
2026年に迫る仮想通貨ETF大量誕生と淘汰局面
2025年12月18日、米資産運用企業Bitwise(ビットワイズ)は、2026年に米国で「100本以上の仮想通貨ETFが誕生する」との予測を示しました。
この予測についてビットワイズは、9月にSEC(米国証券取引委員会)が仮想通貨ETF向けの汎用的な上場基準を公表したことで、ETF発行体が共通ルールのもとで商品を上場できるようになったと説明しています。
その結果、2026年を見据えた規制の道筋が明確になり「“ETFの祭典”が起きる環境が整いつつある」との見方を示しています。
こうした見通しを受け、ブルームバーグのETFアナリスト、ジェームス・セイファート氏は自身のX(旧Twitter)で、ビットワイズの予測に全面的に同意しつつ「多数の仮想通貨ETFが乱立した結果、多くの清算が行われる事態に至る可能性がある」との警鐘を鳴らしました。
同氏は、市場の過密化によってETF間の競争が激化し、特定のプロダクトに資金が集中しやすくなるとの見方を示しています。
I'm in 100% agreement with @BitwiseInvest here. I also think we're going to see a lot of liquidations in crypto ETP products. Might happen at tail end of 2026 but likely by the end of 2027. Issuers are throwing A LOT of product at the wall — there's at least 126 filings https://t.co/eOmeUIKXFZ pic.twitter.com/UELUKUng7Y
— James Seyffart (@JSeyff) December 17, 2025
私はBitwiseの見方に100%同意です。
仮想通貨のETP商品では、今後かなりの数が清算に追い込まれると考えています。時期は早ければ2026年末、遅くとも2027年末までには起きるでしょう。
発行体はとにかく大量のプロダクトを乱発していて、申請数だけでも少なくとも126件あります。
暗号資産ETF「2028年解禁」見通し
仮想通貨ETF急増が映す市場構造と清算リスク
SECの上場基準緩和がもたらすETF参入拡大
SECが2025年9月に採用した仮想通貨ETFの新たな上場基準により、米国市場ではETFの上場手続きに変更が加えられています。
条件を満たすETFについては、個別審査(証券取引所規則19b-4)が不要となり、新規上場までの期間が短縮されました。
このルール緩和を受け、ビットコイン(BTC)以外の銘柄も含め、アルトコインを対象とするETF申請が相次いでいます。
こうした申請増加を背景に、セイファート氏は米国市場には現在126本以上の仮想通貨ETFが申請中で、市場の過密化が進んでいると指摘しています。
また同氏は、2026年末から2027年にかけて、一部のETFが清算される可能性があるとの見通しを示しました。
仮想通貨ETF乱立後に進む淘汰と清算リスク
なお、2019年にSECが株式ETFで類似の規制緩和を行った際、新規ファンド数が急増した直後に小規模ETFの閉鎖が相次いだ例があります。
こうした前例を踏まえ、市場関係者の間では、仮想通貨ETF市場でも需要を集められない商品が淘汰される可能性があるとの見方が出ています。
また、保管体制を巡るリスクについても、関係者の間で懸念が示されています。
仮想通貨ETFの保管資産は主要カストディアンであるCoinbase(コインベース)社に集中しており、世界のビットコインETF資産の最大85%を同社が管理しているとされています。
こうした集中については、主要カストディに障害が発生した場合、市場全体に影響が及ぶ可能性があるとの指摘も出ています。
BofA、主要ビットコインETF提供へ
現物ETF急成長が示す米国仮想通貨市場の成熟
主要ETFが牽引する仮想通貨市場の資金流入
SoSoValueのデータによると 、記事執筆時点で、米国のビットコイン現物ETFの純資産は約1,120億ドル(約17.4兆円)に達しています。
これはビットコイン全体の時価総額の約6.6%に相当する規模で、ETFという規制商品の枠組みを通じて相当量の資金がビットコイン市場に流入したことを示しています。
ビットコインETFに続き、米SECが今年11月に初めて承認したXRP現物ETFは、ローンチからわずか1ヶ月で累計10億ドル超(約1,560億円)もの資金流入を記録しました。
カナリー社やグレースケール社など計4本のXRP連動ETFが同時期にスタートし、その後30営業日連続で一日も資金流出がない安定した資金流入ペースが市場の注目を集めています。
XRP現物ETFがこれほど早期に資金純流入額10億ドルを突破したのは、過去に同規模へ到達したビットコインETFに次ぐペースと伝えられています。
ソラナETF上場が示すアルトコインETFの広がり
さらに、ソラナ(SOL)の現物ETFも10月28日に米国市場で初上場を果たし、約7億ドル(約1,100億円)規模の累計資金流入を集めています。
こうしたビットコイン・イーサリアム(ETH)以外のアルトコインETF上場が相次いだことにより、仮想通貨市場への新たなマネーエントリー(資金流入経路)が広がり始めています。
仮想通貨ETF市場、成長と選別の時代へ
このように、2024年以降相次いだ現物型仮想通貨ETFの承認・上場は、ビットコインに留まらず複数の主要銘柄へと広がりを見せています。
米国当局の前向きな姿勢と明確化されたルールを追い風に、2026年にかけて仮想通貨ETF市場はさらなる拡大と進化の局面を迎える見通しです。
今後も追加のETF申請・承認が見込まれる中、どのプロダクトが市場で資金を集めるのか、業界内外の関心が高まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.68 円)
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Source:Bitwise X投稿 / ジェームス・セイファート氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像





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