ヴィタリック、「ジーキャッシュ(ZEC)」にトークンベース・ガバナンスの導入回避を提言

ヴィタリックがZcashに対してトークンベース・ガバナンスの導入回避を提言

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、プライバシー重視の暗号資産(仮想通貨)プロジェクトであるジーキャッシュ(Zcash)に対し、トークンベース・ガバナンスの導入を回避すべきだと、自身のXで11月30日に提言した。

同氏はトークン投票がさまざまな面で欠陥を持つと指摘し、プライバシーのような価値は「中央値的なトークン保有者」の判断に委ねると時間とともに侵食されやすいと警告した。また同氏は、トークン投票はジーキャッシュの現行のガバナンスモデルよりも劣っていると述べている。

同氏は2021年に発表したブログ記事において、トークン投票の問題点を詳細に論じている。同記事では、トークン投票が少数の裕福な参加者に権力を集中させ、小口保有者は投票への参加意欲が低くなる「コモンズの悲劇(tragedy of the commons)」を引き起こすと指摘している。また同記事では、トークン保有者の利益が過度に重視され、プロトコルコミュニティを構成する多様な利害関係者の価値観や目標が軽視されるリスクについても言及されている。さらに、裕福なアクター間の利益相反問題が深刻化する可能性も指摘されている。

ブテリン氏はトークン投票の根本的な脆弱性として、投票買収への脆弱性を強調している。トークンは経済的利益とガバナンス権を組み合わせた資産だが、これら2つの権利は容易に分離可能であるという。具体的には、DeFi(分散型金融)のレンディングプラットフォームからトークンを借り入れることで、経済的リスクを抑えつつガバナンス権を行使できると説明している。

実際の事例として、2020年に発生したステーム(Steem)の敵対的買収を挙げている。この事件では、暗号資産取引所が顧客のコインを使用して投票を行い、コミュニティの大多数が強く反対する提案を支持した。結果としてコミュニティの大部分がハイブ(Hive)という別のチェーンへ大量移住する事態となったという。

ブテリン氏は、トークン投票に代わる解決策として、「限定的なガバナンス(limited governance)」、「非トークン駆動型ガバナンス(non-coin-driven governance)」、および「ゲームへの参加(skin in the game)」の3つのアプローチを提案している。非トークン駆動型ガバナンスの例として、「個人証明システム(Proof of Personhood)」や「参加証明システム(Proof of Participation)」、そして「二次投票(Quadratic Voting)」などが挙げられている。

なおジーキャッシュコミュニティグランツ(ZCG)の委員を務めるアルトコール(Artkor)氏は、11月25日に2026年の再選に向けた立候補を表明している。同氏は自身の投稿で、ジーキャッシュの価格上昇により新たな機会が生まれた一方で、安易な支出という危険な課題も生じていると指摘し、慎重かつ原則的な資金管理を継続する意向を示している。

参考:ヴィタリックブログ
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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