)

 このマイナスとは、いったいどういうことなのか?

 WTI原油は、現在「需要」が大幅に低迷。

 在庫があふれかえっており、備蓄できるところがない状態で、原油の貯蔵スペース不足が深刻になっています。

【参考記事】

●原油価格暴落で逆オイルショックに!! トルコリラは対米ドル・対円で下落継続へ(4月22日、エミン・ユルマズ)

 ところが、生産が止まらない状態。

 引き取り手がいなければ、置き場所がないから捨てるのか(?)ということになります。

 それが、20ドルで売るよ、10ドルで売るよ……といった形で市場は急速に悪化します。

 結局、マイナス圏内に突入し、「37ドル支払うから引き取ってくれ!」という混乱に発展。

 そして、事実上の中心限月となった6月限は20.43ドル。5月限と6月限の差は過去最大となりました!

■WTI原油暴落の背景にあった「ロックダウン」 この、WTI原油がマイナス圏に落ち込むという事態は投資家心理を冷やすのに十分でした。

 WTI原油の混乱を受け、米国株は再び急反落します。

NYダウ 日足(出所:Trading View)

 一方、私が情報交換させていただいている何人かのシニアトレーダーの中には、WTI原油がマイナスにまで落ちこむ可能性があると懸念している人もいました。

 なぜなら現在、世界的に「需要」が急激に落ちこんでいるからです。

 その要因は、「ロックダウン(都市封鎖)」。

 現在、NY州を筆頭にロックダウンされている都市が多数あります。

 ロックダウンされるということは、「人と物の移動が制限」されることを意味し、当然、経済活動は急激に停滞。

 こうした環境下では、WTI原油の急落は必然ともいえます。

 ただし、こうしたWTI原油の混乱も「新型コロナショック」の余波として一部の市場関係者の間で危惧されていたことのひとつであるとすれば、株や為替への影響は長期化しないともいえます。

 そうしたこともあり、急速に値を下げていた株も少しずつ沈静化しています。

 そして…
米国はロックダウン解除に向けた動きに。 株下落でも米ドル/円は110円に向けて上昇へ ブログ

米国はロックダウン解除に向けた動きに。 株下落でも米ドル/円は110円に向けて上昇へ

■米国は、ロックダウン解除への道筋が示され始めた 日本では4月7日(火)に、東京をはじめいくつかの地域を対象に「緊急事態宣言」が出されて、まだ1週間しか経過していませんが、米国では徐々にロックダウン(都市封鎖)の解除に向けての道筋が示され始めています。

 まず、米国経済を早くリスタートさせたいトランプ大統領は、下記のようにコメント。

トランプ氏「新規感染ピーク過ぎた」16日に経済再開指針

トランプ米大統領は15日の記者会見で、「新型コロナウイルスの新規感染者はピークを過ぎた」と述べた。経済再開を始める時期が来たと主張し、再開に向けた新たな指針を16日に発表すると明らかにした。

出所:日経新聞

 ただ、NY州のクオモ知事は、かなり悲観的な見方。

トランプ氏とクオモNY州知事、封鎖解除巡り衝突

ドナルド・トランプ米大統領とニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は14日、各州の経済活動再開を巡りまたも激しく意見を戦わせた。新型コロナウイルスの感染者数は世界全体で200万人に近づいている。


ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、14日時点で世界の新型コロナ感染者数は194万人を超え、そのうち4分の1以上の58万4000人が米国の感染者となっている。


米国では先週末から新規の感染が落ち着きを見せ始め、各州の知事は事業活動の再開やソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)指針の緩和について検討するため、地域連携チームを立ち上げ始めた。一方でトランプ氏は、大統領である自身のみが米経済再開の権限を持つと主張している。

出所:Wall Street Journal

新型コロナウイルスの新規感染者はピークを過ぎたというのがトランプ大統領の見解。クオモNY州知事とは見解に相違がみられるが、なるべく早く米国経済を再開したい考えのようだ (C)Spencer Platt/Getty Images

 ウォール・ストリート・ジャーナルの記事にもあるように、米国の経済活動再開に関しては各州の判断が大きいのでしょう。

 ただ、多くの報道によれば、一時の医療崩壊の恐怖によるパニックは徐々に収まり、(州によっての相違はあるが)少しずつロックダウンは解除されるのではないでしょうか?

