
テキサス州、米初の州準備金によるBTC取得
2025年11月26日、米テキサス州が州財務準備金の一環として、約500万ドル(約7.8億円)相当のビットコイン(BTC)を購入していたことが明らかになりました。
同州はBlackRock(ブラックロック)社のBTC現物ETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」を通じてビットコインに投資しており、州政府による公式なビットコイン取得は米国で初の事例です。
州政府による今回のビットコイン購入は、6月に成立した州法「SB-21(テキサス戦略的ビットコイン準備基金法)」に基づき実施され、州の余剰資金を用いてビットコインを長期保有資産として組み入れることを可能にしています。
同州によるビットコイン購入額はSB-21で承認された予算1,000万ドル(約15.6億円)のうち半額にあたる500万ドルで、残りの予算も今後段階的にビットコイン購入に充てられる予定と伝えられています。
テキサス州はこれまでもビットコインマイニング事業の誘致などを積極的に進めており、今回の州政府による購入開始は他州にも影響を与える可能性が指摘されています。
テキサス州、ビットコイン保有を法制化
米州政府で初、テキサス州でBTC準備金制度が始動
IBIT経由で500万ドル相当のビットコイン投資
テキサス・ブロックチェーン協議会のリー・ブラッチャー会長は自身のX(旧Twitter)投稿で、同州が11月20日にビットコインを購入したことを明らかにしました。
TEXAS BOUGHT THE DIP!
Texas becomes the FIRST state to purchase Bitcoin with a $10M investment on Nov. 20th at an approximately $87k basis!
Congratulations to Comptroller @KHancock4TX and the dedicated investments team at Texas Treasury who have been watching this market… pic.twitter.com/wsMqI9HrPD— Lee ₿ratcher (@lee_bratcher) November 25, 2025
テキサス州がビットコインを購入!
(中略)テキサス州は最終的に自分たちでビットコインを管理する予定ですが、その準備が整うまで、今回の投資をブラックロックのIBIT ETFを通じて行いました。
また同氏は「テキサス州は11月20日に500万ドル分を購入したが、1,000万ドルが一般財源から割り当てられており、まだ全額が投入されたわけではない」と述べ、今回の取得が全体計画の第一歩であることを強調しています。
ブラッチャー氏によれば、購入は米資産運用大手ブラックロックのビットコイン現物ETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」を通じて行われ、平均取得単価は約87,000ドル(約1,360万円)でした。
州財務と分離したBTC基金を設置
州法SB-21は、テキサス州がビットコインを戦略的準備資産として保有・運用する枠組みを定めたものです。
同法では、州が投資できるデジタル資産は「直近24ヶ月の平均時価総額が5,000億ドル(約78兆円)を超えるもの」に限定されており、記事執筆時点で条件を満たす仮想通貨はビットコインのみとなっています。
同法は2025年6月にグレッグ・アボット州知事が署名して成立し、州会計検査官(コンプトローラー)が管理する特別基金を州財務から独立して設置することを規定しています。
この基金により、州政府は余剰資金や特定収入を原資にビットコインを購入・保管できるようになり、政府自らがビットコインへ直接投資する道が開かれました。
セルフカストディへの移行を計画
今回テキサス州が直接ビットコインを購入せずIBIT経由で取得したのは、初期段階での規制順守とカストディ(保管)体制の整備を考慮した措置とされています。
同州の担当者は、まずETFを介して価格エクスポージャーを得ることで「準備基金の展開を開始した」と説明し、現在はビットコインを直接管理するための提携先カストディアンの選定やセキュリティ方針の策定を進めている段階だといいます。
ブラッチャー氏も「最終的にテキサス州はビットコインを自前で保管(セルフカストディ)する予定だが、入札プロセスが完了するまではETFで初期配分を行った」と述べ、準備基金の本格運用に向けた移行期間であることを示唆しています。
ビットコイン導入が示す制度的転換点
州議会で法案を支持した議員らは「ビットコインの過去の長期的パフォーマンスに注目し、分散型の長期戦略に活用すべきだ」と議論しており、今回の購入により州政府の資産ポートフォリオにビットコインが正式に組み込まれた意義は大きいと受け止められています。
テキサス州は今後、セキュリティ対策が整い次第、保有するビットコインをETFから自前のコールドウォレットなどに移管し、長期保有資産として本格運用する見通しです。
オレゴン州、仮想通貨担保法案が成立
各州が模索するビットコインの公的活用
ニューハンプシャー州が示した新たな地方債モデル
テキサス州の動きは、米国の州レベルで進む仮想通貨採用の流れの一例です。
他州ではニューハンプシャー州が2025年5月、ビットコイン準備基金に関する全米初の州法(HB-302)を成立させ、11月には同州金融当局がビットコインを担保とする1億ドル(約156億円)規模の地方債発行を承認しました。
ケリー・アイオット同州知事は「この歴史的なビットコイン担保債は、州資金や税金にリスクを負わせることなくデジタル金融のリーダーとなる革新的手法だ」と評価しており、州政府による新たな仮想通貨活用モデルとして注目を集めています。
アリゾナ州の準備金構想
アリゾナ州は今年、州が保有する未請求の仮想通貨を活用してビットコイン準備金を設立する法律を成立させました。
同法では州資金で新規に仮想通貨を購入することは禁じられ、押収資産を原資に積み立てを行う仕組みです。
アリゾナ州はビットコインを州備蓄資産とする体制を整えましたが、購入資金を追加投入しない点でテキサス州とは異なるアプローチを取っています。
州政府による仮想通貨導入には各州で温度差が見られるものの、テキサス州のように実際の資産取得に踏み切る例が現れたことで、他州の動きにも影響を与える可能性があります。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.19 円)
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Source:リー・ブラッチャー氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像






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