<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計がどうあれドル/円底割れ回避か。</i> 消去法での円売り、ユーロ売りが再び進む ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計がどうあれドル/円底割れ回避か。</i> 消去法での円売り、ユーロ売りが再び進む

■米雇用統計がどうあれ、米ドル/円は底割れ回避か ドルインデックスが反落を続ける中、米ドル/円が保ち合いを維持しているがゆえに、ユーロ/円、英ポンド/円の強さが目立つ。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 特に英ポンド/円は、英選挙情勢を反映し、英ポンド/米ドルの切り返しとリンクした形で2月高値を突破し、前回のコラムで指摘した187円の上値ターゲットに一段と近づいてきた。

【参考記事】

●ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか(2015年5月1日、陳満咲杜)

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 選挙の最終結果、また、本日(5月8日)の米雇用統計次第で、市場がまた波乱となってもおかしくないが、円買い基調は当面遠のいたと言える。

 もっとも、たびたび指摘してきたように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)経由の影響を考えると、ドルインデックスがブル(上昇)基調を保った上でスピード調整を行っている間は、米ドル/円の底堅さにつながりやすいから、今はまさにそのような市況だと思う。

 本日(5月8日)の米雇用統計の影響を考慮しても、基本的には米ドル/円は底割れを回避でき、上放れの公算が高いとみる。

米ドル/円 日足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■ドルインデックスの反落はあくまでスピード調整 言うまでもないが、ドルインデックスのメイン基調も重要だ。

 3月高値を起点とした反落波の値幅が拡大されている足元では、米ドル高のトレンドがすでに転換されたのでは…といった見方も浮上しているが、米金融政策が規定路線どおり進んでいる以上、米ドル高トレンドの早期終焉といったシナリオ自体、かなりリスクの高い判断だと思う。

 言い換えれば、3月高値からの反落は、あくまで米ドル高に対するスピード調整と見なした方が無難だ。

ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM)

 今晩(5月8日)の米雇用統計次第で、利上げ時期に関する思惑はまたくすぶるが、利上げ路線が変わらない限り、それは時間の問題であり、FRB(米連邦準備制度理事会)の出口政策は、すでに実施されているという事実も変わらない。

 また、足元まで米ドル全体の反落の値幅が拡大している原因は、米ドル自体の問題のみではなく、諸外貨サイドの要素も重なったところが大きい。

 ユーロサイドでは、ギリシャ問題の先送りや… 
人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか ブログ

人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか

■ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入る みなさん、こんにちは。

 2015年のマーケットの主役は、相変わらずユーロ圏ですが、ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入っています。

ユーロVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)

 先週のコラムでご紹介した英ポンド/円は、182円台と高値圏で推移していますが、英総選挙を直前に控え、いったん調整気味。

【参考記事】

●英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、ここに来て、英ポンドは注目を集めている?(4月30日、西原宏一)

英ポンド/円 日足(出所:米国FXCM)

 その間隙をぬって、ユーロ/円が135円を超える上昇を見せています。ユーロ/米ドルも1.13ドル台へ。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

■ビル・グロス氏の発言きっかけにドイツ国債利回りが急騰 このところ、ドイツ10年国債利回りが急騰しています。

 これは、4月21日(火)のビル・グロス氏(※)による下記のコメントがきっかけ。


「人生最大のドイツ国債売りのチャンス」

 彼のコメント以降、ECB(欧州中央銀行)がQE(量的緩和策)を実施しているにもかかわらず、ドイツ10年国債利回りは急騰しています。

【参考記事】

●すさまじいECBのQE開始でユーロ急落! ユーロ/円は120円に向けて続落か(3月12日、西原宏一)

(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、米国の債券運用会社「パシフィック・インベストメント・マネジメント・ カンパニー(PIMCO)の共同創業者で、「債券王」との異名を持つ世界的に有名なファンドマネージャー。2014年にPIMCO社を退社し、現在は、米 国の資産運用会社「ジャナス・キャピタル・グループ」に所属している)

ドイツ10年国債利回り(ドイツ長期金利) 日足(出所:CQG)