 そうなれば、前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、大規模金融緩和であふれた資金は、株やコモディティ、そしてコモディティ通貨である豪ドルに向かうという中期の流れは変わりません。

【参考記事】

●マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?(4月9日、西原宏一)

■豪ドルは調整局面入り。押し目は買いで臨みたい このコラムで注目の豪ドルですが、まず、豪ドル/米ドルは、3月19日(木)安値の0.5510ドルからあっという間に0.6445ドルまで900pips超急騰。

 そして、豪ドル/円は、安値の59.91円から69.26円と9.35円、約10円の暴騰。

【参考記事】

●マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?(4月9日、西原宏一)

 すさまじいのはユーロ/豪ドルで、3月19日(木)高値の1.9802豪ドルから4月14日(火)安値の1.7004豪ドルまで暴落。

 この間、2798pips値を下げています。

 米ドル/円でいえば、約28円の暴落になります。

【参考記事】

●極端な米ドル不足は徐々に改善傾向! 豪ドル/米ドルは底入れ後、上値余地拡大(4月2日、西原宏一)

●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)

ユーロ/豪ドル 日足(出所:Trading View)

 ここで、豪ドル/米ドルの日足のチャートを確認してみます。

 直近の高値(2019年12月31日)と安値(2020年3月19日)の61.8%戻しは0.6451ドル。4月14日(火)の高値は0.6445ドルです。

豪ドル/米ドル 日足(出所:Trading View)

 有料メルマガ「FXトレード戦略指令! with 日経先物」で配信した、豪ドル/米ドルのロングをいったんすべてスクエアにした要因は、まず、このフィボナッチです。

 豪ドル/米ドルは、61.8%のレベルで調整するのではないかとの懸念を生じさせたことが、まず、スクエアにした要因。

 しかし、私はそれほどフィボナッチの61.8%というのは、重要視していないので決め手にはなりません。

 どちらかというと、豪ドル/米ドルの4時間足のRCIが「三重天井」から反落し始めたことを重視してスクエアにしたというところ。

豪ドル/米ドル 4時間足(出所:Trading View)

 どちらにせよ、豪ドル/米ドル、そして豪ドルクロス(豪ドルと米ドル以外の通貨との通貨ペア)はいったん調整局面入りしており、この押し目が豪ドル/米ドル、豪ドルクロスを再びロングにする機会を提供してくれるのではないかと考えています。

 そして…
マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ? ブログ

マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?

■東京でも、ついに「緊急事態宣言」発表 みなさん、こんにちは。

 4月7日(火)、ついに東京でも「緊急事態宣言」が出されました。

 渋谷では多い日に比べて、人の数が7割近く減少するなど、都心部を中心に人出は大きく減少。

 米国では、全米50州のうち30州以上と首都ワシントンで何らかの「在宅命令」が出ている模様です。

 NY州では、3月22日(日)夜以降、企業などに全従業員の出勤禁止を命じ、市民には外出自粛を求めており、ゴーストタウン状態に…。

 当然、この間、経済活動が大幅に失速することが予想されたため、マーケットはそれを先取りし、NYダウは一時、約1万1000ドルも暴落しています。

【参考記事】

●極端な米ドル不足は徐々に改善傾向! 豪ドル/米ドルは底入れ後、上値余地拡大(4月2日、西原宏一)

NYダウ 日足(出所:Trading View)

■マーケットが注目する「アフターコロナ」を探る では、この状況がいつまで続くのか?

