イスラエルのイラン攻撃はなぜ起きたか、ビットコインへの影響を解説
2026年2月28日の米イスラエルによるイラン攻撃の理由と経緯、ビットコイン価格への影響を時系列で解説。原油高・ホルムズ海峡リスクとBTCの今後の見通しも。
この記事の結論
2026年2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃した理由は、イランの核開発阻止と政権中枢の排除だ。ビットコインは攻撃直後に64,000ドル(約1,000万円)を割り込んだが、3月6日時点では72,900ドル(約1,100万円)付近まで回復している。ただし紛争は継続中で、ホルムズ海峡の封鎖リスクが残る限り、60,000ドル台への再下落は十分にありうる。
3つの押さえておくべきポイント
- 攻撃の理由はイランの核開発阻止で、2月のオマーン仲介協議の決裂とイスラエルの単独攻撃リスクが引き金になった
- ビットコインは攻撃当日に64,000ドルを割ったが、3月2日には68,600ドルまで反発し、3月6日には72,900ドル付近で推移中
- 最大のリスク要因はホルムズ海峡封鎖による原油急騰で、これが現実化すればBTCは60,000ドルを割る可能性がある
米国とイスラエルはなぜイランを攻撃したのか
2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対して大規模な軍事攻撃を開始した。テヘラン、イスファハン、タブリーズなど広範囲に空爆が行われ、イラン側の死者は3月4日時点で1,045人に達している。
攻撃の根底にあるのは、イランの核兵器開発を止めるという米国とイスラエルの長年の方針だ。
2025年6月、イスラエルは「ライジング・ライオン作戦」でイランの核施設3箇所を攻撃し、12日間の戦争(十二日間戦争)を経て停戦に至った。この時点でIAEAがイランの核義務違反を認定しており、トランプ大統領が設けた「2ヶ月以内の合意」という期限も切れていた。
停戦後もイランは核開発を止めなかった。約8ヶ月で停戦は事実上破綻する。
2026年2月に入り、トランプ政権はオマーンの仲介で3回の高官協議に臨んだ。イラン側は高濃縮ウランの希釈で歩み寄りを見せたとされるが、核開発の完全放棄までは踏み込まなかった。トランプ大統領はイランに交渉の意思がないと判断したとみられる。
もう1つ、見落とせない背景がある。ルビオ国務長官が3月2日に記者団に語った内容だ。「イスラエルがイランに対して、米国への報復につながる軍事行動を計画していた」と説明した。つまり、米国が動かなければイスラエルが単独で暴走し、結果として米国が巻き込まれるリスクがあった。先に共同で動いた方がコントロールできるという判断が働いた可能性がある。
トランプ大統領はSNSに投稿した動画で「イランは核の野心を放棄するあらゆる機会を拒絶した」と述べた。イスラエルのネタニヤフ首相は「専制政治の重荷から自らを解放する時が来た」と声明を出し、体制転換の意図をにじませた。
実際、今回は2025年6月とは攻撃の質がまるで違う。前回は核施設3箇所にピンポイントで攻撃し、追加攻撃はなかった。今回は首都テヘランへの直接空爆に踏み切り、ハメネイ最高指導者の邸宅がCNNの衛星画像で破壊されたことが確認された。3月1日にイラン国営メディアがハメネイ師の死亡を伝えている。核施設の無力化ではなく、イランの政権中枢そのものを狙った攻撃だ。
攻撃後の中東情勢はどうなっているか
イランは即日、報復に出た。革命防衛隊はUAE、バーレーン、カタール、クウェートにある米軍基地をミサイルで攻撃。サウジアラビアのアラムコ石油施設もミサイル攻撃を受け、ラスタヌラ製油所が操業を停止した。
3月4日時点の被害は深刻だ。イラン側で1,045人が死亡(軍関係者と民間人の合計)。イスラエルで10人、バーレーンとオマーンで各1人が死亡。UAE、クウェートでも死者が出ている。米兵は6人が命を落とした。
戦火は中東各地に広がった。イスラエルはレバノン南部でヒズボラ掃討の地上作戦も開始し、衝突の死者は72人に達した。米国は中東地域の一部大使館を閉鎖し、外務省も日本人への注意喚起を出している。