 ドイツ10年国債利回りは、本稿執筆時点までの段階で一時、0.58%と、4月下旬のボトムから50ベーシスポイントもの急騰(※)。

 呼応して、米国10年国債利回りも、2.2%台と3月上旬以来の水準まで上昇しています。

(※編集部注:その後、ドイツ10年国債利回りはさらに爆上げ。5月7日(木)の欧州時間に一時、0.79%付近まで上昇している模様)

米10年国債利回り(米長期金利) 日足(出所:CQG)

 グローバルな国債利回りの急騰に連れて、株式相場も反落。

 欧州や米国など、他の株式相場の下落に連れて、日経平均も急落しており、本稿執筆時点では、1万9290円と1万9300円を割り込んでいる展開。

 この動きは「セル・イン・メイ(Sell in May)」と…
豪ドル/円はもう一段上昇もあり得るが、 95円台近辺で買うのはやめた方がよい! ブログ

豪ドル/円はもう一段上昇もあり得るが、 95円台近辺で買うのはやめた方がよい!

■豪ドル/円は月足でボックス相場を形成中 今回は豪ドル/円の分析を行なう。まずは、月足チャートをご覧いただきたい。

 月足チャートを見ると、右端のサポート・ライン「緑の破線」に沿った上昇が続いた結果、「紫の破線」で示した「下値72円-上値90円のボックス相場」を上に抜けて、「買いシグナル」を点灯させて上昇したことがわかる。

豪ドル/円 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 この「買いシグナル」で、豪ドル/円は、105円台の高値をつけているが、105円台から86円台にまで大きく急落している。

 86円台からは、再び大きく反発(上昇)して、今のところ、102円台後半の高値をつけている。

 俯瞰すると、豪ドル/円は、「赤の破線」で示したボックス相場を形成中と考える。

 現在の豪ドル/円は、このボックス相場「赤の破線」に注目するべき、と考えている。

 直近の値動きで、右端のサポート・ライン「緑の破線」を割り込んだようにも見える。

 明確に、割り込む場合は「売りシグナル」だが、現時点では微妙で、「売りシグナル」とは判断できない状況だ。相場が、このまま反転上昇する場合は、右端のサポート・ライン「緑の破線」の傾きを緩やかにして、修正することになるからだ。

 この月足チャートでは、右端のサポート・ライン「緑の破線」の傾きを少し緩やかにして、修正している。

■最近の動きは2007年、2008年ごろの値動きに似ている 参考に、2007年、2008年ころの値動きに「ピンクの破線」でボックス相場を表示した。

豪ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 この頃は、ボックス相場「ピンクの破線」の内側で、サポート・ライン「緑の破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を何回か発したのだが、その都度、反発(上昇)している。

 そして、最終的には、ボックス相場「ピンクの破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を発した。

 最近の値動きが、この頃に似ている、と感じている。つまり、時間が経過すると、現在のボックス相場「赤の破線」を割り込むことで明確な「売りシグナル」を発することになるのではないか、と考えている。

■週足では2009年半ばから2012年までボックス相場 続いて、週足チャートをご覧いただきたい。豪ドル/円は2009年半ばから2012年までの期間、「緑の破線」で示した「下値72円-上値90円の18円幅のボックス相場」を作った。 

豪ドル/円 週足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 2013年の初めに、このボックス相場を上に抜けたことで「買いシグナル」を発して、上昇を始めた。

 ボックス相場のセオリーに従うならば、ボックス相場上抜けの場合は、上限からボックス相場の値幅分上昇したところがターゲットになる。

 このケースでは、上限が90.00円、ボックス相場の値幅が18円だから、ターゲットは、108円になる。

 しかし、すでにターゲットを達成した可能性があることに留意する必要がある。

 この時点での高値は、105円台半ば(105.40-50円)程度だ。

 ターゲットは108円程度なので、まだ2円ほど余地がある、と考える人もいることだろう。

 しかし、チャート分析でのターゲットは、そのような厳密なものではなく、「だいたいこのくらい」といった「いいかげんなもの、大まかなもの」だ。

 豪ドル/円は105円台の高値から下落に転じ、「紫の破線」で示したボックス相場を形成していた、と考える。 

豪ドル/円 週足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 そして、ボックス相場「紫の破線」の上限を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。