 東京での緊急事態宣言は、4月7日(火)~5月6日(水)までと発表されていますので、ゴールデンウィークも含め、約1カ月、自粛が続く模様。

 現在の金融マーケットは、この「新型コロナショック」から、いつ経済が復活するのか、つまり「アフターコロナ」に注目が集まっています。

 では、アフターコロナを探るため、世界で最初に新型コロナウイルスの感染が拡大した中国・武漢市の封鎖が解除されたという報道から探ってみましょう。

新型コロナ再拡大に懸念=楽観ムード戒め―武漢封鎖解除・中国

中国共産党・政府は8日、世界で最初に新型コロナウイルスの感染が拡大した湖北省武漢市の封鎖措置を約2カ月半ぶりに解除したものの、楽観的なムードを戒めている。初動の遅れで批判を浴びた習近平国家主席にとって、感染の再拡大を許せば、政治的に大きな打撃となりかねない。

出所:時事通信社

 このように、封鎖は解除されたものの楽観的なムードを戒める雰囲気があり、新型コロナショックから抜け出すには、かなり時間がかかりそうです。

 ただ、「武漢の封鎖解除」に関しては、不安の声が上がっている一方で、景気回復への期待もあるようです。

封鎖解除の武漢に自動車購入の来店客続々-今後の回復に期待感

武漢市武昌区にあるアウディ販売店で売り場を担当するチャン・チアチ氏は、車の購入が前年並みの水準に戻り、「非常に驚いている」と話す。「2カ月に及ぶ休眠後、目覚めたかのように急回復した。販売は停滞すると思っていたのに」と述べた。

出所:Bloomberg

 確かに、武漢市のアウディ販売店で車の購入が前年並みの水準に戻ったというのは、驚きを隠せません。

 多くのマーケット関係者もこうした事態に懐疑的ではあるものの、需要の回復は「アフターコロナ」の一例として無視できません。

■財政出動と金融緩和により、あふれた資金の行き先は? そもそも、今回の新型コロナショックにより、世界的にかつてない規模の財政出動と金融緩和が行われています。

【参考記事】

●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)

●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)

 アウターコロナとは、結局、その資金がどこに向かうのかが注目されているわけです。

 先月(3月)、このコラムでご紹介させていただいたように、マーケットに強い負荷がかかると株を筆頭としたリスクアセットから資金が逃げ出し、安全な現金、つまり米ドルに流れます。

【参考記事】

●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)

 その結果、極端な米ドル需要が発生し、米ドル/円でいえば101円台から111円台に踏み上がるという相場が展開されます。

米ドル/円 日足(出所:IG証券)

 しかし、その後は…
極端な米ドル不足は徐々に改善傾向! 豪ドル/米ドルは底入れ後、上値余地拡大 ブログ

極端な米ドル不足は徐々に改善傾向! 豪ドル/米ドルは底入れ後、上値余地拡大

■米ドル不足を背景に急騰したドルインデックスが急反落 みなさん、こんにちは。

 新型コロナウイルスの金融市場への影響は甚大であり、株、商品、通貨市場のボラティリティは極めて高いままです。

 まず、金融市場の安定性を探るため、米ドルの状況をチェックしてみましょう。以下は、ドルインデックスの日足チャートになります。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル不足を背景に急騰したドルインデックスですが、3月20日(金)に102.99まで到達後、急反落しています。

 対主要通貨でも、米ドルは同じくらいの時期に高値に到達。

 ユーロ/米ドルが1.0636ドルの安値に到達したのが3月23日(月)、米ドル/円が111.72円に急騰したのが3月24日(火)、英ポンド/米ドルが1.1412ドルの安値に到達したのが3月20日(金)でした。

 そして、豪ドル/米ドルが0.5510ドルの安値に到達したのが3月19日(木)となります。

豪ドル/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 個人的には、豪ドル/米ドルの動向は、主要通貨のリーディングカレンシー的な側面もあると考えています。今回も、豪ドル/米ドルは、米ドルの高値に到達するのが、もっとも早かったといえます。

■CP市場の極端な米ドル不足は改善傾向 視点を変えて、極端な米ドル不足が解消したのかどうかをCP(※)市場の状況から探ってみます。

(※編集部注:CP(コマーシャルペーパー)とは、企業が短期資金の調達の為に発行する無担保の約束手形のこと。企業は公開市場で割引形式で発行する)