最も市場が警戒しているのはホルムズ海峡だ。イラン革命防衛隊が同海峡の「完全支配」を表明しており、世界のエネルギー輸送の要衝が封鎖されれば、原油価格が120ドルから150ドルに跳ね上がるとの試算もある。3月2日時点で原油は大西洋の両側で7%以上上昇していた。
トランプ大統領は攻撃が「4〜5週間続く」との見通しを示しており、短期間での収束は見込めない。一方で米国内ではトランプ支持層の中からも「イスラエルに追随させられた」との批判が出始めている。
ビットコインは攻撃でどう動いたか
2月28日から3月6日まで、BTCは派手に振り回された。
2月28日(攻撃当日)、ビットコインは即座に下落し、64,000ドル(日本円で約1,000万円)を割り込んだ。週末で流動性が薄く、レバレッジポジションの清算が進んだ。ただし63,000ドルは維持した。
3月1日、ハメネイ師の死亡が確認されると、むしろ反発。一時68,196ドルまで上昇し、67,700ドル付近で落ち着いた。「最悪の不確実性が解消された」という受け止め方だろう。
3月2日、状況が二転三転した。アジア時間に67,000ドルまで回復したものの、イランがサウジの石油施設を攻撃したとの報道が流れると、66,000ドルを割って反落。その後、米国市場が開くと株式指数が予想ほど下がらなかったことを受けて68,600ドルまで持ち直した。
3月3日、CoinPostが「ビットコイン急騰7万ドル突破」と報じた。イラン情勢緊迫の中で安全資産としての買いが入ったとの見方がある。
そして3月6日時点で、CoinGeckoによるとビットコインは72,920ドル(約1,100万円)付近で推移。過去24時間で6%上昇、週間で8.2%上昇している。
攻撃前の水準を超えたことになるが、油断はできない。
なぜビットコインは「安全資産」として買われなかったのか
今回の値動きで改めて浮き彫りになったのは、ビットコインと金の明暗だ。
金は攻撃後に教科書通りの「有事の金」の動きを見せた。NY金先物は3月2日に5,418ドル/オンスまで急騰し、1月末の史上最高値5,598ドルに迫った。国内小売価格も1グラムあたり29,865円に上昇し、過去最高水準を更新している。5営業日続伸した後、3月4日にはドル高の影響で5,050ドルまで約5%急落する場面もあったが、5日には5,160ドル台まで戻している。
一方のビットコインはどうだったか。攻撃当日に64,000ドルを割り込み、回復に数日かかった。金が即座に買われたのと対照的に、BTCは株式市場と一緒に売られた。
Bloombergは3月3日の記事で、ビットコインの有事における存在感に陰りが出ていると指摘した。攻撃前の水準を上回る価格で取引されていたものの、恐怖や安全資産への逃避が持続的に起きた形跡はほとんどないと分析している。
CoinDeskのデータでは、過去の地政学イベントでもビットコインは同じパターンだった。2024年4月のイランによるイスラエル報復攻撃では約7%急落、2023年10月のパレスチナ・イスラエル紛争では数日で約2%下落、2022年2月のロシア・ウクライナ開戦時は即座に9%以上急落。いずれも初動でリスク資産として売られている。
筆者の見解を述べると、ビットコインが「デジタルゴールド」になりきれない理由は、機関投資家の参入にある。ETFやファンド経由の保有が拡大したことで、マクロ環境や株式市場との連動性が強まった。有事に金が買われるのは数千年の歴史に裏付けられた行動パターンだが、ビットコインにはまだその蓄積がない。今回、金が5,400ドルを突破する横でBTCが64,000ドルを割ったのは、この差を端的に示している。
ただし、戦時下の国では話が違う。CoinPostが3月5日に報じたところでは、イラン空爆後に仮想通貨の流出が10倍近く急増している。「資本逃避」か「取引所の防衛策」かで見方は分かれるが、銀行が機能しない環境では、ビットコインが文字通りの「逃避先」として機能する。金を物理的に持ち出すより、ウォレットに入れて国境を越える方が現実的だからだ。
