
デジタルルーブルやステーブルコインも制裁対象に
欧州連合(EU)が、ロシアとのすべての暗号資産(仮想通貨)取引を禁止する措置を検討している。「フィナンシャル・タイムズ(FT)」が2月10日に報じた。
欧州委員会は、ロシアが伝統的な銀行システム外の資産を利用して制裁を回避しているとの懸念を受け、包括的な禁止措置を提案。ロシア国内に設立されたすべての暗号資産サービスプロバイダー(CASP)および暗号資産の移転・交換を可能にするプラットフォームとの取引を禁止する内容だという。
内部文書では、「個別の暗号資産事業者を追加制裁対象とするだけでは、新たな事業体が設立され制裁回避が続く可能性が高い」と指摘。制裁の実効性確保のため、ロシアに拠点を置くすべての暗号資産関連プラットフォームの利用を禁止するとしている。
提案は、米国が2022年に制裁対象としたロシア系暗号資産取引所ガランテックス(Garantex)の後継的なプラットフォームの発展を阻止する狙いがあるとされる。
FTによると、ロシアの決済プラットフォーム「A7」およびルーブル連動型ステーブルコイン「A7A5」が念頭に置かれている可能性がある。米国・英国・EUはすでに関連企業に制限措置を課しているが、ブロックチェーン分析企業エリプティック(Elliptic)は1月、このステーブルコインの累計取引高が1,000億ドル(約15.5兆円)を超えたと報告している。
欧州委員会はさらに、ロシア中央銀行が発行を進める中央銀行デジタル通貨(CBDC)のデジタルルーブルを用いた取引の全面禁止も提案。加えて20行を制裁対象リストに追加する方針も盛り込まれている。
今回のパッケージでは、キルギスへの一部デュアルユース(軍民両用)製品の輸出禁止も提案されている。欧州委は、キルギス企業が工作機械や電子部品などロシアの兵器・ドローン製造に使用される物資を再輸出している疑いがあると指摘。
文書によれば、戦争開始以降、EUからキルギスへの「優先監視品目」の輸出は約800%増加し、キルギスからロシアへの輸出は1,200%増加しているという。
これはEUが導入した「制裁回避対策権限」を初めて適用する措置となる見通しで、第20次対ロ制裁パッケージの柱の一つとされる。
また、この制裁には、ロシア産原油を運搬する船舶に対する保険・保守などのサービス提供を全面的に禁止する案も含まれる。これはG7が設定する価格上限を超える取引のみを対象としてきた従来制度に代わる、より厳格な措置となる。
新たな制裁措置の導入にはEU加盟27カ国の全会一致が必要だが、複数の加盟国が懸念を示しているとされる。欧州委は2月24日のロシアによるウクライナ侵攻4周年に合わせた合意を目指していた。
EUの制裁担当特使デビッド・オサリバン(David O’Sullivan)氏は今月中にキルギスを訪問し、制裁回避への懸念について協議する予定とのこと。
EUは暗号資産を含む非伝統的金融チャネルが制裁回避に利用されるリスクを強く警戒しており、今回の提案はデジタル資産領域に対する規制強化の新たな局面となる可能性がある。
参考:報道
画像:iStocks/LuckyStep48
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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