■米ドルは下げ一服、切り返しの兆しが見られる 前回の本コラムでは、さらなる米ドルの全面安に懐疑的な見方を示した。
【参考記事】
●さらなる米ドル全面安に懐疑的な2つの理由とは? でも、逆張りの米ドル買いも危険(2017年9月8日、陳満咲杜)
まだ初歩的な段階にすぎないが、結果的に先週末(2017年9月8日)の安値トライが目先の底であることが示唆され、今週(9月11日~)の週明けから米ドルは下げ一服、また、切り返しの兆しが見られる。
ドルインデックス 4時間足(出所:Bloomberg)
先週(9月4日~)の続落、また安値更新は、北朝鮮の核実験がもたらした地政学リスクの強まりや、ハリケーンの損害が米利上げ観測の後退につながったことなど、諸要素の重なりによって引き起こされた結果といえる。
が、2017年年初来、ほぼ一本調子の急落を果たしてきただけに、売られすぎの極みで、いわゆるベア(下落)トレンドのクライマックスを迎えていたことは見逃せない。
そもそも、先週末(9月8日)の安値で計算すれば、2017年年初来、米ドルの下落幅はすでに11%に達していたことがわかる。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
それは、1985年のプラザ合意以来、最も悪いパフォーマンスだ。あのブレトンウッズ体制が崩壊した1973年でさえ、10%の下落に留まったことから考えると、いくら何でも2017年年初来の米ドル安が行きすぎであったことを悟れるのではないだろうか。
2017年年末まで、あと3カ月半もあるから、米ドル安の進行が今のスピードを保つなら、それこそプラザ合意の1985年を超える下落幅を達成してしまう。
■さらなる米ドル売りの可能性が小さくなったとする理由とは? しかし、米利上げサイクルにあり、また、米国株が上昇し続けている状況において、1985年を超える米ドル安の進行があれば(有事の米ドル売りと言われているが)、まさに「非常事態」というほかあるまい。
仮に、このような米ドル安継続の市況があれば、今回は「逆プラザ合意」、すなわち米ドル安を阻止する国際協力体制が構築されてもおかしくなかろう。
当然のように、「相場は理外の理」、また、「相場のことは相場に聞け」と言われるように、市場における値動きの形成にはそれなりの理由があり、ここまで米ドルが売られてきたのにも当然わけがあった。
しかし、今一度見直せば、さらなる米ドル売りの可能性がだいぶ小さくなったのもおわかりいただけるかと思う。
まとめてみれば、米ドル売りを仕掛ける投機筋の動機は…