原油高はビットコインにどう波及するか
今回の紛争でビットコインに最も効く変数は、原油価格だ。
サウジアラムコの石油施設が攻撃され、UAEでも火災が発生。ホルムズ海峡の封鎖リスクが高まった。原油は3月2日時点で7%以上の上昇を見せている。EIAの調査によれば、同海峡は世界の石油需要の約2割にあたる日量約2,000万バレルが通過する要衝だ。ここが止まれば、影響は原油だけでは済まない。
原油高はビットコインに2つのルートで効いてくる。
1つ目はインフレ再燃。原油が上がれば物価が上がり、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが遠のく。高金利が続けば、投資家はリスク資産であるビットコインよりも銀行預金や国債を選ぶ。2月のISM製造業PMIは52.4と好調で、すでに3月18日のFRB会合での利下げは見送りが確定的だった。そこに原油高が加わり、最初の利下げ予想は当初の7月から9月へ後退している。年内の利下げは2回程度が市場のコンセンサスだが、原油がさらに上がれば利下げゼロという観測も出てきている。
2つ目は景気後退懸念。原油価格が120ドルから150ドルに急騰するシナリオでは、世界経済そのものが冷え込む。リスク資産全般が売られる局面になれば、ビットコインも巻き込まれる。これが60,000ドルを割り込むシナリオの根拠だ。
逆に、ホルムズ海峡の封鎖が回避され、原油高が一時的なものにとどまれば、ビットコインの下値は限定的になる。2月末にはETFへの資金流入が3日間で7.5億〜11億ドルと、5週間ぶりの大規模リバウンドを記録していた。機関投資家の押し目買い需要は健在だ。
今後のビットコイン価格を左右する3つのシナリオ
紛争の推移によって、ビットコインの行方は大きく分岐する。
楽観シナリオとして、紛争が数週間で収束に向かい、ホルムズ海峡の通航が正常化するケース。原油高が一時的にとどまり、FRBの年内利下げ見通し(ゴールドマン・サックスは2回と予測)が維持されれば、BTCは70,000ドル台後半から80,000ドルを目指す展開が見込める。
中立シナリオとして、攻撃がトランプの言う「4〜5週間」で推移し、原油は高止まりするが急騰は回避されるケース。BTCは60,000〜72,000ドルのレンジで推移し、方向感が出にくい展開になる。
悲観シナリオとして、ホルムズ海峡が実際に封鎖され、原油が120ドル超に急騰するケース。世界的なリスクオフで株式市場が急落し、BTCも60,000ドルを割り込む。2月5日に防衛された60,000ドルのサポートラインが次の攻防ラインになる。
筆者の読みとしては、中立シナリオが最も蓋然性が高い。ホルムズ海峡の完全封鎖はイラン自身にとっても経済的な自殺行為であり、実際には嫌がらせ的な攻撃にとどまる公算が大きい。ただし紛争中は突発的な悪材料でBTCが5〜10%急落するリスクは常にある。
投資家がとるべきアクション
保有者が今やるべきことは明確だ。
まず、レバレッジを落とす。紛争下では週末の流動性が薄い時間帯に急落が起きやすく、証拠金維持率に余裕がないポジションは清算される。実際に2月28日の攻撃は週末に行われた。
次に、ホルムズ海峡関連のニュースをウォッチする。革命防衛隊の動き、原油価格、そしてサウジアラムコの操業状況が、ビットコインの短期的な方向を左右する。
積立投資をしている場合は、継続が合理的だ。過去の地政学イベントでは、初動の下落を買い増しした投資家が報われてきた。ただし一括投入は避け、時間を分散させること。
新規で参入を検討している場合は、60,000ドル台まで押した局面を待つのが手堅い。焦って今の72,000ドル台で飛び乗る必要はない。紛争が長引けば、買い場は来る。
よくある質問
イスラエルがイランを攻撃した理由は何か
直接的にはイランの核開発阻止のためだ。2025年6月の停戦後もイランが核開発を続け、2026年2月のオマーン仲介協議でも合意に至らなかったことがトリガーになった。加えて、ルビオ国務長官はイスラエルが単独でイランを攻撃しようとしていたことが米国の参戦判断に影響したと説明している。今回は前回と異なり、政権中枢への攻撃に踏み切っており、体制転換の意図がうかがえる。
