
メタプラのBTC戦略に世界最大級政府系基金が支持
ノルウェーの政府系ファンドNBIM(ノルゲスバンク・インベストメント・マネジメント)は2025年12月17日、東証スタンダード上場の株式会社メタプラネットが提示したビットコイン(BTC)財務戦略に関する5件の経営提案を全面支持したことが明らかになりました。
これらの提案は、12月22日に開催予定の同社臨時株主総会に付議される予定で、NBIMは事前に賛成の意思を示しました。
NBIMは運用資産約1.7兆ドル(約265兆円)を擁する世界最大規模の政府系ファンドで、2025年6月末時点でメタプラネット株の約0.3%を保有しています。
今回支持された提案には、資本構成の変更や新たな永久優先株式の導入などが含まれており、ビットコイン蓄積に向けた資本柔軟性を高めつつ既存株主の希薄化を抑える狙いがあるとみられています。
メタプラネットの壮大なBTC投資戦略
メタプラネットが描く非希薄型ビットコイン成長モデル
株式希薄化を抑えたBTC購入戦略の仕組み
メタプラネットが提示した5つの提案は、資本構成の見直しを通じて、ビットコインを継続的に保有していくための枠組みを示す内容となっています。
一つの提案では、資本金と資本準備金を減額してその一部を剰余金に振り替え、発行済み株式数を増やすことなく配当や自社株買い、ビットコイン購入に充当できるようにする措置が含まれます。
また別の提案では、将来の資金調達手段として新たな優先株クラスを導入し、授権株式数を拡大することでビットコイン蓄積を支える資本調達の柔軟性を高める計画です。
これらの資本構成変更により、既存株主の持分を希薄化させずに追加資金を確保し、ビットコイン購入や株主還元に充てられる財務基盤を構築する狙いがあるとみられています。
MARSとMERCURYに見る新たな資本調達モデル
こうした資本構成の見直しの中でも、特に注目されているのが、2種類の永久優先株式の新設です。
開示資料によると、クラスA優先株(MARS)は、毎月変動配当を支払い企業の資本構成上で普通株より優先される永久債的な株式で、投資家に安定的な利回りを提供しつつ既存普通株主の希薄化を防ぐ設計となっています。
一方、クラスB優先株(MERCURY)は、固定の四半期配当に加え転換オプションや現金償還条項を備えた永久優先株で、機関投資家にとって予測可能な収益とビットコイン連動の上昇余地を提供するものです。
メタプラネットはMERCURY株を機関投資家向けに発行し約1億5,000万ドル(約230億円)規模の第三者割当増資を行う計画であり、今回の提案可決によりその資金を追加のビットコイン購入に充当することが正式に可能となります。
同社はこの優先株スキームを通じて長期志向の機関投資マネーを呼び込みつつ、普通株の希薄化を抑えた形でビットコイン準備高を積み増す方針を示しています。
NBIMの全面支持がもたらす戦略的インパクト
こうした資本戦略を巡る提案に対し、NBIMが全面的に賛成の意思を示したことは、今回の臨時株主総会に向けた動きの一つとして受け止められています。
メタプラネットは近年、米国で最大のビットコイン保有企業であるストラテジー(旧マイクロストラテジー)社にならったビットコイン財務戦略を掲げ、主力事業だったホテル資産を処分してビットコイン投資に注力してきた経緯があります。
同社の現在のビットコイン保有量は約30,823 BTC(4,150億円相当)に上り、企業保有として世界4位の規模に達しています。
経営陣は2026年までに保有高を10万BTCに増やす長期目標を表明しており、今回の優先株活用による資本調達はこの目標達成に向けた鍵を握るとみられます。
また、NBIMはストラテジー社の株式を約1.05%(評価額11億ドル超)保有しており、メタプラネット株への関与比率が約0.49%に高まったことと合わせて、同基金のビットコイン関連投資の動向が注目されています。
こうした背景から、市場ではNBIMの支持表明について「世界最大の機関投資家がビットコイン連動企業を新たな投資アセットクラスとして位置付けている」との見方も出ています。
BTC保有拡大で過去最高益更新
ビットコイン戦略を巡るメタプラネットへの市場評価
NBIM支持後の株価反応と市場心理
NBIMの支持発表を受けて、メタプラネットの株価は直近の東京市場で前日比約1.51%上昇し404円で取引を終えました。
出来高は平時平均を下回ったものの、株価は上昇しており、短期的には支持表明を材料視する動きがみられています。
発表当日の値動きでは、同社株価は市場価値純資産倍率(mNAV)が1倍を回復した局面で一時15%近く反発しましたが、その後、ビットコインの急落に伴い上昇分をほぼ失う展開となりました。
実際、ビットコイン価格は現在1BTCあたり8万6,000ドル前後(約1,340万円)で推移しており、相場全体としても方向感が出にくい状況が続いています。
こうした相場環境を背景に、市場参加者の間では、12月18日に予定される日本銀行の金融政策決定会合で利上げが実施されれば円高によるビットコイン下振れ圧力が強まる可能性も指摘されており、投資家は外部環境の動向を注視しています。
臨時株主総会と中長期戦略の行方
メタプラネットにとって、目前に控える12月22日の臨時株主総会は今後の戦略を占う重要な節目となります。
ここで提案が正式に可決されれば、同社は追加の資本を武器にビットコイン蓄積戦略を再加速できる体制が整うことになります。
一方、ビットコイン相場の乱高下や国内規制当局の視線など不透明要因も残る中、2026年までに10万BTCを保有するという大胆な目標には依然として不確実性が付きまといます。
こうした懸念が残る中、今後は臨時株主総会での議決結果と、その後の資本政策の進展が焦点となります。
今回の株主総会とその後の展開は、日本企業によるビットコイン財務モデルの動向を占う事例の一つとして位置付けられています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.53 円)
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Source:Bitcoin Magazine報道
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