今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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日米通商交渉は怖くない!? 米国側が 強硬で円高が来れば絶好の買い場!

■日銀が長期金利の上昇を容認した!? 今週の週明け、7月30(月)~31日(火)に、日銀の金融政策決定会合が行われました。
 これまでの数カ月間の政策決定会合で、現状の金融緩和政策に関して、そろそろ副作用の影響を検証する時期にきているとの意見が出てきたために、今回の会合では、少し踏み込んだ政策の変更が行われるのではないかという観測が流れていました。
 声明文や、黒田日銀総裁の定例記者会見から判断することができますが、結果としては、10年物国債の利回り(長期金利)水準を、「ゼロ%を中心に変動幅を±0.1%以内に抑える」という従来の方針から、「変動幅を±0.2%へ広げる」という方針へ変更することを決定しました。
日銀は7月30日(月)~31日(火)の金融政策決定会合で、許容する金利変動幅の拡大措置を含む「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を発表した。写真は「長短金利操作付き量的・質的緩和策」の導入を決定した2016年9月会合後の記者会見時 (C)Bloomberg/Getty Images
 ここ最近、長期金利は上限であった0.1%付近に張り付いていた状態でした。変動幅を広げたということなので、日銀が長期金利の上昇を容認したと、市場は受け止めたということです。
【参考記事】
●日銀は長期金利上昇を条件つきで容認! 米ドル/円の下値余地は徐々に拡大へ…(8月2日、西原宏一)
■しばらくは金利動向に振り回される展開も… 結果が発表された当初は、もっと踏み込んだ内容が出てくるとの事前の期待があったため、逆に円安に反応するという展開となり、米ドル/円も一時的に、112円台まで上昇しました。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 しかし、翌日の8月1日(水)になって、10年物国債利回りがはっきりと0.1%を超えていくと、実際の金利上昇に円相場が反応し、円高傾向が強くなりました。
日本の長期金利(10年国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 その後も、特に東京市場においては、日本の長期金利の動向に円相場が振り回されるという展開が続いています。
 こうした傾向は、しばらく続くかもしれませんが、一定期間が過ぎると市場も慣れてきて、長期金利にも反応しなくなってくるでしょう。
 需給的な面で言うと、日本の実需はまだ…
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米ドル/円は当面レンジが継続!? 日銀が 大幅な政策変更をしないと考える理由は?

■またしてもトランプ発言で雰囲気が一変! トランプ米大統領の一言が、またしても市場の雰囲気を一変させました。
 7月19日(木)、トランプ米大統領は、FOMC(米連邦公開市場委員会)で金利を引き上げていることに対して、不快感を示しました。
 また、利上げの結果として米ドル高になっていることに対しても、米国が利上げを継続していることに対して、EU(欧州連合)など他の国や地域が、金利を上げていないという現状を批判しています。
 私は、「またか」という印象を受けましたが、それまで、順調に米ドル高になってきて、年初来高値に近づいていたというタイミングだったことが、大きく影響したのでしょう。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
 これを受けて、上述のとおり相場の雰囲気は一変…。米ドル/円を中心に、米ドルは急落しました。7月26日(木)のアジア市場では、米ドル/円は、一時110.59円前後まで下落しています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 上昇トレンドに乗っていこうと、ロング(=買い)を積み上げていた短期の投機筋が、一気にポジションをクローズしてきたことが、こうした動きを招いたということです。
■トレンドは一瞬で終わり、一瞬で反転したりするもの 今回のことで、改めて教訓となったことがあります。
 それは、「トレンドは一瞬にして終わり、そして、一瞬にして反転したりするもの」であるということです。
 また、そうした状況は、今回のように、年初来高値に近づいてきたというような状況になったときに起きやすい、ということも再認識させられました。
 今後の参考として、頭に入れておきたいと思います。
■米ドル/円の110円台には実需の買い さて、今後の展開ですが、米ドル/円に関して言えば、110円台に入ると、本邦実需の買いがしっかり入ってきています。需給的には、大きく崩れるような相場ではありません。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 昨日(7月26日)は、トランプ米大統領が「7月27日(金)のGDP(国内総生産)で、何が起こるかわかっている」と発言し、良好な4-6月期米GDP・速報値の結果が改めて期待された面もあり、米ドルが少し上昇しました。