 以下は、以前ご紹介させていただいた3カ月物のCPと同じ期間の米短期金利のスプレッド。

【参考記事】

●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)

米コマーシャルペーパー3カ月物スプレッド 日足(出所:Bloomberg)

 こちらをご覧いただくと、改善傾向にあることがわかります。これは、CP市場も極端な米ドル不足が解消されつつあることを意味します。

 つまり、銀行と企業間の血流の目詰まりが解消され、パニックは徐々におさまってきていることを示しています。

 結果、株の暴落もいったん沈静化。

 米ドルの急騰もおさまり、徐々に米ドル安に戻っているといえます。

 では、どの通貨を…
「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ ブログ

「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ

■小池・東京都知事がロックダウンの可能性を示唆 新型コロナウイルスの影響はすさまじく、ニューヨーク、サンフランシスコ、ミラノ、上海などの大都市がロックダウン(封鎖)。世界中にゴーストタウンが出現しています。

 遅ればせながら、東京都の小池百合子知事も、ロックダウン(封鎖)の可能性を示唆。

首都封鎖に現実味 知事「何もしなければロックダウン」

このままでは「首都封鎖」になりかねない――。新型コロナウイルス感染者の急増を受け、東京都の小池百合子知事は「重大局面」との危機感を表明。

出所:朝日新聞

 ただ、日本語での「不要不急の外出は、ぜひとも控えてください」との言い回しは、いまひとつ伝わりにくい。

 不要不急の外出とはどういう要件なのか?との論議が沸騰しています。

■ジョンソン英首相の言い回しは極めてシンプル その点、英国のボリス・ジョンソン首相の言い回しは、極めてシンプル。

'You must stay at home!'?ジョンソン英首相

ボリス・ジョンソン英首相は3月23日(月)夜(日本時間24日早朝)に首相官邸からテレビ演説し、新型コロナウイルス対策として、必需品の買い物や治療、不可欠な仕事への通勤など、ごく一部の理由によるものを除く外出をただちに禁止すると発表した。

出所:BBC

 「Must(マスト)」という表現を使っているのは、すなわち「違反すれば罰則の対象になり得る」ということになります。

ボリス・ジョンソン英首相の言い回しは極めてシンプル。「Must(マスト)」という表現を使っているのは、すなわち「違反すれば罰則の対象になり得る」ということになるという (C)Justin Sullivan/Getty Images

 もちろん、現在の東京はロックダウンしているわけではないので、「不要不急の外出は、ぜひとも控えてください」という言い方になるのでしょうが、基本、「家から出ないでください!」といった方がわかりやすいといえます。

■東京がロックダウンされたらどうなるのか? 今、ネットでは東京がロックダウンされたらどうなるのか?という議論で持ち切りですが、NHK Webがうまくまとめてくれています。

実際にロックダウンが起きてしまうと、街はどうなるのでしょうか。「封鎖」の程度は海外でもさまざまですが、小池知事の発言を受けて、フランス・パリ在住の作家、辻仁成さんが、24日、自身の主宰するウェブマガジンに日記を掲載しました。

タイトルは「もしも東京がロックダウン(外出制限)されたなら」。冒頭で、辻さんはこう述べています。

「仮に、東京都がロックダウンを発令した場合、どういうことが考えられるかを、現在、ここパリで封鎖を経験中のぼくがまとめてみた。まさか、とは思わないで、心の準備のために読んでもらいたい」

辻さんは、現在のフランスでの外出の可否について、「外出は今日現在、今のところ、誰であろうと可能なのだ」としています。

ただ、一定の条件があるといいます。

「健康のための運動、食材の買い出しは認められているが、外出する前に政府が用意した用紙をダウンロードし、日付やサインなどを記入、携帯しないとならない。パリでは運動や買い物は500メートル以内で一時間以内と限られている。感染の酷い地域では22時から朝の5時までは完全封鎖となっている」

出所:NHK Web

 実際にロックダウンになるとどうなるのかを、わかりやすくまとめてくれています。欧米勢は東京がロックダウンされると、日本株の売り材料としているため、彼らもこうした情報に神経を尖らせています。

