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2026年3月3日、JR九州が手がけるデジタルプラットフォーム「Next Favorite Things」が新たなスタートを切った。かつては、「JR九州NFT」とNFTを冠したサービスとして注目を集めたこのプロジェクトは、名称変更とともに大胆なリブランディングを敢行。九州や鉄道、NFTという枠を超え、地域創生のプラットフォームへと進化を遂げようとしている。
プロジェクトファウンダーの牛島卓二氏は、この3年弱、NFTという言葉が持つ心理的障壁と向き合い続けてきた。2025年11月には「JAPAN DX Player Award 2025」の産業部門で1位を受賞し、Web3やNFTの文脈ではなく、地域創生のDXツールとして社会的評価を得るに至っている。
本記事では、リブランディングに踏み切った背景から、開発体制の見直し、コラボレーション戦略、そして今後の事業継続への覚悟まで、牛島氏の率直な言葉を通じてお届けする。聞き手は、NFTMedia代表の小林憲人だ。
「Next Favorite Things」誕生の背景。NFTの壁を越えて
小林憲人(以下、小林): 今回のリブランディングで「Next Favorite Things」という名前になりましたね。頭文字でしっかりNFTを形成しているのが印象的ですね。この名前はどのように決められたんですか?
牛島卓二(以下、牛島): 最初はいくつか候補があったんです。例えば、遊んで欲しいから「プレイ」、鉄道会社感を出したくて「レール」、エリアの意味を持つ「イア」の造語で「プレイリア」とか。「Prailia」というつづりで中に「rail」を入れる、とか考えてました。
小林: プレイリア、ユニークなネーミングですね。
牛島: ただ、これを相談した人たちからの反応がイマイチで。そもそもサービス名なのか、何のサービスなのか、読めないし、表記ゆれしそうだし、ともう散々(笑)。
「NFT」というワードを外しつつ、可愛らしい世界観にすることが親しみやすさになるかなとイメージしていたのですが、使いにくい・分かりづらいのは本末転倒だよね、という話になりまして。かなりの候補を出した末に、「NFT」を前面には出さないけど、「NFT」は使っていくということで頭文字にしてみました。
小林: なるほど、それでこの名前に。そもそも、なぜリブランディングに踏み切ろうと思われたんですか?
牛島: まずはNFTという単語を前面に出しすぎていたことですね。気軽なスタンプラリーみたいな形で九州を楽しんでもらいたいのに、「NFT」という単語が心理的な障壁につながってしまいました。
小林: いわゆる「NFTって難しいでしょ」とか、ちょっと前のことを知っている人だと「なんか買ったら儲かるやつでしょ?」みたいな先入観ですよね。
牛島: そうなんですよね。デジタルリテラシーが高くないと手を出しちゃいけないみたいな雰囲気になるのがすごく嫌だったんです。
もともとサービス立ち上げ時に「Web2.5設計にします」と言っていたんですけど、どうしても名前にNFTが入っていると最初に「NFTって何?」となってしまいます。これはちょっとミスったかな、という気持ちがずっとあったんです。
小林: 長く活動されてきた中で、何度かそう感じることがあったんですね。
牛島: ありましたね。業界トレンドとしても、Web3やNFTを言わないほうがいいみたいな流れがこの1年半ぐらい結構強まっていて。正直、葛藤はかなりありました。
小林: 確かに他の会社さんも、そこは結構気にされていたタイミングでしたよね。
地域創生DXツールとしての評価。JAPAN DX Player Award 2025受賞の意味
小林: そうした葛藤の中で、リブランディングを決断されたきっかけは何だったんですか?
牛島: 最初はやはり「気軽に使ってもらうには」という点です。九州の中でNFTを使って遊んでいただきたいという想いが強くなればなるほどアピールするわけですが、そのたびに「NFTとは」から始まり、「なんか難しそう」というハードルを突破しなければなりませんでした。
それをなんとかクリアしながら実施してきましたが、エリア問わずいろいろな事業者・自治体のみなさまと協業のディスカッションが増えてきたこともきっかけの1つです。ディスカッションの中で「九州の中だけで展開されるサービスですよね」と確認されることが多かったので、エリアに囚われない姿勢も出して行くことがビジネスチャンスであり、多くのユーザーに喜んでいただけるようになるのではないかと思うようになりました。
全国各地でサービスをご利用いただけるようになれば、プラットフォームビジネスとして確立できるだけでなく、インフラという意味でブロックチェーンの浸透にも繋がりますので、マスアダプションへの貢献ユースケースにもなりますよね。
弊社・ユーザー・サービス利用者の全てがウィンウィンになる仕掛けにできるんじゃないかと。そういうことが考えられるような引き合いが少しずつ出てきたのもターニングポイントとして大きかったですね。
小林: なるほど。
牛島: もう一つは、2025年11月29日に開催された「JAPAN DX Player Award 2025」で賞をいただいたことですね。
小林: Facebookで拝見しました。おめでとうございます!
