韓国与党、ステーブルコイン法案を年内提出。銀行コンソーシアム方式で合意目指す

1月の臨時国会での法案処理目指す

韓国で停滞していた「デジタル資産2段階立法(ステーブルコイン規律体系)」が前進する可能性が出てきた。現地メディアの「毎日経済新聞」が12月1日に報じた。

報道によると、韓国政府と与党「共に民主党」は、最大の争点であったステーブルコインの発行主体について、「銀行が参加するコンソーシアム方式」を有力案として最終調整に入ったという。与党は金融当局に対し、12月10日までに政府案を提出するよう最終通告した。

共に民主党の国会政務委員会関係者と金融委員会は12月1日、国会議員会館で非公開の党政協議会を開き、「デジタル資産基本法」の立法方針について協議したという。

協議後、共に民主党のカン・ジュンヒョン(Kang Joon-hyun)議員は、「最大の争点だったステーブルコインの発行主体について、韓国銀行、金融委員会、銀行業界の立場を総合し、コンソーシアム形態を含む複数案を幅広く議論した」と説明。

具体的には、銀行がコンソーシアム内でどの程度の持分を保有するかが集中的に議論されたものの、現時点で合意には至っていない。

カン議員室の関係者は、「例えば銀行の参加比率を50%以上とする案などについて、関係機関間の隔たりを早期に埋める必要がある」と説明。「韓国銀行が重視する通貨政策の安定性と、金融委員会が掲げる産業革新の両立点を模索している」と述べた。

一方、金融委員会は「党政協議を通じて速やかに政府案をまとめ、国会審議を支援する方針で一致した」とする一方で、「銀行持分を51%以上とするコンソーシアムを認めるといった具体的内容は、まだ確定していない」と慎重な姿勢を示している。

これまで韓国銀行は、ステーブルコインが通貨の地位を脅かす可能性があるとして、銀行中心の発行体制を主張してきた。これに対し、金融委員会や与党内の一部は、フィンテックなど非銀行系事業者の参入障壁を下げるべきだと主張し、対立が続いていた。このため、政府案の策定は数カ月にわたり停滞していた。

カン議員は立法スケジュールについて、政府に対し12月10日までに骨格となる政府案を提出するよう強く要求している。期限内に提出されなければ、政務委幹事として議員立法で立法作業を主導する構えだ。

党政は今通常国会中の法案提出を目指し、2026年1月の臨時国会での法案処理を目指している。

カン議員は「市場への影響が大きいだけに、政府と野党の調整が不可欠」とした上で、「すでに複数の法案が提出され、議論も成熟している。今後はスピードを上げていく」と強調している。

市場関係者の間では、今回の動きを前向きに受け止める声が広がっているという。韓国では、法制整備の遅れによる産業競争力の低下が懸念されてきたためだ。米国、EU、日本などではすでにステーブルコイン規制が制度化され、ステーブルコインの市場での存在感は増している。

これまで韓国銀行(BoK)は、非金融企業によるコイン発行に反対姿勢を示しており、法改正の進展は遅れていた。韓国では2019年に暗号資産およびステーブルコインの発行が原則禁止されているが、現在は政府と規制当局が足並みを揃え、国会での承認を目指している。

11月には、韓国金融委員会(FSC)が、国内金融業界以外の企業に対しても、韓国ウォン(KRW)に連動したステーブルコインの発行を認める方向で検討を進めていると報じられた。
一部の関係者からは、「技術力を持つ大手テック企業やフィンテック企業が参入すれば、銀行の競争力が低下する」との懸念も示されている。

一方で、韓国では銀行とテック企業の間で、IT主導の新たな競争環境が生まれるとの見方も出ている。韓国の大手銀行は、ビッグテックによるステーブルコイン発行について公式には慎重姿勢を維持している。

関係者らは、仮に政府が暗号資産を金融システムに本格的に組み込む方針を固めた場合でも、銀行はマネーロンダリング対策、カストディ、決済などで不可欠な役割を担うため、ビッグテックのステーブルコイン事業に参画せざるを得なくなるとの見方を示している。

今回カン議員室の関係者が明かした方針は、銀行が信頼性と健全性を担保し、テック企業がイノベーションを担う「韓国型ステーブルコインモデル」を意識したものとみられている。

参考:報道
画像:iStock/NatanaelGinting

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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