
ブラックロックが描く2026年の金融市場シナリオ
米資産運用大手BlackRock(ブラックロック)は、最新レポート「2026年のグローバル投資見通し」を公表しました。
同レポートでは、AI(人工知能)関連の投資が米国株式市場を牽引するとの見通しに加え、金融の未来においてステーブルコインが従来金融とデジタル金融をつなぐ架け橋となると指摘しています。
ブラックロックはAIを現在の市場構造を変革する「メガフォース(巨大な原動力)」と位置づけ、AIテーマが引き続き米国株式の主導役になるとの見方を示しました。
一方ブラックロックは、ステーブルコインについて「伝統的金融とデジタルの流動性を結ぶ役割を担いつつある」と評価しています。
その背景として、ステーブルコインの市場規模は2025年11月時点で2,500億ドル(約39兆円)を超えており、仮想通貨取引の決済から国際送金に至るまで決済インフラとしての利用拡大が反映されています。
2026年「金融・AI・プライバシー」革命
AIとステーブルコインが変える2026年の金融構造
AI普及が示す次世代経済の方向性
ブラックロックのレポートによれば、AI技術の普及はこれまでにない速度と規模で進む構造的変化であり、市場と経済を大きく変革するメガフォースだと位置づけられています。
特に2025年にはAIブームが米国株式を史上最高値まで牽引し、一部では「AIバブル」の懸念も語られました。
しかしブラックロックは、過去の大きな技術変革期にもバブルは破裂前にしばらく拡大し続けた経緯があると指摘しており、巨額の投資と将来得られる収益の規模を慎重に見極める必要性を強調しています。
巨額AI投資がもたらす金融リスク
同社はAIテーマへの強気姿勢を崩しておらず、米国株式を引き続き「オーバーウェイト(上積み)」で保有する戦略を示しました。
ただしブラックロックは、株式市場全体の集中度が高まる中、恩恵を受ける企業とそうでない企業の選別が重要になるとの見方を示しています。
一方で、AI関連の設備投資には巨額の前払いコストが必要となるため、多くの「AIビルダー」企業が事業資金を借入に頼っている現状にも注意を促しています。
政府債務も膨張する中で民間・公的部門とも借入が増えることは、金利急騰などのショック時に金融システムの脆弱性を高める可能性があると分析しています。
ブラックロックはこうした状況下、民間クレジットやインフラ投資がAI産業の資金需要を支えるとし、金利上昇リスクが高まる長期米国債は戦略的にアンダーウェイト(比率引き下げ)に転じたとの見解を示しました。
ステーブルコインが担う金融の橋渡し役
ステーブルコインに関してブラックロックは、仮想通貨業界原生のツールから伝統的金融を繋ぐブリッジへと進化している点を強調しています。
主要ステーブルコインであるテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)などの合計時価総額は2,500億ドルを超えており、仮想通貨取引における決済・清算やクロスボーダー送金での活用拡大によって市場価値が大きく押し上げられました。
米国では2025年7月にステーブルコイン規制「GENIUS法」が成立し、初の連邦レベルでのステーブルコイン規制枠組みが整備されています。
この法律によりステーブルコイン発行体は当局の監督下に置かれ、ユーザーへの利息支払いは禁止されましたが、その代替としてマーケティング報酬による擬似的な利回り提供が認められるなど、新たな競争が可能となりました。
ブラックロックは、規模が拡大したステーブルコインが銀行預金やマネーファンドと競合した場合、銀行の信用創造機能に影響を及ぼす可能性があると指摘しています。
ステーブルコインが示す金融進化の方向性
さらにブラックロックは、ステーブルコインの採用は主流決済システムにも広がりつつあるとした上で、国内外の送金インフラへの統合が進んでいると述べています。
特に新興国市場(EM)では、自国通貨の代替としてドル連動のステーブルコインを国内取引に利用する潜在性もあり、現地通貨離れによる金融政策への挑戦となる一方でドルへのアクセス拡大をもたらす可能性があると分析しました。
ブラックロックは、これらの動きが急速に発展する「金融の未来」への一歩であると位置づけています。
また同社は、トークン化が進む金融システムにおいて、デジタル化されたドルが従来の金融仲介や政策伝達経路と並存しつつ、それらを変革していく局面が始まっているとの見解も示しました。
実際、ステーブルコインはデジタル金融システムの構造的一部となりつつあり、オンチェーン上でドル流動性と価値安定の主要源となっていると指摘されています。
「2026年は期待から実需へ」
金融市場を再定義するAIとステーブルコイン
大手銀行が本格参入するステーブルコイン市場
2025年後半以降、従来型の大手金融機関もステーブルコイン分野への参入を本格化させています。
米欧日などの銀行10行(バンク・オブ・アメリカ、ドイツ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループなど)は10月、G7通貨に連動するステーブルコインの共同発行を検討すると発表しました。
また、IMFのレポートによると、世界のステーブルコイン市場規模は2025年第3四半期に初めて3,000億ドル(約47兆円)を突破しており、決済インフラとして急速に存在感を高めています。
AIインフラ需要を見据えた大型投資の加速
一方、AI分野でも巨額投資が相次いでいます。
年末には日本のソフトバンク・グループがChatGPT開発元の米OpenAIに410億ドル(約6.5兆円)という過去最大級の出資を完了し、同社株式の約11%を取得しました。
ソフトバンクの孫正義CEOはAIに「オールイン」で臨む考えを示しており、この巨額投資はAIアプリケーションを支える計算インフラ需要の急増を見据えた戦略だとしています。
二大テーマが導く2026年以降の金融市場
こうした動きを背景に、ブラックロックはAIとステーブルコインを2026年に向けた金融市場の重要な要素として位置づけています。
今後も伝統的金融と新興デジタル金融の融合が進む中、両者の動向が市場に与える影響に一層注目が集まります。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.36 円)
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Source:BlackRockレポート
サムネイル:AIによる生成画像





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