■米ドル/円は大きく上昇も、「株安・米ドル高」は早晩反転へ 話題をマーケットに戻すと、「株安・米ドル高」の傾向は続き、前回のコラムでご紹介させていただいたように、米ドル/円は110円台を回復。一時、111.71円と節目の112.00円に迫るほどの反発を見せました。

【参考記事】

●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)

 しかし、個人的にはFRB(米連邦準備制度理事会)がCP(コマーシャルペーパー)市場にまで介入していることから、マーケットは次第に沈静化し、「株安・米ドル高」の流れは早晩反転すると考えていることは変わりません。

米ドル/円 日足(出所:Trading View)

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 3月中旬までは、米ドル全面高の様相を呈していましたが、その中で反発の兆しを見せている通貨ペアがあります。その通貨ペアは、豪ドル/米ドル。

【参考記事】

●シカゴ日経先物がフラッシュ・クラッシュ! 月曜の円高は2週続けてフェイク。今週は?(3月23日、西原宏一&大橋ひろこ)

 FRBがCP市場への…
FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給 逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か ブログ

FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給 逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か

■FRBは危機的対応も、米国株は下落… みなさん、こんにちは。

 先月(2月)からの米国株の急落に対し、FRB(米連邦準備制度理事会)は、3月15日(日)に、緊急利下げという思い切った対策を打ち出します。


米FRBが緊急利下げ、債券買い入れ再開や他のツール活用も

米連邦準備理事会(FRB)は15日、政策金利をゼロ付近に引き下げ、債券買い入れを再開するとしたほか、危機時の対応手段の活用に踏み切った。

出所:ロイター

 利下げ幅は驚きの1.00%で、政策金利は一気に0.00~0.25%のレンジへ。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部にて作成)

 加えて、国債などの買い入れも再開すると発表しました。

 ところが、米国株は下げ止まらず。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 実は、今回のコロナショックによる米金融の混乱は、銀行間のものではなく、企業の資金繰り悪化によるものであるとの指摘が増えています。

 振り返ってみれば、2008年のリーマンショックの時は、銀行間において信用収縮が起きたため、企業に対する信用スプレッドが上昇してしまったわけです。

 結果、米企業の金融の血流が悪化しました。

 ところが、今回は、銀行には問題はありませんが、金融機関から企業の間で資金の流れが目詰まりを起こしています。

 FRBの思い切った対策も金融機関から企業の間での目詰まりに対するものではありませんので、米国株の下落を止める効果がなかったわけです。

■FRBのCP市場への流動性供給策導入は不発か… 当然、FRBもその点についての認識はあるため、銀行と企業との間の資金の目詰まりを解消するために、次の一手に打って出ます。

 FRBの次の一手は、「CP(※)市場への流動性供給策!」

(※編集部注:CP(コマーシャルペーパー)とは、企業が短期資金の調達の為に発行する無担保の約束手形のこと。企業は公開市場で割引形式で発行する)

米FRB、CP市場への流動性供給策を導入 新型コロナ対策で

米連邦準備理事会(FRB)は17日、新型コロナウイルス危機によるクレジット市場の緊張緩和に向け、2008年の金融危機時に導入したコマーシャルペーパー・ファンディング・ファシリティー(CPFF)を再び導入すると発表した。

出所:ロイター

 これにより、コロナショックによって苦しくなった米企業の資金繰りが楽になると思われました。

 このことをチェックするために、3カ月物のCPと同じ期間の米短期金利のスプレッドを見てみます。

米コマーシャルペーパー3カ月物スプレッド 日足(出所:Bloomberg)

 少なくとも、本稿執筆時点(3月18日)では、このスプレッドは改善しておらず…。

 ロイターには、「FRBのCP市場の支援策は不十分」とする記事が掲載されています。

FRBのCP市場支援策、不十分の声も 低格付け物に懸念


米連邦準備理事会(FRB)が17日に発表したコマーシャルペーパー(CP)市場への流動性供給策を巡り、一部投資家の間で不十分との見方が出るなど、評価はまちまちとなっている。

