
この記事の要点
- Grayscaleが2026年4月6日、量子コンピュータの暗号リスクを警告
- Googleの論文が示した脅威の到達点が「従来想定より近い」と指摘
- ソラナ・XRP Ledgerはすでに耐量子暗号の試験導入を開始
- 業界全体に「大型機の登場を待たず今すぐ対策を」と呼びかけ
Grayscale「今すぐ備えを」量子脅威に警鐘
米デジタル資産運用大手Grayscale(グレースケール)は2026年4月6日、Googleの量子AI部門が発表した論文を引用し、「量子コンピュータの進歩がビットコインやアルトコインを支える暗号技術に深刻な影響を及ぼす可能性がある」との見解を示しました。
同社は、従来型の暗号方式が将来的に量子コンピュータによって突破されるリスクを指摘したうえで、耐量子暗号技術(ポスト量子暗号)への移行を急ぐ必要があると説明しています。
Googleの論文は、古典的な暗号方式を解読するには論理量子ビット(ロジカルキュービット)が1,200〜1,450個程度必要と推定しています。グレースケールはこの水準が従来想定より早く到達する可能性があるとして業界に早期の備えを呼びかけています。
すでにソラナ(SOL)やXRP Ledgerでは試験導入が始まっており、業界全体でも「量子耐性」を備えたブロックチェーン設計への関心が高まりつつあります。
暗号リスクが現実に迫る
突発的な技術革新、ブロックチェーンに何が起きるか
大規模ネットワークほど脆弱に
グレースケールがとりわけ警戒するのは、量子技術の進歩が段階的ではなく『突発的な飛躍(discrete jumps)』として訪れるリスクです。
プロトコル変更には広範なコンセンサスが必要で、合意形成に時間がかかる大規模ネットワークほど、突発的な飛躍が来た場合の影響は大きくなるといいます。
同社は、さらなる技術革新を待つ姿勢そのものにリスクがあるとしています。エンジニアリングの刷新、ユーザーサポートの整備、開発者間の調整など、ブロックチェーンコミュニティには今から取り組むべき作業が山積していると説明しています。
ただし、対策導入にはトレードオフも伴います。変更の内容によっては、トランザクション処理速度など他の性能に影響が出る場合もあると説明しており、慎重な設計が求められるとしています。
理論から実装へ、ソラナとXRPLが先行
グレースケールによれば、ポスト量子暗号はすでにインターネット通信の一部で実装済みの成熟した技術領域にあります。提案・審査・実装・展開のサイクルが一定程度確立されており、ブロックチェーン開発チームが構築の土台として活用できる状態にあるといいます。
具体的な動向として、ソラナとXRP Ledgerがポスト量子暗号の実験的導入を進めており、対策が理論段階を超えていることが確認されています。
ただし、採用すべき手法はネットワークごとに異なるとみられており、同社は「各ネットワークがその構造やルールに合わせて適切にツールを選定する必要がある」と述べています。
ビットコインの課題は「技術」より「ガバナンス」に
グレースケールは量子リスクがすべてのブロックチェーンに均等に存在するわけではないとの認識も示しています。取引モデル、コンセンサス方式、スマートコントラクトの有無、ブロック生成時間によってリスクの性質と程度が異なります。
UTXOモデルを採用しアカウントベース型とは異なる設計を持つビットコイン(BTC)は、ネイティブのスマートコントラクトを持たず攻撃面が限定されることもあり、技術的な対応難易度は他の一部ネットワークより低いと分析しています。
ただし同社は「ビットコインが直面する最大の課題は、技術面よりもガバナンス面にある」と指摘しています。
特に、秘密鍵を失った「ロストコイン」について、コミュニティが燃焼処理・放置・段階的な支出制限のいずれを選ぶかという社会的合意の問題が残っているといいます。
XRPレジャーの量子対応「注目すべき進捗」
量子対策の焦点、各ネットワークの合意形成が鍵
各国の標準化機関では量子コンピュータに対応した暗号規格の策定が進んでいます。米国立標準技術研究所(NIST)は、2024年8月にポスト量子暗号の標準化を完了させるなど、制度的な基盤整備も加速しています。
こうした動きを受け、グレースケールは「これは解決できる問題だ」とも述べており、脅威への対応は技術的に実現可能だとの立場を示しています。
ソラナやXRP Ledgerの試験的取り組みが業界全体の標準整備を加速させるか、また各ネットワークがコンセンサス形成をどう進めるかが、ポスト量子時代への移行を決める焦点となっています。
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Source:Grayscaleレポート
サムネイル:AIによる生成画像





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