
Bybitの日本撤退が正式決定、国内ユーザーに影響拡大
大手暗号資産取引所Bybit(バイビット)は2025年12月22日、日本居住者向けのサービス提供を終了すると正式に発表しました。
同社はすでに同年10月31日付で日本在住ユーザーの新規登録受付を停止しており、今回の発表はそれに続く措置となります。
国内居住の既存ユーザーに対しては、2026年1月より段階的なアカウント利用制限を実施する方針で、Bybitからの通知メールで案内が行われました。
海外居住の日本人ユーザーについても、日本の規制遵守を理由に対応が強化されており、2026年1月22日までに住所証明を含む本人確認レベル2(KYC2)を完了・更新しない場合は「日本居住者」とみなされてサービスへのアクセスが制限されると説明されています。
Bybit側は今回の日本市場撤退について、日本の金融当局による規制強化の影響を挙げており、利用者に対して必要な対応を早めに進めるよう呼びかけています。
海外仮想通貨取引所5社に警告
Bybit撤退が示す国内暗号資産規制の現実
日本居住者判定とKYC2未完了時の制限方針
Bybitの公式発表によると、同社の記録上で「日本居住者」に該当すると判断されたユーザーアカウントは、日本の金融規制に準拠するため段階的な利用制限の対象となります。
具体的には、2026年1月22日までにKYCレベル2(住所確認書類の提出)を完了していない場合、当該アカウントは日本居住者と見なされ、2026年以降に順次サービス利用が制限されることになります。
通知を受け取ったユーザーのうち、日本居住者に該当しない場合は、同期限までにKYC2を更新または完了することでBybitの継続利用が可能だと案内されています。
一方、日本居住のユーザーに対して具体的にどのサービスがいつ停止されるかといった詳細は現時点で明らかになっておらず、今後あらためて詳細な措置内容が通知される予定だと説明されています。
日本の規制環境がBybitに迫った決断
こうした措置の背景として、2024年の金融商品取引法改正により暗号資産デリバティブ取引の監視強化や無登録業者への罰則厳格化が図られており、日本当局は無登録でサービス提供を行う海外取引所への監視を強めてきました。
Bybitは過去3度にわたり金融庁から警告を受けた経緯があり、2025年2月には日本向けモバイルアプリがストアから削除され、10月には新規登録受付の停止措置が取られました。
Binance事例に見る日本市場再参入の形
同様の動きは他の大手海外取引所にも見られ、例えばBinance(バイナンス)は2023年11月にグローバル版サービスを日本居住者向けに終了する一方で、あらかじめ金融庁登録済みの「バイナンスジャパン」を立ち上げる手法で日本市場に再参入しました。
こうした事例から、一部には「Bybitも正式な国内登録を経て再上陸を図る布石ではないか」との見方も出ていますが、現時点でBybitから日本市場再参入について公式な言及はありません。
なおBybitは取引高で世界第2位規模とされ、全世界で7,000万人以上のユーザー基盤を持つことから、同取引所の日本市場撤退は国内トレーダーにも大きな影響を与えるとみられます。
日本居住ユーザーに求められる対応
利用中の日本居住ユーザーにとって重要なのは今後の資産管理と乗り換え対応となります。
Bybitのサービス停止までの期間に余裕があるうちに出金や他プラットフォームへの資産移行を計画すべきとの意見もみられており、海外取引所の提供制限が相次ぐ中で必要に応じて利用先を変更する準備が迫られている状況です。
海外取引所アプリの削除を要請
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海外取引所制限に対する国内ユーザーの反応
Bybitの撤退表明により、近年続いてきた「日本市場で海外暗号資産取引所が相次いで提供を制限する」動きが改めて明確になりました。
実際、2023年11月末にはバイナンスがグローバル版サービスを日本居住者向けに停止し、さらに2025年に入ってからも複数の海外取引所が日本人ユーザーへの提供を制限する動きを見せています。
こうした状況に対し、国内の暗号資産コミュニティでは批判的な声や不安の声が上がっており「主要な海外取引所が使えなくなるのは痛手だ」「国内取引所だけになると幅が狭まる」といった懸念がX(Twitter)上でも広がっています。
Bybitの新規受付停止が報じられた際にも、業界内では戸惑いの声が多く上がっており、今回の既存ユーザー向けサービス終了の知らせは国内トレーダーにさらなる動揺を与えています。
金融庁が示す暗号資産市場健全化の方針
一方で、日本の規制当局は利用者保護と市場健全化のために必要な措置だと強調しており、金融庁は無登録業者による違法なサービス提供を断固として排除する姿勢を示しています。
2024年改正の金融商品取引法では暗号資産デリバティブ取引が明確に規制対象に組み込まれ、無許可業者への罰則も強化されました。
これに伴い、日本国内でサービス提供を続ける事業者は金融庁への登録(または登録業者との提携)が事実上必須となり、結果として未登録の海外取引所は撤退を余儀なくされています。
Bybitの日本市場からの撤退もその延長線上に位置するもので、日本のユーザーにとっては不自由さが増す一方、規制遵守が求められる環境への移行が進んでいる状況です。
規制と利便性の狭間で揺れる日本市場
今回のBybit撤退は、日本の暗号資産業界における規制と利便性のバランスをめぐる議論を再燃させる動きとなっています。
利用者の間には「規制強化ばかりでは国内市場が停滞しかねない」との懸念もある一方、当局は無登録業者排除や投資家保護の観点から規制遵守を求める姿勢を維持しています。
今後は国内取引所(金融庁登録済み業者)によるサービス拡充や、新規参入する海外事業者の増加が見込まれるかが焦点となっており、2026年に向けた業界動向と規制に引き続き注目が集まっています。
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Source:Bybit公式アナウンス
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