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
 このように、市場は要人の発言などに神経質になっているので、当面は、小さい上げ下げを繰り返す相場展開になってくると考えています。
【参考記事】
●トランプ大統領を襲った想定外の出来事!? 底堅い米ドル、米ドル/円は押し目買いで!(6月28日、今井雅人)
 ただ、その中でも、考慮すべきは各国の金利差です。これまで…
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米ドル/円のトリッキーな動きの背後にIMM のポジション動向。まだ円売り余地十分か

■今年の米ドルはトリッキーな動き 米ドル/円は今週(7月16日~)、一時113.14円まで米ドル高・円安が進行しました。実に、今年(2018年)の1月以来の水準です。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
 今年の米ドルを見ると、非常にトリッキーな動きであったことがわかります。
 まず、年初に112円台でスタートした米ドル/円は、1月8日(月)に113.39円をつけて、前年(2017年)11月につけた114円台をうかがう動きをしていました。背景には、米国の政策金利の上昇がありました。
 しかし、相場はその後、大方の予想に反して、米ドル安・円高に向かい、3月まではほぼ、一方的な動きとなりました。
 そして、3月23日(金)と翌営業日26日(月)の両日に、104.64円の年初来最安値をつけました。
 その後、相場は反転し、ここまで逆に、ほぼ一本調子に米ドル高・円安が進行してきて、113円台回復となっています。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
■米政策金利の上昇では理解し難い相場 今回の米ドル高の背景は、米国の政策金利の上昇ということになっていますが、この流れは年初からありました。
 そして、政策金利に関しては、ほぼ市場の予想どおりに上がってきています。
※FRBのデータを基にザイFX!が作成
 それにも関わらず、年の前半は米ドル安、そして、中盤からは米ドル高という、まったく逆の反応を見せています。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
 非常に、理解が難しい相場展開でした。
■IMMのポジション動向と米ドル/円に相関が! 実は、このことを考えるのに興味深いのは、いつも当コラムで紹介している、IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向です。
 IMMのポジションには、「商業ベース」と「非商業ベース」があります。
 商業ベースは、通常の商取引に関連した売買であると考えると、投機目的のポジションは、非商業ベースを見れば良いということになります。
 このIMMのポジションは、毎週金曜日に、その週の火曜日の段階での数値が、週次の結果として発表されています。
 そこで、米ドル/円の非商業ベースのポジションの推移を見てみると、1月9日(火)の段階で円ショート(=売り越し)、つまり、米ドル/円のロング(=買い)ポジションが約12万5000枚と、今年(2018年)最大となっています。
IMM(国際通貨先物市場)における非商業ベースのポジション状況(米ドル/円)2018年~※CFTCのデータを基にザイFX!が作成
 これは、米ドル/円が今年(2018年)の年初来高値をつけた1月8日(月)と、ほぼ同時期です。
 そして、その後は、ほぼ毎週、米ドル/円のロングポジション(=円の売り越し)は…
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米ドル/円は今年の高値を目指す展開か! 押し目は確実に買っていく方針で臨みたい

■米ドル/円は約半年ぶりの高値へ! 米ドル/円が、とうとう上に抜けて、約半年ぶりの高値を更新しています。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
 その他の通貨に対しても、全体的に円安が進行しています。
【参考記事】
●狭すぎるレンジで膠着していた米ドル/円にまもなくブレイクしそうなサインを発見!(7月10日、バカラ村氏)
●米ドル/円は3年続いたレジスタンスラインをブレイクする準備完了! 買うなら今でしょ!?(7月6日、陳満咲杜)
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■米短期筋と実需の攻防 この間の、流れを整理してみたいと思います。
 米国と中国の貿易摩擦ですが、今のところ、予定どおりの措置が実施されています。
 そして、7月11日(水)に、米国が中国に対して追加関税措置(10%の関税を賦課する2000億ドル相当の中国製品リスト)を発表したあとは、日経平均も大幅に下落し、円高となりました。