 月足チャートに表示したボックス相場「赤の破線」を、週足チャートにも、同じように、「赤の破線」で表示した。

 繰り返しになるが、現在は、「赤の破線」で示した大きなボックス相場を形成中であり、このボックス相場「赤の破線」に注目するべき、と考えている。

 直近の値動きで、サポート・ライン「青の破線」を割り込んだようにも見えた。しかし現時点では微妙で、「売りシグナル」とは判断できない、と考える。

 サポート・ライン「青の破線」の傾きを、少し緩やかにして、修正した。

 次に、日足チャートをご覧いただき…
日経平均2万円達成で官製相場も終盤に!? 調整済みのドル/円よりユーロ/ドルに注意 ブログ

日経平均2万円達成で官製相場も終盤に!? 調整済みのドル/円よりユーロ/ドルに注意

■米国の早期利上げ期待低下で米ドル高に変化 GW(ゴールデンウィーク)も終わり、日本も、また本格的な活動が始まります。日本がお休みであった1週間の間に、世界の金融市場ではこれまでのトレンドを調整する動きが出てきています。

 まず、その1つの要因となっているのは、前回のコラムでもご紹介したとおり、米国の利上げが先に伸びる可能性が高まったことで、利上げを前提とした米ドル高という期待感が低下してきたことがあると思います。

【参考記事】

●大義名分なき追加緩和を見送った日銀!米FOMC利上げは6月ではなく9月頃か(4月30日、今井雅人)

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

■まずは、米雇用統計に注目したい! 最近の米国の経済指標は、まだら模様で、そのことが早期利上げ期待を低下させています。ですから、今後も、これからの米国の経済指標をよく見ておく必要があるでしょう。

 目先の注目は、明日5月8日(金)に発表される米国の雇用統計4月分。非農業部門雇用者数変化が前月比23万人増加、失業率5.4%となると予想されています。

 この動向をよく見ておきたいと思います。

米雇用統計(失業率&非農業部門雇用者数変化の推移)(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

■イエレン発言で米国株下落&長期金利上昇 一方で、それとは少し違った観点ですが、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が興味深いことを発言しています。

 昨日、5月6日(水)の講演での発言ですが、「現時点で株式市場のバリュエーションが、総じてかなり高くなっていることに留意してほしい」と警告を発したほか、「債券の安全資産のリターンに比べれば、株式のリターンはさほど高くない。債券のリターンも非常に低い。しかし、ここに危険性が潜んでいる可能性がある」との懸念を表明。

 また、「債券利回りは、FOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが始まったところで、急激に上昇する可能性がある」ことにも言及しました。

 つまり今の米国の株価は高過ぎるし、長期金利は低過ぎるという警告をしたワケです。

 この発言を受けて、米国の長期金利が急上昇、株価も軟調に推移しています。

米国10年債利回り(長期金利) 1時間足(出所:CQG)

米国株(US30) 4時間足(出所:米国FXCM)

 利上げの時期が先送りになったのに、こういう動きになるのは、一見逆の動きのように見えますが、それだけ、市場が一方向に歪み過ぎているので、実際に利上げが始まる前に調整しておきたいというイエレンFRB議長の意思表示に反応しているということだと思います。

 また、ドイツを始め、欧州の長期金利も…
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<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。</i> ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか

■ドルインデックスの反落は、トレンド転換なのか? 米ドル安・円安の同時進行、といった市況が鮮明になりつつある。

 米ドル全体のパフォーマンスを示すドルインデックスの反落は大きく、3月安値を下回ると下落は加速。昨日(4月30日)はメインサポートラインにトライしていたほどだ。

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 ドルインデックスの反落は、米第1四半期GDPが芳しくなかったことにより加速したが、テクニカルの視点では、大きなサインがあった、4月27日(月)の筆者のツイートをもって説明したい。

 要するに、4月13日(月)高値99.99を「ヘッド」と見なし、4月6日(月)と4月27日(月)安値を連結した「ネックライン」を下回ったから、「ヘッド&ショルダーズ(※)」の下放れが成立し、一段と下落余地が拡大したわけだ。ちなみに、この下放れの下値計算値は、すでに達成されている。

 ここに来て、2014年5月安値を起点とした大型米ドル高トレンドが、一服しただけではなく、すでに転換したのではないかという見方もある。トレンド転換の可能性を測る「1-2-3」の法則に沿って、ドルインデックス日足におけるポイントを表示すると、以下のチャートのようになる。

