
この記事の要点
- 政府が2026年4月10日に金商法改正案を閣議決定
- 暗号資産を金融商品として初めて法的に位置づけ
- インサイダー取引禁止と発行者の年1回開示を導入
- 今国会成立なら早ければ2027年度に施行される見通し
暗号資産「金融商品」入りへ、金商法改正案を閣議決定
政府は2026年4月10日、暗号資産(仮想通貨)を金融商品取引法(金商法)上の金融商品として初めて位置づける改正案を閣議決定しました。
日本経済新聞の報道によると、改正案では未公表の内部情報をもとに売買するインサイダー取引を禁止し、暗号資産の発行者に年1回の情報開示を義務付ける内容が盛り込まれています。
金融庁はこれまで、暗号資産を支払い手段として位置づけて資金決済法で規制してきましたが、投資目的での利用が広がったことを踏まえ、金商法の枠組みに移す方針が示されました。
今国会で成立すれば、早ければ2027年度に施行される見通しで、登録業者の名称も「暗号資産交換業者」から「暗号資産取引業者」に変更される方向だと伝えられています。
片山さつき金融担当大臣は同日の閣議後記者会見で、今回の法案について「我が国の金融資本市場の変化に対応して成長資金の供給を拡大するとともに、市場の公正性・透明性及び投資者保護を確保するため、暗号資産にかかる規則の見直し」などを行うものだと説明し、今国会での早期審議を呼びかけました。
「2026年はデジタル元年」
資金決済法から金商法へ、規制の中身はどう変わるか
預託金5兆円超え、投資商品としての実態に対応
日本では2017年施行の改正資金決済法で、世界に先駆けて暗号資産(仮想通貨)を法的に位置づけた経緯があり、当時は決済手段としての性質が強く意識されていました。
その後、国内の暗号資産取引は投資目的での利用が大きく広がり、2025年10月時点で国内の暗号資産交換業者の口座数は延べ1,300万口座を超え、預託金残高は5兆円以上に達しています。
金融庁の資料では、取引動機の86.6%が「長期的な値上がり期待」と回答しており、決済手段というよりも投資商品として扱われている実態が鮮明となりました。
こうした投資目的での利用拡大を踏まえ、金融審議会の暗号資産制度に関するワーキング・グループは2025年12月10日、資金決済法から金商法への移行を提言する最終報告書を公表しており、今回の閣議決定はその提言を受けた立法措置とみられています。
インサイダー規制と年次開示、業者名称も変更へ
日経新聞の報道によると、改正案の柱となるのが、暗号資産を対象とするインサイダー取引規制の新設です。
投資判断に重要な影響を与えうる情報が規制対象となり、これまでの議論では新規上場計画やセキュリティ上の重大な脆弱性情報などが例として挙げられてきました。
こうした情報を投資家が事前に把握できる環境を整えるため、発行者には年1回の情報開示も義務付けられ、事業計画や基盤技術、リスクなどが開示対象になるとされています。
これら規制の新設と並行して、登録業者の名称も「暗号資産交換業者」から「暗号資産取引業者」に変わり、決済中心から投資中心への位置づけの転換が制度上も明示されることになります。
無登録販売の罰金1,000万円、拘禁刑は10年に
投資家保護の枠組み整備と並行して、無登録業者への罰則も以下のとおり大幅に強化される方向です。
| 項目 | 現行 | 改正案 |
|---|---|---|
| 無登録販売の拘禁刑 | 3年以下 | 10年以下 |
| 罰金 | 300万円以下 | 1,000万円以下 |
| 業者の登録名称 | 暗号資産交換業者 | 暗号資産取引業者 |
拘禁刑・罰金ともに3倍を超える引き上げとなり、投資家保護の姿勢を強く打ち出す内容だと伝えられています。
利用者にとっては、インサイダー取引や不公正取引に対する保護の枠組みが株式市場と同水準に近づき、暗号資産を投資対象として扱う際の法的な環境が整うことになります。
2027年度施行へ、分離課税20%の適用は2028年1月
改正案は今国会での成立を経て、早ければ2027年度に施行される見通しです。あわせて、税制面でも申告分離課税の導入に向けた動きが進んでいます。
この法改正と連動する形で、2025年12月19日に決定された2026年度税制改正大綱には、暗号資産取引に対する申告分離課税(20%)の導入と3年間の損失繰越控除制度の創設が明記されています。
税制改正大綱では新税制の適用開始日を「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」と規定しており、2027年度に金商法改正が施行された場合、分離課税の適用は2028年1月からとなる見込みです。
現行の最大約55%の総合課税から株式と同水準の一律約20%への引き下げが実現すれば、個人投資家の税負担は大きく軽減されるとみられています。
申告分離課税・暗号資産ETF解禁
海外が先行する規制整備、日本も国会審議が大詰めに
欧州や韓国ではすでに暗号資産のインサイダー取引規制が法制化されており、米国でも上院で市場構造法案「CLARITY法案」の早期成立に向けた動きが続いています。
日本は今回の閣議決定により、国際的な規制整備の流れに沿う形で、投資商品としての実態に応じた制度整備へ具体的な一歩を踏み出しました。
国会審議の行方と、2027年度の施行に向けた具体的な政省令の整備が、今後の焦点となっています。
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