
メタプラネット、BTC保有目標達成と売上94%増を発表
東証スタンダード上場の株式会社メタプラネットは2025年11月14日、2025年12月期第3四半期の決算を発表しました。
同社のビットコイン(BTC)保有量は9月末時点で30,823 BTCに達し、2025年度末までの目標であった30,000 BTCを前倒しで達成しています。
この成果を背景に、四半期の売上高は前四半期比94%増の24億100万円となり、主力のBTCオプションプレミアム収入を柱とする「ビットコインインカム事業」が過去最高の収益を達成しました。
また、営業利益は13億3,900万円と前四半期から64%増加し、BTC価格上昇に伴う未実現評価益206億円の計上によって純利益は135億円となっています。
メタプラネットの壮大なBTC投資戦略
メタプラネットの成長を支えるビットコイン戦略
BTC運用で安定収益を生むインカム事業
メタプラネットは2024年4月にビットコインを財務資産とする方針(いわゆる「ビットコイン・スタンダード」)を採用して以来、積極的にBTCの取得と活用を進めてきました。
同社は現金を担保にBTCのオプション契約を組成・売却し、そのプレミアム(オプション料)収入によって安定的な収益を得る「ビットコインインカム事業」を展開しています。
この戦略によりBTCを売却せず保有を続けながら利益を上げることが可能となっており、第3四半期はそのプレミアム収入が前期の11億3,000万円から23億円へと大幅に増加しました。
ビットコイン蓄積で増加する個人投資家の関心
2025年に入ってからメタプラネットは複数回の大型資金調達を実施し、その資金でBTCを買い増しました。
その結果、7〜9月期(第3四半期)だけで約1.7万BTCを追加取得し、年初からの総購入量は29,061 BTCに及びます。これにより同社のBTC保有量は30,823 BTCとなり、日本企業として突出した水準に達しました。
1株当たりのBTC保有量も約0.021 BTCと、前年末の約0.004 BTCから約6倍に増加しています。これは同社株主が間接的に保有するBTC量も飛躍的に増えたことを意味し、個人投資家を中心に株主数は21万人超(日本の人口の約0.2%)に拡大しています。
BTC価格高騰がもたらす含み益と評価益
ビットコイン価格は2024年後半から2025年にかけて大幅に上昇し、9月末時点では一時1 BTCあたり約1,250万円に達しました。
この価格上昇と保有枚数の急増により、メタプラネットのBTC含み益(未実現の評価益)は過去最高の約796億円に達したと報告されています。
第3四半期末にはBTC価格が一時的に下落して評価損も発生しましたが、10月以降の急回復により同四半期決算では約206億円の評価益が計上されました。
この評価益が業績を押し上げ、同社は最終損益を大幅な黒字で終えています。
主要セグメント別に見る業績の内訳
セグメント別に見ると、主力のビットコインインカム事業が売上高の大部分を占め、営業利益への貢献も顕著です。
一方、同社はビットコイン取得以前からホテル事業やメディア事業も営んでいますが、それらの収益規模は現在小さく、業績に占める割合は限定的となっています。
同社は引き続きビットコイン関連事業に経営資源を集中し、得られたプレミアム収入は将来発行予定の永久型優先株式の配当原資に充当するとともに、余剰資金は追加BTC取得や新規事業の成長投資に再投資する方針です。
なお、2025年12月期通期業績予想については、売上高68億円・営業利益47億円という従来計画を据え置いており、堅調なインカム事業の伸長で目標達成を見込んでいます。
株主価値を意識した成長ロードマップ
メタプラネットは長期的な成長戦略として、BTC保有量の段階的拡大目標も掲げています。
経営陣は2026年末までに10万BTC、2027年末までに21万BTC(総供給量の約1%)を保有するという野心的な目標を示しており、今回の3万BTC達成はその第一段階にあたります。
同社は「PHASE II」と称する計画の下で普通株の過度な希薄化を避けるため優先株による資金調達を活用し、投資家の持分を守りながら目標達成に必要な資金を確保する方針です。
実際、10月には保有BTCを担保に1億ドル(約154億円)の融資を受け、調達した資金はBTC買い増しやインカム事業拡大、自社株買いに充てられ、同社は長期目標である21万BTC取得に向け着実に第二段階へ移行しています。
新成長戦略「PHASE
JPX規制報道に揺れる株価、メタプラネットが公式見解
暗号資産保有企業に新たなルールの可能性
好調な決算発表があった同日に、JPX(日本取引所グループ)が暗号資産を大量保有する上場企業への規制強化を検討しているとの報道が伝わりました。
ブルームバーグによると、トレジャリー企業の代表例とされる米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)の株価が大幅に下落し多くの個人投資家に損失が生じたことを受け、JPXは国内の当該企業の資金調達手段を制限する新たなルール導入や、いわゆる「裏口上場」的な事業転換の抑制策について議論しているとされています。
このニュースを受けてメタプラネットの株価は一時急落し、市場では規制動向への警戒感が広がりました。
ゲロビッチCEOが裏口上場疑惑に真っ向から反論
メタプラネットのサイモン・ゲロビッチCEOは同日、「本日の一部報道について」と題した公式見解を発表し、この件に言及しました。
本日、一部報道において、JPX がデジタル資産関連事業へ移行する企業のうち、いわゆるバックドア・リスティング(裏口上場)や十分なガバナンス手続きを経ていない事例に着目している可能性が指摘されています。…
— Simon Gerovich (@gerovich) November 13, 2025
同社は「現時点で当社の事業に対して関係当局より何らかの規制措置や調査等を受けている事実はない」と明言し、事業転換が法律・会計・税務の専門家と連携の上、株主総会での承認も経て適法かつ透明性の高いプロセスで進められてきたことを強調しています。
また、「ビットコイン・トレジャリー企業の透明性と信頼性を高める動きは必然的かつ健全である」との認識を示し、規制当局とも建設的な対話を進めていく方針を表明しました。
好決算も規制報道で投資家に不安感
こうした公式コメントにもかかわらず、規制強化の報道は投資家心理に影を落とし、X(Twitter)上でも「好決算がJPX規制ニュースで台無しになった」と嘆く声が一部で上がりました。
ただしメタプラネットの業績自体は極めて好調であり、同社は「コーポレートガバナンスと透明性の強化を最優先に事業を進める」と表明し、企業価値向上と株主利益の追求に引き続き注力する方針です。
今後、規制当局との対話を経て適切なガイドラインが整備されれば、メタプラネットのような暗号資産トレジャリー企業が持続的に成長できる環境が整うとみられています。
今回は波乱含みの決算発表となったものの、同社のビットコイン戦略と成長動向には引き続き国内外から高い関心が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.55 円)
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Source:メタプラネット公式発表
サムネイル:AIによる生成画像







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