【「1-2-3の法則」に関する参考記事】

●「1-2-3の法則」に基づくトレードの例(「材料はどうにでも解釈できる。そんなことより相場の本音を聞け!」(陳満咲杜)より)

●「1-2-3の法則」とは?(「中川問題は関係ない!? 為替相場で円安が進んでいる本当の理由」(陳満咲杜)より)

(※編集部注:「ヘッド&ショルダーズ」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。典型的なものは3つの山がある形で、これを人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダーズ」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)

ドルインデックス 日足(4月29日作成、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 具体的な解釈は筆者のブログに記載しているので、ここでは省略するが、米ドル高トレンドが転換されるなら、ユーロをはじめ、諸外貨のベア(下落)トレンドも修正されるはずであり、ユーロ危機はすでに終焉したと思われることになるが、果たしてそうなるだろうか。

■ユーロ/米ドルの反騰はスピード調整と解釈するのが妥当 ユーロ/米ドルのGMMAチャートで見ると、2014年5月高値から一貫してベアトレンドを推進してきたユーロは、初めてレジスタンスゾーンを示す長期線グループ(ピンク)を上回っているが、メインレジスタンスライン(緑)にはほど遠い位置にあることがわかる。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:アイネット証券)

 となると、3月安値を起点とした切返しをトレンド転換と認定するには性急で、売られすぎだった状況に対するスピード調整、といった位置づけが妥当であることが示唆される。

 この見方は、月足でみると… 
英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、 ここに来て、英ポンドは注目を集めている? ブログ

英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、 ここに来て、英ポンドは注目を集めている?

■利上げ時期がはっきりしない米国 みなさん、こんにちは。

 主要通貨の中で唯一、金利の正常化、つまり利上げに向かっているのが米国。

【参考記事】

●金融緩和競争を米国が静観する理由は? ドル/円は底固めから122円へ向け上昇か(2月5日、西原宏一)

 しかし、利上げが予測されてはいるのですが、米国の経済指標がまだらであるため、その利上げの開始時期がはっきりしません。

 そのため、米ドル高のスピードが徐々に弱まってきました。

米ドルVS世界の通貨 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)

 ドルインデックスが100を超えてきたあたりから、米ドル高相場に変化が起きています。

ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM)

■BOEの次の一手は「利上げ」 そうした中、利上げ時期のはっきりしないFRB(米連邦準備制度理事会)より、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の利上げが徐々に注目を集めるようになってきました。

 そして、2015年4月22日(水)にBOEが公開した、4月開催分の金融政策理事会(MPC)議事録をきっかけに、英ポンド買いが活発化。

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 この議事録の37番では、

「There was a range of views over the most likely future path of Bank Rate, but all members agreed that it was more likely than not that Bank Rate would rise over the three-year forecast period.」

(出所:BOE「Minutes of the Monetary Policy Committee meeting 8 and 9 April 2015」)

「政策金利変更の手段に関しては数々の意見があるが、3年先の見通しとして、理事全員(9名)が利上げに踏み切ると予想している」

 としています。

 3年先の見通しですが、この「理事全員が」という部分が「タカ派」。つまり、BOEの次の一手は「利上げ」ということです。

 結果、金利が正常化に向かっているのは、米国に加え、英国であるというコンセンサスへ。

【参考記事】

●安倍首相訪米中は年金がドル買いを遠慮!? ドル/円はGW明けから上がり出すイメージ(4月28日、西原宏一&松崎美子)

 これが「英国の総選挙を控え、英ポンドは不安定に推移する」というマーケットのコンセンサスを覆し、英ポンド反発のきっかけになりました。

■英ポンド/米ドルにはM&A絡みの大口フローの観測も 加えて、欧州の石油・ガス最大手、ロイヤル・ダッチ・シェルが、同業のBGグループを現金と株式、合計470億ポンドで買収したフローがマーケットに出ている観測もあり、4月の英ポンド/米ドルは大きく反発しました。

英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)

 英ポンド/米ドルの急反発は、「北海ブレント」(※1)が急反発していることもサポートとなっている模様。

 英ポンド/米ドルは、4月14日(火)につけた安値、1.4565ドルから、4月30日(木)に1.5499ドルまで急騰していますので、3週間弱で、1000ポイントに迫る急騰となっています。