牛島: ありがとうございます。あの賞はWeb3やNFTの文脈ではなく、地域創生のDXツールとして認められたという意味合いが自分の中でも大きくて。
リブランディングを決めた後に受賞したので、それ自体がきっかけではないんですが、攻める方向として間違っていなかったなという一つの裏付けにはなりました。



小林: 方向性の正しさが外部からも認められたということですね。今後は鉄道からIP連携まで幅広い領域で展開し、九州というエリアにもとどまらないという理解でよろしいですか?
牛島: そうですね。単純にNFTだけ売っていても収益化しづらいというのもありますし(笑)。
小林: それはビジネス上、非常にリアルなお話ですね(笑)。
牛島: デジタルコンテンツだけの販売で収益化していくのは、よほどIPが強くないと難しいですよね。それでも、RWAやイベント連携などで守備範囲を広げて工夫はしてきました。
それでももっと可能性を広げるために、今回機能の増強をしていますし、例えば、「洋菓子店を巡るスタンプラリー」のような企画があらゆる地域でありますよね。そういった企画にも使いやすいデジタルサービスとして提供できたらと思っています。
あくまで目的は町おこしであり、その手段としてのデジタルツールだという点は、履き違えることなく、課題解決にご協力したいですね。
開発体制の見直しと新機能。やっと攻められる体制へ
小林: 今回、開発体制そのものも見直されたと伺っていますが、その経緯を教えていただけますか。
牛島:以前の体制でも楽しんでいただくためのサービス提供は続けていたのですが、今後やりたい施策を考えると、機能追加や改善のスピードをもう少し上げたいという欲求が高まってきてしまいました。加えて、サイト全体もPC寄りのUI設計だったので、現在の利用シーンにより合った形へ見直したいという思いもあったんです。
小林:モバイルでの利用が中心ですからね。
牛島:おっしゃる通りです。必要な機能をずらっと並べてみた時に、現行の延長では対応が難しい部分も見えてきたので、それなら開発体制も含めて見直そうと。8社ぐらい比較した上で、今のパートナーを選びました。
小林: 8社も比較されたんですね。新しいサービスでは具体的にどんな機能が加わるんですか?
牛島: UX向上につながるものがいっぱいあります(笑)。
消し込みできるクーポン機能だとか、自動で特典付与できるミッション機能、保有状況でコンテンツを変化させるダイナミックNFT機能などなど…。
消し込みできるクーポン機能に関しては、利便性が上がる大きな変化ではないかと思います。今まではクーポンとして特典を使う際は、画面を見せて「はいOK」みたいな実績の残らない運用しかできませんでしたし。
特典が使える店舗・施設にとっても、不正利用防止につながる仕組みはメリットだと思います。
その特典自体も、条件達成で即時付与ができるようになっているので、利用するところまでスムーズな体験が可能になると思います。
小林: 以前はどうされていたんですか?
牛島: 特典の資格を取得されても、我々がCSVでデータを抜いて、そのユーザーが対象かどうかをアナログで判別して、手動でエアドロップしていたんです。
小林: およそWeb3らしからぬ運用が裏側で行われていたわけですね(笑)。スマートコントラクトとは何だったのかと。
牛島: そうなんです(笑)。それが「はい達成、はい特典です」とリアルタイムに相手に渡せるようになります。スタンプラリーもしやすくなりますし、ますますイベントで使える形になったなと思っています。
さあ、もっと攻められるぞ、というのが正直な気持ちです。今までは知恵と手間でUXを作っていたので、裏側ではアナログ対応になることも分かった上で実施していました。ただ、この経験がないと今回の機能の仕様には至っていないと思います。攻める素地を整えたので、今から営業をもっと頑張れるな、という感覚です。
コラボ戦略とRoom機能。ライトな連携で裾野を広げる
小林: 今後のコラボレーションの形としては、どのような戦略を考えていらっしゃいますか?
牛島: コラボ先との取り組みを目立ちやすく・分かりやすくするためにも、サイトの「Room」という機能を大きく見直します。今はNFTがずらっと並んでいるだけなんですが、これをプロジェクト単位で整理するんです。キューポちゃんのRoom、かもめシリーズのRoom、HEAL3のRoom、というように。
小林: なるほど、コラボ先ごとにRoomがあるイメージですね。
牛島: そうなんです。コラボ先にRoomを一つ提供して、裏側の配布・販売はこちらで作業するのが、一番ライトな形かなと思っています。ライセンス契約やSaaS契約で重くするよりも、コラボ企画としてもっと気軽にやれるようにしたいんです。
小林: IPとの連携も積極的に受け入れていく方針でしょうか?