 米ドル/円も、一時110.77円まで米ドル安・円高になりました。
 このときは、いつものように米短期筋が仕掛けて、円高に持っていったのですが、そこに日本の実需の買いが立ちはだかって、下値を抑えてしまいました。
 この状況を見て、米短期筋がすぐに、米ドル/円を買い戻すという攻防が繰り広げられました。
米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
■投資家が通商問題を懸念材料ではないと判断!? 前回のコラムで整理しましたが、そもそも、米ドルの金利が先進国の中でもっとも高いという、米ドル高に向かいやすい状況の中で、トランプ米大統領の通商政策が、世界中の貿易縮小に繋がるのではないかという不安が広がりました。
【参考記事】
●中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは?(7月5日、今井雅人)
 しかし、実際に措置が実行されるにつれ、当面のリスクは低そうだと、投資家が感じ始めました。
 この通商交渉の行方が、現在の市場での唯一の不安材料だったので、それがそれほど懸念材料ではないと判断した途端に、投資家による米ドル買い・円売りが、進行し始めたということでしょう。
■M&A絡みの買いも米ドル/円の下支えに さらに、これも前回のコラムで整理したように、日本企業によるM&A絡みの米ドル/円の買いが継続的に出てきており、常に、買い注文が下サイドに並んでいることも、米ドル/円の下値をしっかりと支えています。
【参考記事】
●中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは?(7月5日、今井雅人)
●トランプ大統領を襲った想定外の出来事!? 底堅い米ドル、米ドル/円は押し目買いで!(6月28日、今井雅人)
●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
 そして、それが市場の需給を歪めて、徐々に円安方向に向かわせているということだと思います。
 また、テクニカル的なことを言えば、ここのところの…
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中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは?

■市場の様子は特に変わらず 直近の市場の状況ですが、先週(6月25日~)から特に、変わったところはありません。
 そこで、過去のコラムと繰り返しになる部分もありますが、もう一度、現在の状況について整理をしてみたいと思います。
■米国の金利は魅力的な水準に まずは金利環境です。
 米国の政策金利にあたるFF(フェデラル・ファンド)レートは2%と、先進国の中では、もっとも高い水準になりました。
 この先も年内(2018年)2回、合わせて0.5%程度の利上げが予想されています。
※FRBのデータを基にザイFX!が作成
 また、米国の長期金利、10年物国債の利回りは、2.8%台近辺で安定してきています。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 これも、投資家には魅力的な金利水準です。
【参考記事】
●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
■米ドルはジリジリと上昇する可能性も こうした環境では、金融市場において2つのことが起きると予想されます。
 1つは米ドル高です。
 米国の国債市場は、世界でもっとも大きなマーケットです。
 その市場が安定していて、さらに金利水準も高いということになれば、一般的には世界中から資金が流入してくるということが起きやすいです。
 また、短期市場においても、金利水準が他の先進国に比べて優位なわけですから、ここにも資金が世界中から流入する可能性が十分に出てきました。
 こうした環境を踏まえると、米ドルがジリジリ上昇する可能性がある、ということが言えると思います。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
■新興国には大きなダメージが… もう1つは、新興国にマイナスの影響が出ることです。
 新興国は、財政状況が押しなべて脆弱で、多くの資金を海外からの投資資金に依存しています。
 海外の投資家にとって、新興国の最大の魅力は高金利です。
 しかし、それは相対的なものであって、他にもっと魅力的な市場があれば、そちらに資金は流れてしまいます。
 そこで、一番安定していて最大の米ドルで金利が上昇してくると、どうしても、そちらの方に資金が流れやすくなります。
 そして、その結果、新興国通貨が大きく売られてしまうということが起きてきます。
トルコリラ/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足)
 次が、トランプ米大統領の通商交渉です。いよいよ、中国への…
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トランプ大統領を襲った想定外の出来事!? 底堅い米ドル、米ドル/円は押し目買いで!

