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2022年以降、NFT市場は「冬の時代」とも呼ばれる深刻な低迷期を彷徨っています。2025年に入り、若干の復調を見せるも、ブルーチップと呼ばれるトップコレクションでさえ流動性が枯渇し、取引は低迷している状況です。

そんな中、2025年9月にTokenWorks社が発表した「NFTStrategy」 が、市場のメタを一変させました。
これは、NFTの流動性の低さという根本的な問題を、トークンのボラティリティ(価格変動)によって解決しようとする革新的なオンチェーン・プロトコルです。
本記事では、このNFTStrategyの概要や仕組み、市場へのインパクト、そして内在するリスクまでを徹底的に解剖します。
NFTStrategyとは

| プロトコル名 | NFTStrategy |
| 開発・運営 | TokenWorks社 |
| 公式サイト | https://www.nftstrategy.fun/ |
| 公式X | https://x.com/token_works |
NFTStrategyは、TokenWorks社が開発した、NFT市場の低い流動性という根本課題の解決を目指すオンチェーン・プロトコルです。
その手法は、CryptoPunksやBored Ape Yacht Clubといった特定のNFTコレクションごとに、対となる専用のERC-20トークン(Strategyトークン)を発行するというものです。
ユーザーは高額なNFTを直接売買する代わりに、より流動性が高く少額から取引できるこのERC-20トークンを売買します。
2025年9月に第一弾としてローンチされたCryptoPunks向けの「PunkStrategy($PNKSTR)」 が、NFTの自動売買と価値循環を実現する仕組みとして市場に衝撃を与え、大きな注目を集めました。
NFTStrategyの仕組み


NFTStrategyの核心は、「The Yoyo
(ヨーヨー)」と名付けられた自動売買サイクルにあります。
これは、トークンの取引手数料をエネルギー源として、プロトコルが自律的にNFTの売買とトークンのバーンを永久に繰り返す「Perpetual Machine(永久機関)」のような設計になっています。
具体的なサイクルは以下の通りです。
- トークン手数料の蓄積とNFTの自動購入
- NFTの転売とトークンの買い戻し・焼却
- クリエイターへのロイヤリティ還元
各ポイントを深掘りします。
1. トークン手数料の蓄積とNFTの自動購入
ユーザーがNFTStrategyのトークンを売買すると、取引ごとに10%の手数料が発生します。
この手数料の8割が、プロトコルのトレジャリーにETHとして自動的に蓄積されていくのです。
そして、トレジャリーに貯まったETHが対象NFTコレクションのフロア価格に達すると、スマートコントラクトによって自動でフロアのNFTを購入します。
2. NFTの転売とトークンの買い戻し・焼却
プロトコルが購入したNFTは、保有され続けるのではなく、即座に購入価格の1.2倍でマーケットプレイスにリストされます。
このNFTが誰かに購入されると、プロトコルはその売却益をすべて使い、市場からStrategyトークンをバイバック(買い戻し)します。そして、買い戻されたトークンはバーンされ、市場から永久に供給が取り除かれます。
この買い圧とデフレのサイクルが、トークン価値を支える仕組みとなっているのです。
3.クリエイターへのロイヤリティ還元
NFTStrategyは、NFT市場で形骸化しつつあったクリエイターへのロイヤリティ問題にも解決策を示しています。
トークン取引手数料10%のうち8割はトレジャリーへ、そして残りの2割は対象NFTコレクションのオーナー(クリエイター)に自動的に還元されるよう設計。
コミュニティとクリエイターの双方にメリットがある持続可能なモデルを目指しています。
市場の反応と顕在化した課題
2025年9月のローンチ以降、NFTStrategyは単なる概念実証を超え、実際の市場で大きな動きを見せました。
しかし、その急激な成長とともに、プロトコルの未成熟な部分や構造的なリスクも浮き彫りになっています。
PunkStrategyの実績と第二弾の熱狂

第一弾としてリリースされたCryptoPunks向けの「PunkStrategy($PNKSTR)」は、ホワイトペーパー上の理論を見事に現実に変えました。
Dune上のオンチェーンデータによれば、プロトコルはこれまでに合計39体のCryptoPunksを購入し、その一部を売却して利益を確定させています。さらに、トークン供給量の約5%にあたる5,200万枚以上の$PNKSTRを市場から買い戻してバーン(焼却)することに成功しており、「Yoyo」サイクルが実際に機能することを証明しました。
この成功を受けたTokenWorks社は、第二弾として、Bored Ape Yacht Club($APESTR)やPudgy Penguins($PUDGYSTR)など、人気コレクション5つを対象としたStrategyトークンをローンチしました。市場はこれに熱狂し、リリース直後からホルダー数と取引ボリュームが急増。
一時は$PNKSTR単体での手数料収益が500万ドルを超えるなど、NFTとDeFiを融合させた新たなトレンドとして大きな注目を集めました。
熱狂後の調整と浮き彫りになった課題
しかし、その後の市場は冷静さを取り戻しつつあります。最新のチャート(下記参照)を見ると、$PNKSTRの時価総額は10月初旬のピークから大きく下落し、現在は約10分の1程度で推移しています。

Dune Analyticsのデータでも、ホルダー数は徐々に減少しており、DEXでの取引ボリュームはピーク時に比べて落ち着きを見せています。(下記参照)

また、運用面での課題も露呈しています。第二弾のローンチ時には、公式の開始時間前にBotによる取引が横行しました。さらに深刻だったのは、プロトコルがフロア価格のNFTではなく、特定のユーザーが出品した相場より遥かに高い価格のNFTを購入してしまう事象が発生したことです。これは、購入対象を誰でも指定できる仕様の穴を突かれたもので、プロトコルの資金が一部のユーザーの利益として流出する結果となりました(現在は修正済みのようです)。
加えて、構造的な在庫化リスクも懸念されています。プロトコルが購入したNFTは1.2倍の価格で再出品されますが、もしこれが売れ残れば、新たなトークン買い戻しの原資が入ってこず、循環サイクルが止まってしまいます。トークン価格の下落に伴い取引量が減れば、手数料収入も減り、NFTの買い支えも弱まるという「負のスパイラル」に陥る可能性も、現在の価格推移からは現実味を帯びてきています。
まとめ
NFTStrategyは、長らくNFT市場を悩ませてきた「流動性の欠如」という課題に対し、トークン取引のボラティリティを動力源とするシステムで挑んだ、野心的な社会実験です。
CryptoPunksを対象とした第一弾の成功は、NFTとDeFiの融合が新たな価値を生み出す可能性を世界に示しました。その一方で、その後の市場の沈静化や運用面での混乱、そして構造的リスクが顕在化した点を鑑みると、このシステムはまだ完全ではないと言えるでしょう。
NFTStrategyは、市況を変える存在ではなく、あくまで元のコレクションが持つ熱量を増幅させる装置に過ぎません。このプロトコルが、現在の調整局面を乗り越え、NFT市場の持続可能なインフラとして定着するのか、あるいは一過性のブームで終わるのか。その答えが出るのは、まだこれからです。
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The post 【NFTの冬を終わらせうる永久機関】新プロトコル「NFTStrategy」を紹介 first appeared on NFT Media.
参照元:NFT Media
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