 ここにきて、為替マーケットでは、「Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)」から「Grimbo(※2)」へと変遷するユーロよりも、英ポンドに焦点が集まっています。

(※1 「北海ブレント」とは、英国の北海油田で生産される原油のこと。欧州の原油価格の指標となっている)

(※2 編集部注:「Grimbo」とは、Greece + Limbo が合成されてできた言葉。Limboとは、長期に渡る不透明感や、長い間忘れ去られている事柄などを指す。EUとギリシャ政府の間で支援協議が合意できず、協議だけが長引いて、ギリシャがユーロ圏を離脱するのかしないのか、不透明な状況が続いているという意味だと思われる)

  英ポンド/米ドル同様、マーケットの注目が…
大義名分なき追加緩和を見送った日銀! 米FOMC利上げは6月ではなく9月頃か ブログ

大義名分なき追加緩和を見送った日銀! 米FOMC利上げは6月ではなく9月頃か

■かなり下方修正された米FOMC 米国では、4月28日(火)~29日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。

 今回は、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の定例記者会見などが予定されていなかったこともあり、声明文のみの判断となりましたが、経済の現状認識が、「冬季の経済成長は鈍化した」などと、かなりの下方修正となりました。

 その理由として、「一過性の要因を一部反映している」と断ってはいますが、29日(水)に発表された1-3月期米GDP速報値が、年率換算0.2%と市場予想の1.0%を大幅に下回る弱い数字となったことからしても、そう簡単に回復の軌道に乗るとも思えず、どうしても時間がかかってしまうことは否めません。

■6月FOMCでの利上げ可能性への言及はなし 今回の声明文では、フォワードガイダンスを「委員会はさらに労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想している」と、前回と同じ文言としましたが、同時にカレンダー的な言及を削除しています。

 前回は、「4月FOMCでの利上げの可能性は低い」と、次回FOMCでの利上げ可能性に言及。今回も、6月FOMCでの利上げ可能性への言及に注目が集まっていたのですが、あえて言及しないという判断となりました。

 前回の議事要旨からも明らかなように、数名のタカ派メンバーからは、6月FOMCでの利上げの議論がなされていたわけですが、今回もそういった意見なども尊重した形となりました。

【参考記事】

●FOMC議事録公表で6月利上げ説に暗雲。猫の目みたいなユーロも最終的には下落(2月19日、今井雅人)

●「辛抱強く(patient)」削除は予想どおり!ならばなぜFOMC後にドルは売られたか?(3月19日、今井雅人)

 雇用統計も、6月会合までに4月、5月と2回の数字を見極める必要があり、現状では決断することができなかったのかもしれません。

米雇用統計(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

■米利上げ開始の想定時期は2015年9月か!? ただ、前回のコラムでもお伝えしているとおり、たとえ今回の声明文から「6月FOMCでの利上げの可能性が排除されなかった」としても、それは、かなり可能性が低いことだと思っています。

【参考記事】

●ギリシャの苦しい台所事情に危機感増大。国債が売られ、長期金利は約14%へ上昇!(4月23日、今井雅人)

 今後の想定としては、2015年9月頃に利上げがあるという認識となってくるのではないでしょうか。

■日銀黒田総裁は、大義名分がない追加緩和を見送った また、4月30日(木)には、日銀が金融政策決定会合を開催。金融政策の維持を決定しました。

 海外勢中心に直前まで「追加緩和期待」の憶測が台頭していましたが、やはり大方の予想どおり、追加緩和は見送られました。

 一部からは「10兆円の資産買入れ増額」などが取り沙汰されてはいたものの、これも前回のコラムからお伝えしているように、最近の黒田日銀総裁の発言からは、追加緩和の兆しは感じられませんでした。

【参考記事】

●ギリシャの苦しい台所事情に危機感増大。国債が売られ、長期金利は約14%へ上昇!(4月23日、今井雅人)

●4月日銀追加緩和説は、なぜ盛り上がる?しかし、その可能性は低いとみる理由は?(4月16日、今井雅人)

 一貫して「足元のインフレ率は低いままだが、インフレ基調自体は着実に上昇してきている」との認識を崩していません。

 黒田日銀総裁自身に、追加緩和に対する大義名分がない以上、選択肢にはなかったような気がしています。

 ところで、為替市場ですが…
ユーロ/米ドルは反発しても1.11ドル近辺を 超えるまでは「売り」がセオリー! ブログ

ユーロ/米ドルは反発しても1.11ドル近辺を 超えるまでは「売り」がセオリー!

