
ビットコイン売り圧力の主因は長期保有者か
米資産運用大手フィデリティ・デジタル・アセッツのリサーチ責任者クリス・カイパー氏は2025年11月13日、自身のX(旧Twitter)で公開したオンチェーン分析で、ビットコイン(BTC)価格に下押し圧力がかかる背景について言及しました。
「誰が売っているのか」という市場の疑問に対し、同氏は「現物ビットコインETFや企業の買い需要があるにもかかわらず価格が上がらないのは、長期保有者(HODLer)の売却が原因だ」と指摘しています。
"Who is selling?"
Is the number one question I've been getting regarding #bitcoin's continued price pressure against a backdrop of visible buying (by ETPs, corporations etc.)
I'm not unique in suggesting it's the long-term holders (or HODLers).
But one data point that gives… pic.twitter.com/9PVoolrtwm
— Chris Kuiper, CFA (@ChrisJKuiper) November 12, 2025
「誰が売っているのか?」
これは、ETPや企業などによる明確な買い需要があるにもかかわらず、ビットコインの価格が下落圧力を受け続けている状況について、私が最もよく受ける質問です。
長期保有者(HODLers)が売っていると示唆するのは、私だけではないでしょう。
(中略)10月の強い季節性も実現せず、年末が近づく中で、長期保有者は利益が出ているポジションの調整や税務対策として、今年のうちに手仕舞いする動きに入っているようです。(中略)
投稿時点ではビットコインは10万ドル(約1,550万円)超で推移していましたが、その後に心理的節目を割り込み、売り圧力の継続が意識される展開となっています。
カイパー氏は、オンチェーンデータの分析で過去1年以上動いていないビットコインの割合に注目しています。
過去の強気相場ではこの指標が急速に低下する傾向がありましたが、今回のサイクルでは低下ペースが緩やかで、長期保有者が断続的に利益確定を進めていることが価格の重しになっていると同氏は指摘しました。
11月の市場は弱気相場か?
長期保有者がビットコイン相場に与える静かな影響力
過去サイクルとの比較が示す価格への影響
Glassnode社のデータによれば、過去1年以上移動していないビットコインの割合は弱気相場で上昇し、強気相場に入ると長期保有者の利益確定売りで急低下する傾向があります。
カイパー氏は今回、この指標の低下ペースが過去より穏やかである点に着目し、売却行動の違いが現在の価格動向に影響していると指摘しました。
実際、2017〜2018年や2021年の強気相場ではこの割合が価格急騰に伴って急低下しましたが、現行サイクルでは2023年以降、緩やかに低下していると伝えられています。
投資家心理の変化が引き起こすBTC売却圧力
カイパー氏は、こうした緩やかな売り圧力の背景に投資家心理の変化があると見ており「ビットコインが金や米株指数(S&P500)に比べて低調な値動きとなったことで、投資家の間には失望感が広がった」と述べています。
こうした状況の中、教科書通りの4年サイクルに基づき年末の大幅上昇を期待していた長期保有者も、10月に想定された上昇が実現しなかったことを受けて年末前に利益確定へ動き出したと同氏は指摘しました。
一方で機関投資家の買い意欲は依然として強く、ビットコインETFには1日で5億ドル(約774億円)を超える資金が流入したとブルームバーグアナリストのエリック・バルチュナス氏は報告しています。
「恐怖の時こそ真の富が生まれる」
長期保有者と市場心理が左右するビットコイン相場
仮想通貨市場に広がるリスクオフの動き
ビットコイン価格は米国の投資家心理悪化やハイテク株売りの煽りを受けて10万ドルを再び割り込み、11月14日には一時9万7,000ドル(約1,510万円)まで下落しました。
10月上旬からの下落により、ビットコインの時価総額は4,500億ドル(約70兆円)以上減少しています。
今年の上昇相場を支えてきた機関投資家の資金流入や企業によるビットコイン需要も足元では後退しており、その結果、市場の脆弱性が増していると指摘されています。
モメンタム低下で市場に慎重姿勢強まる
仮想通貨調査会社10xリサーチによれば、ETFへの資金流入鈍化や長期保有者の継続的な売り、個人投資家の参加減少といった要因から、市場は正式に弱気局面入りしたと分析されています。
ビットコイン価格は2025年の高値から2割以上下落し、年初来でもわずか5%高(2024年米大統領選以降は40%高)程度まで上昇率が縮小するなど、モメンタムの鈍化が鮮明です。
足元では長期トレンドを示す移動平均線を下回って推移しており、機関投資家の市場への関与も弱まってきていると指摘されています。
市場では次の重要なサポート水準として9万3,000ドル(約1,440万円)前後が意識されているとの見方も出ています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.70 円)
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Source:クリス・カイパー氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像





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