ブログ

中国景気減速による試練はまだまだ続く! もみ合いのあとはジリジリと円高・株安へ

■行き過ぎ感からの反転で、本格回復する環境ではない 日銀のマイナス金利採用以降、急激な円高・株安の荒波となりましたが、その後、短期的な行き過ぎ感から、相場は自律反転し、現在に至っています。
 まず、結論から言うと、最近の戻しは、あくまでもポジション調整に過ぎないということです。ショックが一時的に終わり、本格的に回復していくような環境には、まったくありません。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日経平均 日足(出所:株マップ.com)
■中国景気減速の打撃は、新興国も日本もまだまだ続く… 先日、中国の1月貿易統計が発表されましたが、前年同月比で見ると、貿易全体は14.3%のマイナス、輸出は11.2%のマイナス、輸入は18.8%のマイナスとなっています。1年前と比べると、激しい落ち込みです。
 中国の貿易が縮小することは世界経済、特に新興国へのマイナス影響が大きいということは、以前にも紹介しました。
【参考記事】
●ドル/円120円~121円台はなぜ買いなの? 安易な新興国通貨への投資は止めよう!(2015年12月17日、今井雅人)
●急激な円高は一服か。けれど2016年は強気相場にならない。1月に日銀追加緩和も…(1月7日、今井雅人)
●日銀追加緩和は今回なくても近々あるか!?米ドル高相場にならないと思う理由とは?(1月28日、今井雅人)
●日銀マイナス金利導入の影響は終わり!少しレンジディールに徹する時期にきた(2月4日、今井雅人)
 たとえば、米格付会社大手のS&Pがブラジルの格付けをジャンク級の領域で、さらに一段階引き下げるという事態に陥っています。
 新興国の試練はまだまだ続きます。金利が高いからといって安易に新興国通貨を買うことは避けるべきでしょう。
 さらに日本にとっても、中国は最大の貿易国でありますから、中国経済が減速すれば、企業業績にもマイナスの影響が出ることは自明の理です。
 株価にも当然マイナス。中国が2016年に景気回復に向かうことはほとんどありえないでしょうから、その影響はかなり長い期間に渡って続くということになってくると思います。
■状況が悪化すれば米国だって再び金融緩和に舵を切る 米国でも利上げの継続に黄色信号がついています。
 FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバーも世界経済の先行きに懸念を示しています。信用リスクに関しての懸念が広がることも警戒しているということが、議事録や関係者の発言からも見て取れます。
 こうした状況を勘案すれば、次の利上げは、かなり先送りになりそうな気配だと思えます。
 極端なことを言えば、状況がさらに悪化すれば、政策を大きく転換して、再び金融緩和に舵を切ることだってありえなくはないと考えています。
 欧州の銀行の収益悪化も…
News

大口預金への事実上のマイナス金利導入も調査・研究=全銀協会長

[東京 18日 ロイター] - 全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は18日の定例会見で、日銀のマイナス金利政策導入について、金利のさらなる低下により金融機関の預貸金などの金利収益に相応の影響が出るとの見通しを示した。ただ、影響の大きさは今後、精査する必要があるとした。
ブログ

日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか?

■黒田総裁の切り札「マイナス金利」の評判は芳しくない 黒田日銀総裁が切り札として投入した「マイナス金利」ですが、マーケットの評判は芳しくありません…。
【参考記事】
●日銀のマイナス金利導入で相場大荒れ! 米ドル/円は急上昇→急反落→ジリ上げ
黒田総裁が切り札として繰り出した「マイナス金利」だったが、マーケットの評判は芳しくない…。マイナス金利導入が急激な「株安・円高」を誘引したとの報道も多くなっている (C)Bloomberg
 過去のコラムでも触れましたが、1月29日(金)という時期に発表されたこともあり、多くの運用担当者は、2016年度の運用計画を大幅に見直す必要に迫られ、会議の連続…。
【参考記事】
●日銀のマイナス金利の効果は賛否両論。円安・株高は中長期マネーがカギを握る(2月4日、西原宏一)
 また、外資系銀行はECB(欧州中央銀行)がすでにマイナス金利を導入しているため問題ないようですが、邦銀、とくに地方銀行はマイナス金利を入力できるよう、システム面での対応を急遽迫られています。
 加えて、こうした金融機関の労力にも関わらず、「マイナス金利導入」が急激な「株安・円高」を誘引したとの報道が多く、「マイナス金利」の評判をさらに落とす結果になっています。
■ヘッジファンドの狙い撃ちで「急速な株安・円高」を誘引 ただ、米ドル/円の115円からの急落は、2月の日経225オプションのSQ(※)を利用して、ヘッジファンドに狙い撃ちされたと言われています。
(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)
【参考記事】
●3月株価暴落をジム・ロジャーズが警鐘!NYダウ下落なら本格的なリスクオフ相場に(2月16日、西原宏一&松崎美子)
 2月12日(金)は日経225オプションのSQ。
 SQ前日はマーケットが荒れる傾向にあるのですが、今回のSQ前日は日本市場は建国記念の日の祝日で休場、中国も春節(旧正月)で休場であったため、流動性が枯渇する中、ヘッジファンド勢に狙い撃ちされ、急速な株安・円高を誘引したと言われています。
 実際、今回、日経平均のSQ値は1万5156円という安値で終わっています。そしてSQ値が安値で決まったあとは、日経平均と米ドル/円が反発しました。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 ただ、今回の「急速な株安・円高」の流れは、「日銀のマイナス金利導入」後に起こっていることも確かであるため、当局も対応に追われています。
 前回のコラムでご紹介したように「介入」を示唆するコメントも多数。
【参考記事】
●行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー完成のドル/円は105円台へ下落の公算(2月12日、西原宏一)
 加えて、本邦年金と思われる大口の日本株の買いが持ち込まれ、前述のヘッジファンド勢の買い戻しも加わり、「日経平均と米ドル/円」はなんとか値を戻しています。
日経平均 日足(出所:株マップ.com)
  こうしたセンチメントの悪化を改善するには、本邦当局の単独介入という一時的な措置ではなく…