ビットコインは戦争で上がるのか下がるのか
過去のパターンでは、初動で下落し、その後数日で回復する傾向がある。今回も攻撃当日に64,000ドルを割ったが、1週間後には72,900ドルまで戻した。ただし紛争が長期化・拡大すれば、原油高とリスクオフの影響で再度下落する可能性がある。
ホルムズ海峡の封鎖はビットコインにどう影響するか
封鎖が現実化すれば原油が120〜150ドルに急騰し、インフレ再燃と景気後退懸念からリスク資産全般が売られる。ビットコインも60,000ドルを割り込むシナリオが現実味を帯びる。逆に封鎖が回避されれば、下値は限定的。
今ビットコインを買うべきか
2026年3月6日時点で72,900ドル付近。紛争の行方が不透明な中、一括投入のリスクは高い。積立投資の継続は合理的だが、新規参入なら60,000ドル台への押し目を待つ方が安全だ。
イランの仮想通貨市場はどうなっているか
CoinPostの3月5日の報道によると、空爆後にイランからの仮想通貨流出が10倍近く急増している。国民が資産保全のために暗号資産に逃避している可能性がある一方、取引所が防衛的にコールドウォレットへ資金を移動させたとの見方もある。
【詳細比較】国内主要仮想通貨取引所5社
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まとめ
米国とイスラエルによるイラン攻撃は、核兵器開発の阻止を名目に2026年2月28日に始まり、3月6日時点でも続いている。ビットコインは攻撃当日に64,000ドルを割ったが、1週間で72,900ドルまで回復した。
この回復を「ビットコインは有事に強い」と解釈するのは早計だ。実態はリスク資産として株式市場に連動しながら、流動性と押し目買い需要に支えられて戻しただけだ。ホルムズ海峡リスクが消えない限り、60,000ドル台への急落はいつ起きてもおかしくない。
レバレッジの管理と、中東ニュースへの継続的な注意が、当面の最優先事項になる。
参考情報
- Bloomberg「米イスラエルによるイラン攻撃、これまでのキーポイント」2026年3月3日
- 日本経済新聞「米・イスラエルがイラン攻撃、首都空爆 トランプ氏『核兵器取得阻止』」2026年2月28日
- 日本経済新聞「金急騰、一時5400ドル台 イラン攻撃で1カ月ぶり高値」2026年3月2日
- 日本経済新聞「米国のイラン攻撃、イスラエルの策略か?」2026年3月4日
- 時事通信「米イスラエル、イラン首都に大規模攻撃」2026年3月4日
- CoinDesk「ビットコイン価格ニュース:イラン攻撃を受けても株式市場は動じず」2026年3月2日
- CoinDesk「イランが米軍基地を攻撃する中、ビットコインの今後は?」2026年2月28日
- Bloomberg「ビットコイン、有事の存在感に陰り」2026年3月3日
- CoinPost「ビットコイン急騰7万ドル突破、イラン情勢緊迫で安全資産化進む」2026年3月3日
- CoinPost「イラン空爆で仮想通貨流出が10倍近く急増」2026年3月5日
- IG証券「金価格 見通し(3/3):イラン緊迫で5400ドルの攻防」2026年3月3日
- ビットレンディング「ビットコインの今後|イラン危機で相場はどう動く?」2026年3月2日
- CoinGecko ビットコイン価格データ(2026年3月6日参照)
更新履歴
- 2026年3月6日:初稿公開。2月28日の攻撃開始から3月6日までのBTC価格推移、ホルムズ海峡リスク、3つの価格シナリオを反映
The post 【緊急解説】イスラエルのイラン攻撃はなぜ起きたか、ビットコインへの影響 first appeared on CoinChoice(コインチョイス).

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