
ZEC半減期に合わせた自己保管を呼びかけ
仮想通貨取引所BitMEXの共同創設者であるアーサー・ヘイズ氏は2025年11月12日、仮想通貨ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)の保有者に対し、CEX(中央集権型取引所)から残高を引き出してシールドアドレスに移すよう警鐘を鳴らしました。
Zcashは今月、3回目の半減期を迎え、ブロック報酬が3.125 ZECから1.5625 ZECに半減すると伝えられており、新規供給量は1日あたり約3,600 ZECから約1,800 ZECに減少すると見込まれています。
今回のヘイズ氏の呼びかけは、新規供給の減少に伴い、保有ZECを取引所から自己管理ウォレットに移し、シールドプールに入れることで流通量を減らし、市場への影響を抑える動きと受け止められています。
第4四半期ロードマップを発表
ヘイズ氏、自己管理ウォレットへZcash(ZEC)移行を提唱
シールド機能活用の重要性
ヘイズ氏は自身のX(旧Twitter)で「もしZECをCEXに預けているなら、自己管理ウォレットに引き出してシールドすべき」と投稿し、取引所上の資産を即座に引き出してプライバシー保護機能を活用するよう強く呼びかけました。
第三者である取引所にZECを置いたままでは本来の匿名性という価値が損なわれ、規制当局による資産凍結リスクや過度なKYC(顧客確認)による監視の懸念が高まるとされています。
Zcashは透明性の高い公開アドレスと、送金者・受取人・金額を秘匿できるシールド(匿名)アドレスを併用できる点が特徴で、主要取引所の多くは透過アドレスのみをサポートしているため、CEX上の取引はすべて追跡可能な状態になります。
仮想通貨市場で存在感を増すZEC
ヘイズ氏はZECをビットコインに次ぐ規模で保有していることを明かしており、以前からZcashの将来性に強気な姿勢を示してきました。ここ数ヶ月でZcash価格は急騰し、年初来で10倍以上の上昇を記録しています。
同氏が「Zcash価格は長期的に10,000ドル(約1,550万円)に達し得る」との強気予測を示したことも市場の注目を集め、11月上旬にはZEC価格が一時723ドル(約11万円)まで上昇しました。
その後、短期的な利食い売りなどで約37%下落し、記事執筆時点では510ドル(約8万円)前後で推移しています。
半減期とシールド拡大が呼ぶ市場変動
Zcashネットワークでは近年、シールドアドレスを利用した匿名取引の利用が拡大しています。
市場調査によると、シールドプールに保管されているZECは累計で約450万〜500万ZECに達し、流通供給量全体の約27〜30%を占めると報告されています。
最近の価格高騰局面では、短期間で約100万ZECが新たにシールド化され、市場で取引可能な浮動コインの量を大幅に減らす結果となりました。
半減期による新規供給の減少に加え、既存流通分の「引き出しとシールド」が進むと、市場の実質的な流動性が低下し、板の厚みが減ることで価格変動率(ボラティリティ)やスリッページが高まる可能性があると分析されています。
「BTC強気相場は2026年まで続く」
Zcash支持強める企業と進む匿名通貨規制
米ナスダック上場の創薬企業が11月12日付で社名を「Cypherpunk Technologies」に改め、経営戦略をZcashを中心とした仮想通貨事業へ大幅に転換したことが報じられました。
同社は約5,000万ドル(約77億円)を投じて203,775 ZECを取得し、Zcashを主要資産として保有する方針です。
一方、EU(欧州連合)では2027年施行を目指して匿名通貨への規制強化が検討されており、今年春には大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)でZcashの上場廃止が議題に上がった例もあります。
このような企業動向や規制の進展を背景に、米起業家ナヴァル・ラヴィカント氏は「ビットコインが法定通貨への保険なら、Zcashはビットコインへの保険だ」と述べ、Zcashがビットコインでは得られない金融プライバシーを提供する資産であることから市場で注目を集めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.80 円)
アーサー・ヘイズ氏関連の注目記事はこちら
Source:アーサー・ヘイズ氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像







コメント