■米国VS他国の通商問題に右往左往 先週(6月18日~)以降、金融市場の注目は、トランプ米大統領と他国との通商問題に集中してきており、その他の相場変動要因に対しては、関心が薄くなっています。
【参考記事】
●貿易戦争を警戒してるのに米ドルはなぜ安定している? 米ドル/円は需給に注目!(6月22日、今井雅人)
 トランプ政権の通商問題に関しては、関係者の発言や交渉内容の報道などが出るたびに、市場が右往左往する展開が続いています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■ふらついた動きがまだまだ続くかも… 直近の動きを少し例に挙げてみると、昨日(6月27日)のNY市場では、まず、トランプ米大統領は、中国企業による米ハイテク技術獲得への対応で、中国に特化した制限を課すのでなく、CFIUS(対米外国投資委員会)の審査(※)を強化する方針を表明しました。
(※編集部注:「CFIUS(シフィウス)」とは、米企業や事業への海外からの直接投資の影響を国家安全保障の観点から検討する委員会。米国の代表的な省庁のトップによって構成されており、財務長官が議長を務める)
 IEEPA(国際緊急経済権限法)の発動(※)という、厳しい対応となる可能性もありましたが、融和的なアプローチが決定しました。
(※編集部注:「IEEPA」とは、外交や経済、安全保障に対する重大な脅威に対して非常事態宣言を発動し、金融制裁を用いて対処するための米国の法律のこと)
 これを受けて、中国への対応がそれほど厳しいものにはならないのではないかという見方が市場で広がり、株価が上昇。米ドル/円も一時、110.49円まで買い上げられました。
 ただ、その後にクドローNEC(米国家経済会議)委員長が、米国が通商面で要求していることに対して、「これまでのところ中国側の対応は満足のいくものではなく、トランプ大統領は中国への強気の姿勢を崩していない」と発言しました。
 この発言を受けて、今度はリスクオフから株が下落し、為替市場は円高になるという反応が見られました。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
 ここでは、直近の例を引き合いに出してみましたが、最近の相場展開は連日、大体、似たような動きを見せています。
 この問題の交渉の結果が、はっきりと見えてくるまでは、市場は方向感を出せず、今のようなふらついた動きを続けるのではないかと考えています。
【参考記事】
●米中貿易戦争激化でも中国株以外はなぜ安定?中国が早晩、妥協するとみる理由は?(6月22日、陳満咲杜)
 トランプ米大統領自身も、今の段階でゴールがはっきりと…
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貿易戦争を警戒してるのに米ドルはなぜ 安定している? 米ドル/円は需給に注目!

■市場の関心事は今度は通商問題に 市場の関心事は、常に目まぐるしく変わります。
 「地政学リスク」から「金融政策」に注目が移ったと思えば、今度は「通商問題」です。
 ここ数日間は、他の材料に乏しい中、米国と中国間での貿易を巡る関税措置の対抗合戦が、貿易戦争につながるのではないかという懸念が広がって、米ドルの重しとなっています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 米ドルの金利が、主要国通貨の中で、もっとも高くなったということは、中期的な米ドル高の可能性を高くしていると、私は考えています。
【参考記事】
●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
主要国の政策金利の推移(2015年~、カッコ内は現在の政策金利)※FRB、各国の中央銀行のデータを基にザイFX!が作成
 しかし、為替相場は、金利動向だけで動くことはありません。特に、地政学リスクや貿易摩擦などは、材料になりやすいです。
■出口は見えず。市場は不安定に… 今回は、米中の貿易摩擦が注目されるようになってきました。
 FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、「貿易摩擦が経済成長を脅かしかねない」との見解を示し、「調査先から投資や人材採用の延期決定について耳にしている。これは初めてのことだ」と、具体的な事例を挙げて説明しました。
 具体的な事例が出てくると、市場も反応しやすくなります。
【参考記事】
●ECBの利上げ期待剥落でユーロ急落! 米中貿易摩擦の激化は米ドル安要因に?(6月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
 実は、米中の貿易摩擦の問題は、最近になって出てきた話ではなく、以前からわかっていました。
 しかし、本格的な貿易摩擦になるまでに、何らかの話し合いが行われ、ある程度の妥協案が出てくるのではないかという期待感がありました。
 しかし、中国は6月21日(木)に、トランプ米大統領による最新の関税警告が現実となった場合、中国としても反撃する用意があることを、改めて表明しています。
 まだまだ、この問題の出口が見えてきません。
 そのことが、市場を不安定にさせ、株式市場も軟調となり、米ドルも売らるという現象となっています。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
日経平均 日足(出所:Bloomberg)
 しかし、米ドルの下落幅は、それほど大きなものではなく、今のところ…
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金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!