■ユーロ/米ドルは月足で高値圏での乱高下だったが… 今回は、ユーロ/米ドルの分析を行なう。まずは月足チャートをご覧いただきたい。 

ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 月足チャートで見ると、ユーロ/米ドルは、0.8500ドル近辺(安値は、0.8200ドル近辺)から、1.6000ドル近辺まで大きく上昇している。

 1.6000ドルの高値をつけて以降は、安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンで大きく上下動を繰り返した。

 この「安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンでの大きな上下動」は、個人的には、「高値圏での乱高下」だと、判断している。

 いつもではないのだが(必ずではないのだが)、一般的に、「高値圏での乱高下」は、「売りのシグナル」である。

 つまり、この大きな上下動は、いずれネック・ライン(下限)を下に割り込むことを示唆しているのだろう、と推測していた。

 このネック・ライン(下限)は、1.2000ドル近辺のことで、ネック・ライン(下限)を割り込む場合は、その後で、大きく下落する、と考える。 

 上述のように考えていたところ、1.2000ドルを割り込んだ。

 重要な節目(=チャート・ポイント)である1.2000ドルを割り込んだことで、「売りシグナル」を発した、と考える。

 サポート・ライン「緑の破線」は、その傾きを緩やかにして、2013年7月の安値1.27ドル台ミドルに合わせている。

 月足チャートを見てのとおりに、ユーロ/米ドルは、このサポート・ライン「緑の破線」を割り込んでいる。 

ユーロ/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 このサポート・ライン「緑の破線」を割り込んだ時点で、「売りシグナル」を発した、と考える。

 月足チャートに長期のサポート・ライン「赤の破線」を表示した。

 見てのとおり、ユーロ/米ドルはこの長期のサポート・ライン「赤の破線」を割り込み、その時点で「売りシグナル」を発した、と考える。

 高値1.4000ドル近辺からの下落に合わせて、レジスタンス・ライン「緑の破線」を加筆した。

 中長期のチャート(この月足チャート)で判断するならば、「赤の破線」を割り込んで発せられたこの「売りシグナル」のターゲットは、「紫の破線」で表示した1.18ドル台の水平線と考える。

 そして、月足チャートを見てのとおりに、上述のターゲットは、達成した、と考える。

■月足のウェッジを下抜けし、さらなる売りシグナル点灯 チャートに、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」を表示した。2008年以降のユーロ/米ドルが、下落トレンド(下落傾向)にあることを示している、と考える。 

ユーロ/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 また、1.18ドル台に「紫の破線」で水平線を表示した。

 これらの2本の「紫の破線」に注目すると、ユーロ/米ドルは、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成した、と考える。

 2015年年初の値動きで、重要なチャート・ポイント1.2000ドルを割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 そして、1.18ドル台の水平線「紫の破線」を、割り込み、「三角保ち合い(ウェッジ)」を下に抜けて、さらなる「売りシグナル」を発した、と考える。

■下落のターゲットは1.0000ドル近辺か 続いて、もう1つ別の月足チャートをご覧いただきたい。このチャートには、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」の平行線を表示した。 

ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 そして、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」とその平行線「紫の破線」の値幅を示すために、「緑の破線(両端矢印)」を表示した。

 この月足チャートを俯瞰すると、中長期のサポート・ライン「赤の破線」を割り込んで「売りシグナル」を発し、1.18ドル台の水平線「紫の破線」を割り込んでさらに「売りシグナル」を発した、と考える。これらの「売りシグナル」のターゲットは、パリティ(1.0000ドル)近辺と考えることができる。

■「ヘッド&ショルダー」のターゲットも1.0000ドル 続いて、3つ目の月足チャートをご覧いただきたい。

 ユーロ/米ドルの中長期のチャートの形状から、「ヘッド&ショルダー(※)」の可能性を考えていた。

(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。典型的なものは3つの山がある形で、これを人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)  

ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 当初は、3つの山で「ヘッド&ショルダー」を想定したのだが、3つの山では「ヘッド&ショルダー」を完成せずに、1.20ドル台から1.4000ドル近辺まで上昇した。