出所:ロイター

 つまり、米ドル不足は解消していないことを意味するため、引き続き、米ドルは底堅く推移すると想定されます。

 主要通貨をチェックすると、英ポンド/米ドルは1.15ドル台、ユーロ/米ドルは1.09ドル水準、そして、豪ドル/米ドルは0.6000ドルの大台を割り込み、0.57ドル台で推移しています。

英ポンド/米ドル 日足(出所:Trading View)

ユーロ/米ドル 日足(出所:Trading View)

豪ドル/米ドル 日足(出所:Trading View)

 クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)下落の…
米ドル/円は中期目標の100円水準に迫る! トランプ相場の起点が重要なサポートに ブログ

米ドル/円は中期目標の100円水準に迫る! トランプ相場の起点が重要なサポートに

■米ドル/円は中期目標の100円レベルに迫る みなさん、こんにちは。

 今週(3月9日~)の米ドル/円は、大荒れの展開に。

 3月9日(月)のマーケットでは、一気に101.19円まで暴落。

米ドル/円 日足(出所:Trading View)

 これで、このコラムの米ドル/円の短期のターゲット(=105円)どころか、中期のメドとしていた100円レベルに、あっという間に到達しました。

【参考記事】

●新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も(3月5日、西原宏一)

■レバノンのデフォルトにNY州非常事態宣言 週明けに、米ドル/円が暴落した要因としては、先週(3月2日~)末、リスクオフ要因が立て続けに報道されたことが挙げられます。

 まず、レバノンのデフォルト報道。

レバノンがデフォルトへ 首相「国債返済を延期」

中東の小国レバノンのディアブ首相は7日、9日に償還期限を迎える12億ドル(約1260億円)の外貨建て国債について、支払いを延期すると表明した。レバノンメディアが報じた。経済の低迷や放漫な歳出で財政危機に陥っていた。

出所 日経新聞

 レバノンといえば、真っ先に思い浮かぶのが、カルロス・ゴーン氏。

 ネットでは、彼がレバノンを助けなければ(?)というジョークが飛び交っています。

 レバノンは、かなりデフォルトに近いというウワサが飛び交っていたので、デフォルト自体、サプライズなニュースではありません。

 しかし、ネガティブなニュースではあることは間違いないので、マーケット参加者は、レバノンのデフォルトが他の国に飛び火してドミノになることを恐れているといったところ。

 次に、「NY州が非常事態宣言」との報道です。

 現在、マーケットは、米国での新型コロナウイルス感染拡大報道にもっとも神経を尖らせているので、こうした報道は、かなりマーケットを神経質にさせます。

 さらに、サウジアラビアの株価の急落です。



 サウジアラビアの代表的な指数である、サウジアラビア・タダウル全株指数も急落しました。

サウジアラビア・タダウル全株指数 日足(出所:Bloomberg)

 要因は、原油価格の急落です。

WTI原油先物 日足(出所:Bloomberg)

 この原油価格の急落は、米国株の下落を連想させますので、これも「株安・円高」材料。

 こうした要因が重なって、週明け3月9日(月)の米ドル/円は、ストップロスも巻き込んで、一気に101.19円まで暴落するマーケットとなったわけです。

 この米ドル/円の…
米ドル/円は中期目標の100円水準に迫る! トランプ相場の起点が重要なサポートに ブログ

米ドル/円は中期目標の100円水準に迫る! トランプ相場の起点が重要なサポートに

■米ドル/円は中期目標の100円レベルに迫る みなさん、こんにちは。

 今週(3月9日~)の米ドル/円は、大荒れの展開に。

 3月9日(月)のマーケットでは、一気に101.19円まで暴落。

米ドル/円 日足(出所:Trading View)

 これで、このコラムの米ドル/円の短期のターゲット(=105円)どころか、中期のメドとしていた100円レベルに、あっという間に到達しました。

【参考記事】

●新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も(3月5日、西原宏一)

■レバノンのデフォルトにNY州非常事態宣言 週明けに、米ドル/円が暴落した要因としては、先週(3月2日~)末、リスクオフ要因が立て続けに報道されたことが挙げられます。

