
Coinbaseが示す2025年12月相場反転の鍵
米仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)の機関投資家部門は、2025年11月にビットコイン(BTC)相場が急失速したものの12月には反転に向かう可能性があるとの見解を示しました。
その背景として、現在の下落局面で影響しているマクロ要因と需給要因が12月に向けて改善しつつある点を挙げています。
同部門が公表した月次市場レポートでは、FRB(米連邦準備制度理事会)が12月に量的引き締め(QT)を停止したことに加え、年内利下げ転換を見込む声が強まっていることが、リスク資産にとって追い風になり得ると指摘しています。
一方、需給面ではオンチェーンデータから長期保有者(LTH)がこの1か月ほどBTCを売却に転じており、これまで相場を支えてきた「強気ホルダー」の存在感が弱まっているといいます。
コインベースは、この動きが11月の下落局面で売り圧力を強めた一因になったと分析しています。
こうした需給面での弱さは流動性指標にも表れており、コインベースは仮想通貨エコシステムの基軸通貨であるステーブルコイン供給量が10月以降縮小に転じた点を指摘しました。
同レポートでは、供給量が2023年以来の低水準にあり、市場全体の流動性が低下している状況が示されています。
機関投資家の67%が強気
11月のビットコイン急落と12月反発への転機:コインベース分析
テクニカル指標割れで売り圧力が増加
ビットコイン相場は11月下旬に一時約8万4,000ドル(約1,300万円)まで急落し、月間の下落幅は1万8,000ドル(約280万円)を超えて2021年以来最大規模となりました。
Coinbaseレポートは、今回の下落局面では個人・機関投資家ともに買い支えが弱く、慎重姿勢が強まり、テクニカル指標を割り込みやすい地合いを生んだとしています。
また、主要なテクニカル指標とオンチェーンの支持線が相次いで崩れ「相場は明確な下値支持帯を失った」とコインベースは指摘しました。
BTC価格はすでに200日移動平均線や短期保有者の平均取得コスト、そして強気相場時に下支えとなっていた「75%利益」ライン(全供給量の25%が含み損となる水準)を下回っており、直近購入者の多くが含み損を抱えて投げ売りのリスクが高まっている状況です。
ETFからの資金流出が引き起こす二次的圧力
同レポートは、主要支持帯である9万8,000〜10万ドル(約1,520〜1,550万円)を割り込んだことで保有者が少ない価格帯に入り、結果的に8万5,000ドル(約1,320万円)付近まで急落したと指摘しています。
加えて米国の現物ビットコインETFでは11月に過去最大規模の資金流出が発生しており、大口資金の流出が下落局面を一段と押し下げたとコインベースは分析しています。
コインベースはこうした所有構造の変化によって市場の脆弱性が増したとして、出来高を伴う明確な価格水準の回復や、ビットコイン現物ETF・ステーブルコイン市場への資金流入が確認できるまで安易な押し目買いを控える戦略が有効だと述べています。
12月の利下げとともに動く可能性ある買い圧力
一方で同レポートは、市場の脆弱性とは対照的にマネーマーケットファンドなどの待機資金が依然高水準にあり、市況が安定すれば規制されたビットコイン商品に流入する可能性があるとの見解を示しました。
コインベースは、市場の安定には時間がかかるものの、2025年12月に見込まれるFRBの利下げ開始が待機資金の流入を促し、相場反転の引き金になり得ると結論づけています。
クリスマス前にFRB新議長任命か
ビットコイン年末相場に影響する企業動向とFRB観測
こうした中、ビットコインを大量保有する米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、相場の弱含みを受けて2025年通年の業績目標を下方修正しており、市場センチメントの弱さを示す動きとして位置付けられています。
12月相場は依然として値動きの荒い展開が続いているものの、過去データではビットコインは12月に平均約9.7%の上昇率を記録しており、年末にかけた戻りを意識する見方も根強く残っています。
実際、12月1日の急落後には反発が入り、記事執筆時点で約9万3,500ドル(約1,450万円)まで回復しました。米国市場では翌週のFOMCでFRBが0.25%の利下げに踏み切るとの観測が強まっており、市場ではその確率を約87%まで織り込んでいます。
こうした金融緩和への期待感も、投資家心理を下支えする要因となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.20 円)
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Source:Coinbase Institutionalレポート
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