 しかし、1.4000ドル近辺から反転下落し、4つ目の山を作った、と考ええる。

 そして、1.2000ドル近辺(正確には、1.18ドル台ミドル)のネック・ラインを下に抜けて、4つの山の「ヘッド&ショルダー」を完成した、と考える。

 ネック・ライン(1.18ドル台ミドルの水平線)「紫の破線」を割り込んだ時点で、「ヘッド&ショルダー」を完成させて、「売りシグナル」を発した、と考える。

 この「ヘッド&ショルダー」のターゲットは、すでに述べたとおりに、パリティ(1.0000ドル)近辺、と考える。

 続いて、週足チャートをご覧いただき…
118円台への深押し歓迎?エリオット波動で 読み解く米ドル/円、122円台へのシナリオ ブログ

118円台への深押し歓迎?エリオット波動で 読み解く米ドル/円、122円台へのシナリオ

■ドルインデックスの反落はスピード調整という見方が優勢 マーケットは保ち合いが続いている。ドルインデックスは、今週(4月20日~)に入ってからの戻しは限定的で、足元は再度50日線(≒97.23)を打診、サポートの有無が注目される。

 ただし、3月高値を起点とした反落は、スピード調整と見なされ、これが拡大していくかどうかは問題だが、米ドル高トレンドの終焉ととらえる見方は現時点では少数派のようだ。

 米利上げ周期入りといったファンダメンタルズの材料と相俟って、テクニカルの視点でも、米ドル高の終焉を判断するにはなお性急だという示唆がある。

 もっともシンプルな見方として、下に掲載したドルインデックスの月足が示しているように、2005年11月高値から構築してきた大型トライアングル型保ち合いが2014年9月に上放れし、その上放れターゲットがまだ達成されていないということがある。

ドルインデックス 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 ちなみに、2001年高値を起点とした全下落幅に対する78.2%反騰位置は101.80前後。これは前述のターゲットより下に位置しているから、当面の上値余地として意識される。

■調整局面後に再度高値更新? それともダブルトップ形成? となると、筆者が4月19日(日)のレポートにて提示したドルインデックスの高値圏での保ち合いが、もっとも想定されやすいだろう。3月高値からトライアングル型整理局面を経て、再び高値を更新していく、というシナリオである。

ドルインデックス 日足(4月19日作成、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 もう1つのシナリオは、下のチャートが示すように、ドルインデックスがダブルトップを形成し、より深い調整波を形成していく可能性がある。

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 ただし、この見方は3月安値96.17の割り込みを前提条件とするだけに、目先、あくまでサプライズシナリオとして留意する程度に留まるだろう。

 米ドル/円に関しては、先週(4月24日)118.70円…
ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円 へ上昇するのが濃厚と考える理由とは? ブログ

ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円 へ上昇するのが濃厚と考える理由とは?

■欧州や米国勢の日本株への投資意欲が強い みなさん、こんにちは。

 4月に入って、欧州や米国勢の日本株買いが目立ちます。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 欧州や米国勢の日本株に対する評価は、2000年のITバブル期と違い、業績相場に移ったと考えているようで、日本株への投資意欲は変わらないようです。

日経平均 月足(出所:米国FXCM)

 2015年3月から4月にかけて、本邦のROE(自己資本利益率)関連への投資はもう一巡したと想定していたのですが、欧州や米国勢の日本株への断続的な買いが止まらず。

 特に多くの債券がマイナス金利に落ち込んでいる欧州のリアルマネーは、日本株の比率を上げている模様。

 そのため、4月は欧州時間に入ると、欧州のリアルマネーが頻繁に日本株への買いを持ち込んでいるようです。

■日経平均は2万2000円へ向けて上昇濃厚 日経平均は2万円の大台を回復。

 加えて、くじら(GPIF、3共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日銀)からの日本株投資も継続しています。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 一部報道では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)からの日本株への投資はいったん収まりつつあると言われていますが、次はかんぽ生命とゆうちょ銀行からの日本株への投資が控えています。

 「セル・イン・メイ(Sell in May)」と言われ、5月は米国株の調整懸念も残っていますが、業績相場に移行した日本株は2万円で底固めした後、2万2000円に向けて上昇する公算が濃厚。

日経平均 日足(出所:米国FXCM)

 アベノミクス初期の相場においては…