 まず、レバノンのデフォルト報道。

レバノンがデフォルトへ 首相「国債返済を延期」

中東の小国レバノンのディアブ首相は7日、9日に償還期限を迎える12億ドル(約1260億円)の外貨建て国債について、支払いを延期すると表明した。レバノンメディアが報じた。経済の低迷や放漫な歳出で財政危機に陥っていた。

出所 日経新聞

 レバノンといえば、真っ先に思い浮かぶのが、カルロス・ゴーン氏。

 ネットでは、彼がレバノンを助けなければ(?)というジョークが飛び交っています。

 レバノンは、かなりデフォルトに近いというウワサが飛び交っていたので、デフォルト自体、サプライズなニュースではありません。

 しかし、ネガティブなニュースではあることは間違いないので、マーケット参加者は、レバノンのデフォルトが他の国に飛び火してドミノになることを恐れているといったところ。

 次に、「NY州が非常事態宣言」との報道です。

 現在、マーケットは、米国での新型コロナウイルス感染拡大報道にもっとも神経を尖らせているので、こうした報道は、かなりマーケットを神経質にさせます。

 さらに、サウジアラビアの株価の急落です。



 サウジアラビアの代表的な指数である、サウジアラビア・タダウル全株指数も急落しました。

サウジアラビア・タダウル全株指数 日足(出所:Bloomberg)

 要因は、原油価格の急落です。

WTI原油先物 日足(出所:Bloomberg)

 この原油価格の急落は、米国株の下落を連想させますので、これも「株安・円高」材料。

 こうした要因が重なって、週明け3月9日(月)の米ドル/円は、ストップロスも巻き込んで、一気に101.19円まで暴落するマーケットとなったわけです。

 この米ドル/円の…
新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も ブログ

新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も

■FRBは0.50%の緊急利下げに踏み切る みなさん、こんにちは。

 3月3日(火)の共同声明で、G7(先進7カ国)は、新型コロナウイルスの感染拡大と市場や経済に与える影響を緊密に監視しているとし、「すべての適切な政策手段を用いるとのコミットメントを再確認する」と表明。

 その発表後、まず、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が0.25%の利下げを実施。政策金利は、過去最低の0.50%に。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部にて作成)

 そして、日本時間3月4日(水)未明、FOMC(米連邦公開市場委員会)は、新型コロナウイルスの米国経済への悪影響を払拭するため、0.50%の緊急利下げに踏み切りました。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部にて作成)

 前回のコラムで、米10年債利回りの急低下をピックアップしましたが、想定以上のスピードで米国債は急伸(利回りは急低下)。米10年債利回りは、初めて一時1%を割り込む展開。

【参考記事】

●「セル・ジャパン!」と言いながら円売り。低ボラ脱却へ。米ドル/円は下値余地拡大か(2月27日、西原宏一)

米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 結果、米ドル/円も追随。米金利の急低下を受けて、米ドルは主要通貨に対し、全面安となりました。

 米ドル/円は一時、106円台まで急落しています。

米ドル/円 日足(出所:Trading View)

■米国株のボラティリティは極めて高い状態にある しかし、米国株は依然として不安定。

 もともと、FRB(米連邦準備制度理事会)の緊急利下げは、彼らの思惑とは相違して米国株の急落を招く傾向があります。

 FRBが0.50%の緊急利下げを決断しなければならないということは、米国経済はかなり逼迫した状況に追い込まれているのではないか(?)との懸念がマーケットに生じるからです。

 FRBはそれをわかっていますが、将来的な景気の落ち込みを考慮すると緊急利下げに踏み切らざるを得なかったという展開。

 実際、FOMCが緊急利下げに踏み切った3月3日(火)のNY市場で、米株は急反落しています。

 しかし、3月4日(水)のNY市場では、トレンドフォロー型のシステムが作動し、NYダウは、いきなり1000ドルもの急騰を見せました。米国株のボラティリティは、極めて高い状態にあります。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 振り返ってみれば…