■地政学リスクが減ったのはマーケットにとっては良いこと 今週(6月11日~)は、注目材料が目白押しの1週間でした。
 まず、米朝首脳会談(12日)です。
 これに関しては、正直な感想は、問題の先送りです。両首脳が署名した声明を見ても、具体的なことは、ほとんどありません。
 最大の関心であった「非核化」に向けては、「これから協議をしましょう」ということが決まっただけです。
【参考記事】
●初の米朝首脳会談への評価は真っ二つ!? 米中通商問題が引き続きリスク要因に!(6月14日、西原宏一)
 ただ、当面、米韓合同軍事演習は行われないことになったことと、当面、北朝鮮が軍事行動に出ることもなくなったため、「地政学リスク」がかなり減ったということは、マーケット的には良いことだと思います。
史上初の米朝首脳会談は、声明文に具体的な内容がほとんど盛り込まれず、今後の協議に委ねられる格好となった。ただ、米韓合同軍事演習の当面の中止や北朝鮮が軍事行動に出ることがなくなったという点では、マーケットにとってはポジティブとなりそう(C)Handout/Getty Images
 今後、何か問題が起きるとすれば、非核化への協議の中で、交渉が決裂することでしょう。まったくない話ではないので、常に頭の中に入れておきたいところです。
■米国が先進国の中では高金利通貨に!? 2つ目は、FOMC(米連邦公開市場委員会)です。
 13日(水)、FOMCは政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標レンジを0.25%引き上げ、1.75~2.00%にすることを決定しました。
 併せて、今年(2018年)は、あと2回、利上げを実施する見通しも示しました。
2018年6月FOMCで示されたドットチャート(出所:FRB)
 決定後は、米ドルが上昇するかと思われましたが、利上げは予想どおりだったこともあってか、どちらかというと利食いの場とされて、米ドルは軟化しました。
米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
 しかし、先進国の通貨の中で、米ドルがもっとも金利の高い通貨となったことも事実です。現状、米ドルは、オセアニア通貨よりも金利が高くなっています。
※FRB、各国の中央銀行のデータを基にザイFX!が作成
■ECB理事会でユーロが急落! 米国がこうした決定をした一方、FOMCの翌日(14日)に行われたECB(欧州中央銀行)理事会での決定は、対照的でした。
 ECBは債券の購入額を「10月から半減させ、12月には終了する」ことを決定しましたが、その一方で、「少なくとも2019年夏の終わりまで、政策金利を現行水準に据え置く」と表明。
 ドラギECB総裁は会見で、「見通しに対するリスクを過小評価したくない」などと述べ、「かなりの刺激策が依然として必要だ」との見解を示しました。
 市場は、かなりタカ派の内容が出てくるのではないかと期待していたために、決定後、ユーロは急落しました。
 ユーロ/米ドルは、1.18ドル台半ばから、一気に1.15ドル台半ばまで、ユーロ円も、130円台から127円台に突入しています。
ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
ユーロ/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
 そして、本日(15日)は、日銀が金融政策決定会合を開催しましたが…
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政治リスク早期収束で注目は金融政策へ! ECBテーパリング開始ならユーロ/円に妙味

■懸念材料のほとんどが短期間で解決 前回のコラムで、さまざまな政治的な懸念材料を列挙しましたが、そのほとんどが短期間で解決してしまいました。
【参考記事】
●5つの政治的リスク噴出でリスクオフに! でも、大きな円高局面は円売りチャンス!?(5月31日、今井雅人)
 一時は中止かと心配された米朝首脳会談ですが、紆余曲折がありながらも、予定どおり6月12日(火)に、シンガポールで開催される見込みとなりました。
 会談の中身は、まだ不明ではありますが、トランプ米大統領も即時の非核化までは求めないと述べており、一応の合意をみることは確実になってきています。
■市場はリスクオフからリスクオンへ転換! 欧州の政治混乱も、ユーロの急落などを招きましたが、こちらもすぐに収束しました。
ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
 イタリアでは、何とか連立政権が成立し、事なきを得ました。スペインでは、内閣不信任が可決されたものの、政権交代だけということで、こちらも落ち着きを見せています。
【参考記事】