牛島: はい。今まではチェーンが違うとか、「NFTを売ったあとどうするの?」と言われることが多かったんですが、条件達成でミッションログとして記録し、即時に特典を提供できる仕組みがあれば、そうした課題はクリアできます。
小林: 溜まった記録に応じて限定情報やクーポン等の特典を配布する。売っただけでなく、そこからどういう関係性を作るかまでカバーできるようになるんですね。
牛島: そうですね。我々もこのサービスをファンコミュニケーションツールとして設計しているつもりですので。その延長上で地域創生DXツールにもなっているという。
なので、九州に限らずこのサービスを各地の事業者・自治体に使っていただけるようにしたいですし、実際にそういった引き合いもいただいています。地域のコンサルタントの方が「一口オーナーにも使えるし、ダイナミックNFTでステータスの可視化もできるし、使いやすそうだ」と言ってくださっていて。
小林: ハブになる方々から「これならいろいろできそうだ」という声が上がっていると。
牛島: はい。自治体への導入はすぐにはいかないとは思いますが、自社事業の中で企画が実施できるアドバンテージを生かして、実績を積み上げて自治体にも乗っていただけるようにしておきたいですね。使いやすさ重視は特に意識しています。
今年が勝負。事業継続への覚悟
小林: 牛島さんはこのプロジェクトをほぼお一人で構想から推進されていますよね。
牛島: そうですね。今はもう1人メンバーがいますが、4月で異動です。組織である以上、後継者の育成は必要なのですが、弊社にとっては特殊な領域ということもあり難しいですね。
小林: チームビルディングも課題の一つですね。
牛島: はい。4月以降の7〜8ヶ月で何かしらの形にしたいと考えているので、実績作りも人材育成も加速させたいですね。
小林: 収益面だけでなく、間接的な成果も指標があったりされるんですか?
牛島: その通りです。我々は「間接収益」と呼んでいるんですが、例えば鉄道に乗せる仕掛けができたとか、ブランド効果があったとか。単に直接収益だけでは説得力が足らず、「ほら、この事業は他でもメリットを生んでいますよね」と納得感のある形で示せるように仕上げておかないといけません。
小林: 今回のリブランディングとシステムの増強で、その素地が整ったということですね。
牛島:そうですね。本格的に攻めたいと思っています。
小林: ありがとうございます。引き続き応援しております!最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージはありますか?
牛島: もうどこにでも行きますので(笑)。IPコラボでも自治体連携でも、面白いことを一緒にやれる方がいらっしゃったら、ぜひお声がけいただきたいです。
小林: 承知しました!ということで読者の皆さんで牛島さんと連携されたい方は、このお問い合わせフォームよりご連絡ください。お繋ぎいたします。
お問い合わせ→ https://nft-media.net/contact/
インタビューを終えて
「NFT」という言葉の持つ可能性と限界。その両方と真正面から向き合ってきた牛島氏の言葉には、たしかな重みがあった。JR九州という大きな看板を背負いながらも、少人数で事業を立ち上げ、開発体制の見直しからリブランディングまで自ら推進してきた姿は、まさに社内起業家そのものだ。
「Next Favorite Things」という名前には、NFTの技術を活かしながらも、その言葉の壁を乗り越えたいという強い意志が込められている。「JAPAN DX Player Award 2025」での受賞が示すように、このサービスはすでにWeb3の枠を超え、地域創生のDXツールとして評価されつつある。
7〜8ヶ月という限られた時間の中で「形」にする覚悟。その先には、九州にとどまらず、日本各地の自治体やIPとの連携を通じた、新しい地域体験の形が待っているのかもしれない。
【プロフィール】
牛島卓二(うしじまたくじ)
九州旅客鉄道株式会社(JR九州) NFTプロジェクト プロジェクトファウンダー
デジタルプラットフォーム「Next Favorite Things」を通じ、NFT技術を活用した地域創生・イベント連携事業を推進。2025年には「JAPAN DX Player Award 2025」の産業部門で1位を受賞し、地域DXプロデューサー★★にも認定されている。
「Next Favorite Things」サービスページ:https://nft.jrkyushu.co.jp/
小林憲人(こばやしけんと)
株式会社NFTMedia代表取締役
国内最大級のNFT専門メディア「NFT Media」を運営。
メディア事業に加え、Web3に特化したシステム開発やM&Aの支援などを展開し、Web3の社会実装を推進している。
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