
欧州委員会が新たな立法提案を発表
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(European Commission)が、暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダー(CASP)、取引所、中央清算機関(CCP)などを含む市場インフラの重要部分に対し、直接的な監督権限を付与する新たな立法提案を12月4日に発表した。
この提案により欧州証券市場監督機構(ESMA)は加盟国ごとの体制ではなく、EU全域で統一されたスキームによって、認可、継続的な監督、法令違反への対応までを担うことになる見込みだ。またEU域内の大手または越境型CASPは、複数国の規制をまたぐ必要がなくなる見込みで、ライセンスの横展開や事業拡大が容易になると見られている。
市場全体で統一されたルールと監督基準が適用されるため、消費者保護やマネーロンダリング対策、システム・リスク管理の観点で、これまで以上に厳格なチェックが強化される可能性がある。
複数国横断での暗号資産事業を展開する新興企業やスタートアップにとって、法的・運用的ハードルが下がる可能性がある一方で、ESMAによる審査・遵守義務が重くなるとの指摘もある。
なお、加盟国の中には、この中央集権的な監督に懐疑的な姿勢を持つ国もある。「ロイター(Reuters)」によれば、特に中小国や、金融ライセンスを活用してきた国々からは、自国の規制との適用手法に差があることなどへの影響を懸念する声が上がっているという。
また規制が強化されることで、特に小規模の新興企業の参入障壁が高まり、結果的にイノベーションが鈍化する可能性を懸念する声もある。
EUは世界的に見ても厳格な暗号資産規制を整備しており、ステーブルコインについては、原則として準備資産による裏付けを義務づけている。
欧州委員会は2023年6月にデジタルユーロ法案を提案。欧州中央銀行(European Central Bank:ECB)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Largarde)総裁は、ECBが2025年10月までにデジタルユーロの準備段階を完了させる予定だと述べている。
またECBは、ユーロ圏の金融的自律に不可欠とみなすプロジェクトについて、立法府の迅速な承認が得られれば、2027年にデジタル通貨のパイロットを開始できると10月30日に発表している。
ただしこれは、欧州議会・理事会・欧州委員会を含む欧州連合(EU)の立法機関が、来年中にデジタル・ユーロの法的基盤となる法案を可決することを条件としている。
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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