●ユーロ急落の主犯は日本の機関投資家? 米欧貿易戦争の激化による円高に警戒!(6月4日、西原宏一&大橋ひろこ)
 トランプ米大統領が、中国や日本に対して、厳しい通商交渉の姿勢を見せているものの、NAFTA(北米自由貿易協定)や米韓FTA(自由貿易協定)の見直し交渉を見ても、トランプ大統領自身が、どこかに落としどころを持って交渉を仕掛けてきている様子も見られます。
 そのため、今後、致命的な決裂は避けられる可能性は十分あると、市場も認識してきているようです。
 これらの政治リスクが意外に早く一服したため、市場も一時のリスクオフの状態から、リスクオンの状態に転換してきています。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
■FOMCの利上げは中期的な米ドル高要因!? その上で注目したいのが、各国の金融政策です。
 米国では、6月12日(火)、13日(水)の日程で、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、今回は、0.25%の利上げが確実視されています。
【参考記事】
●FOMCで利上げした後はドル/円が下がりやすい。ユーロ/ドルは下ヒゲ長く反発示唆(6月5日、バカラ村)
 市場への短期的な影響はないという気もしますが、米国の短期金利が上昇するということは、やはり、中期的な米ドル高の流れを作るのではないかと考えています。
米2年物国債利回り(左軸)とドルインデックス(右軸)の推移(出所:Bloomberg)
 心配なのは、新興国通貨です。米国の短期金利が上昇すると…
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5つの政治的リスク噴出でリスクオフに! でも、大きな円高局面は円売りチャンス!?

■政治的なリスク要因が一気に噴出! しばらく、政治環境が安定していたために、金利に注目する相場展開が続いていましたが、ここにきて、一気に政治的なリスク要因が噴出しています。
【参考記事】
●トランプ大統領が米朝首脳会談中止を発表! 金利から政治リスクを意識する相場へ転換(5月25日、今井雅人)
 市場は意表をつかれた形で、かなり、動揺が走っている状況となっています。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 まずは、今、問題になっている政治リスクについて、整理してみたいと思います。
■先の動きが読めない者同士の首脳会談1.米朝首脳会談
 トランプ米大統領が、6月12日(火)に予定されていた米朝首脳会談を取りやめにすることを示唆して、市場に衝撃が走りました。
【参考記事】
●トランプ大統領が米朝首脳会談中止を発表! 金利から政治リスクを意識する相場へ転換(5月25日、今井雅人)
 しかし、その後、北朝鮮の金委員長が首脳会談の開催を希望し、韓国も仲裁に入ったことから、予定どおり開催される見通しが立ってきました。
5月24日(木)、トランプ大統領が米朝首脳会談の中止を通告したことで市場には衝撃が走った。その後、会談が予定どおりに開催される見通しが立ってきたものの… (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
 しかし、トランプ米大統領と金委員長の両名とも、先の行動が読めないトップです。無事に開催されるかどうかに、注目が集まります。
【参考記事】
●米朝首脳会談の中止で円高になったわけではない! 円高になった真の理由とは?(5月25日、陳満咲杜)
■予断を許さない欧州の政治不安2.イタリアの政治不安
 イタリアでは、3月の総選挙以来、政治の空白が続いていて、連立交渉が行われてきましたが、それが決裂してしまいました。
 マッタレッラ伊大統領が、5月27日(日)に、ポピュリズム政党の「五つ星運動」と右派の「同盟」両党が推したユーロ懐疑派のエコノミストを経済財政相に起用することを拒否したことで、両党は連立を断念しました。
 これにより、7月にも再選挙が実施される公算が高くなっています。
 今後、どういった展開になるか、予断を許さない状況です。
3.スペインの政治不安
 スペインでは、与党・国民党(PP)の議員に絡む大規模な汚職問題を巡り、ラホイ首相に対する不信任決議案が、6月1日(金)に採決される見通しとなりました。
 スペイン議会は5月28日(月)、5月31日(木)と6月1日(金)に、討論と採決を行う日程で合意しています。
 その採決も、どういう結果になるのか、まだ予断を許さない状況です。
【参考記事】
●政局混迷でユーロ/米ドルは6週連続陰線! サウジ増産示唆で原油急落! 影響は…!?(5月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
 トランプ米大統領は5月29日(火)、中国に対して…