
SEC議長「年金に仮想通貨導入の時期が来た」
2026年1月30日、SEC(米国証券取引委員会)のポール・アトキンス議長は、401(k)確定拠出年金プランにおける仮想通貨投資を専門家の管理下で認める姿勢を示しました。
アトキンス議長はCFTC(米商品先物取引委員会)のマイク・セリグ議長と共同出演したCNBCのインタビューで、退職者の長期的な資産保護のために慎重なガードレール(安全策)の下で仮想通貨へのアクセスを認める必要があると強調しました。
また同議長は、すでに多くの米国人が専門家の管理する職域年金などを通じて仮想通貨に間接的に投資している状況にあると述べています。
そのうえで、401(k)プランにおいても、専門家の管理下であれば仮想通貨投資を選択肢として提供できるとし、「個人が無防備にリスク資産を選ぶのではなく、専門家が選定したオプションを通じて利用させるべき」との認識を示しています。
この年金制度への仮想通貨導入方針について、アトキンス議長は「今まさに解禁に踏み切る適切なタイミングに来ている」と述べ、慎重かつ段階的に進める考えを明らかにしました。
401k年金で仮想通貨など投資多様化へ
アトキンス議長が示す401(k)仮想通貨投資の導入条件
トランプ政権が後押しする年金制度改革
アトキンス議長のこうした発言の背景には、トランプ政権下で加速する規制緩和の動きがあるとみられています。
2025年5月、米労働省(DOL)が401(k)年金における仮想通貨投資を事実上制限していた従来の指針を撤回しました。
同年8月には、ドナルド・トランプ大統領が401(k)プランへの仮想通貨エクスポージャー(投資対象としての組み入れ)を正式に認める大統領令に署名しています。
これらの政策変更を背景に、約12.5兆ドル(約1,920兆円)規模ともされる米国の401(k)年金市場に仮想通貨が参入する道が開かれています。
アトキンス議長が示した導入モデルと投資枠の設計
このような制度整備を踏まえ、アトキンス議長は401(k)年金への仮想通貨導入に関し、具体的な投資枠の設計について言及しました。
アトキンス議長はインタビューで、まずは年金基金が既に組み入れている私募証券や未公開株式ファンドなどの代替資産に関する投資枠から着手する方針を示しました。
その延長線上で仮想通貨も「オルタナティブ資産」の一つと位置づけ、個人任せではなく受託者やファンドマネージャーによる厳格な選別を経て導入すべきだとしています。
こうしたプロによる管理型の枠組みであれば、仮想通貨を年金ポートフォリオの分散投資手段として活用しつつ、退職後の資産を長期的に守ることができるとの認識を示しています。
法整備で仮想通貨導入の安全策確保
さらにアトキンス議長は、仮想通貨規制を巡る立法面での進展にも言及しています。
SECは最近、上下両院の関連委員会に対して技術的助言を行い、包括的な仮想通貨規制法案の策定を支援してきたと明らかにしました。
具体的には、仮想通貨の証券・商品双方にまたがる明確なルールを定める市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」への支持を表明しており、同法案の成立に向けた専門的助言も継続しています。
またアトキンス議長は「SECの最優先の使命は投資家保護である一方、新たな金融商品の開発を促すことも重視している」と明言しています。
SECとCFTCの協調が支える制度的安定性
こうした規制環境の確立には、証券と商品を所管する両規制当局の連携が不可欠であり、SECとCFTCの協調姿勢も重要な論点の一つと位置づけられています。
かつて証券と商品で管轄が分かれていた米規制当局には「2つの要塞の狭間にある無人地帯」に多くの“失敗作”が蓄積されてきたとアトキンス議長は説明し、従来の縦割り行政がイノベーションの妨げとなっていたとの見方を示しました。
現在では両庁の垣根を越えた規制調和を目指しており、革新的な金融商品が適切な監督下で市場投入され、投資家に必要なサービスが行き渡るよう協力していく方針が示されています。
セリグCFTC議長が語る市場発展の条件
この流れの中で、CFTCも制度的安定性の確保に向けた立場を強めています。
CFTCのマイク・セリグ議長も同インタビューで、デジタル資産市場に関する前向きな見解を示しました。
同氏は、現在議会に提出されている法案によりCFTCが仮想通貨の現物市場を直接監督する権限を持つ可能性に触れ、明確な法律とSEC・CFTCの協調体制が整えば、米国が仮想通貨市場の模範基準を築く機会になると述べました。
セリグ議長は、統一されたルールの下でイノベーションが促進されることで、新たな金融商品やオンチェーン金融アプリケーションの発展が期待できるとの見通しを示しました。
SEC・CFTC、仮想通貨規制を公開討議
世界でも進む年金制度への仮想通貨導入
年金制度への仮想通貨導入は、制度整備と実運用の両面で各国に広がりを見せています。
南米コロンビアでは2026年1月、同国第二の年金基金がビットコイン(BTC)に連動する投資ファンドを設立し、適格投資家向けに提供を開始しました。
同国で公的年金資産がデジタル資産に連動する形で運用されるのは初の事例とされています。
一方、米国でも2025年にウィスコンシン州とミシガン州の州職員年金基金がBTCをポートフォリオに一部組み入れた事例が報じられました。
制度改革と市場整備の進展を背景に、仮想通貨を長期資産運用に組み込む動きが年金分野でも広がりつつあります。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.72 円)
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Source:CNBCインタビュー
サムネイル:AIによる生成画像







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