
ChainlinkとDinari、S&P新指数をオンチェーン化
2025年11月5日、分散型オラクルプラットフォームを提供するチェーンリンク(Chainlink/LINK)は、米国のトークン化株式プロバイダーであるDinari(ディナリ)社との提携を発表しました。
両社は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)が開発した新たなベンチマーク「S&Pデジタルマーケッツ50指数」を、オンチェーン上で検証可能な形で運用することを目指すとしています。
発表によると、この指数はブロックチェーン分野で活躍する米国上場企業35社と主要仮想通貨15銘柄で構成されており、ディナリ社は独自の「dShares
」プラットフォームを通じて同指数をトークン化する予定です。
また、チェーンリンクの分散型オラクルネットワークが公式指数値を含むリアルタイムの価格データをブロックチェーン上に提供し、指数の正確性と透明性を支える役割を担うとしています。
今回の取り組みは、株式と仮想通貨を組み合わせた初のハイブリッド指数をオンチェーン上で実現する試みであり、金融市場データ提供の新たな標準を打ち立てる動きとして注目されています。
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S&Pデジタル指数をオンチェーンでリアルタイム配信へ
仮想通貨と株式を一体化する新フレーム
今回オンチェーン化される「S&Pデジタルマーケッツ50指数」は、2025年第4四半期中のローンチが予定されています。
ディナリ社の発表によれば、同社はこの指数を投資可能なトークンとして提供するため、自社のトークン化株式フレームワーク「dShares
」を用いて指数を構成する各構成資産を1対1の割合でトークン化します。
株式部分については、各銘柄の実物株式が規制当局の認可を受けたカストディアン(保管機関)に預託され、その裏付けとして同数のトークンが発行されるとのことです。
また、仮想通貨部分についても、対応する裏付け資産を確保するアナログシステムで担保される仕組みとなっており、投資家は構成資産が生み出す配当や価値に対する経済的権利(配当の受取や市場価格での換金権など)を保持できるとしています。
これにより、従来の株式指数と同様の安心感で、ブロックチェーン上にトークン化されたハイブリッド指数への投資機会が提供されることになります。
Chainlinkが保証する価格情報の正確性
チェーンリンク(Chainlink)は、この提携で指数算出に必要なマーケットデータの提供基盤を担うと説明しています。
具体的には、チェーンリンクの分散型オラクルネットワークを通じ、S&P公式の指数値や構成資産の価格情報を検証可能な形でオンチェーン上に配信し、常に最新かつ信頼性の高い指標を保証するとしています。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの製品責任者キャメロン・ドリンクウォーター氏は「この協業により、同指数のデータ整合性と接続性が確保され、透明性が高く信頼できる形で市場に提供できる」と述べ、オラクル技術によるデータ信頼性向上を強調しました。
ディナリ社の共同創設者兼CEOであるゲイブ・オッテ氏も公式発表の中で「今回の協働で、トークナイズドされたベンチマークにも同等の信頼性基準をもたらし、S&Pデジタルマーケッツ50指数がオンチェーン上で完全性と検証可能性を備えて運用されることを保証できる」とコメントしています。
金融とブロックチェーンが融合する未来
チェーンリンク、ディナリ社、S&P DJIの3社が構築する今回の枠組みは、透明性の強化やリアルタイムデータ配信、さらにグローバルなアクセス拡大を念頭に置いた新たなベンチマークのモデルケースと位置づけられています。
従来は金融機関など限られた経路で配信されていた指数データがブロックチェーン上で開かれた形で提供されることで、DeFi(分散型金融)を含む幅広い市場参加者がこの信頼性の高い指標を直接活用できるようになります。
公式GDPデータを複数チェーンで公開
Chainlinkが支えるリアルタイム金融
チェーンリンク(Chainlink)は伝統的な金融指標をブロックチェーンに取り込む動きを加速させており、11月3日には、英国の大手指数プロバイダーであるFTSEラッセルとの協業も発表しました。
FTSEラッセルは、自社の主力株価指数(Russell 1000、Russell 2000、FTSE 100など)を、チェーンリンクのデータ配信サービス「DataLink」を通じて初めてオンチェーンで公開する計画を明らかにしています。
FTSEラッセルの指数群は総額18兆ドル(約2,800兆円)規模の運用資産の指標となっており、同社がチェーンリンクのインフラを採用したことで、ブロックチェーン上での信頼性の高いデータ提供が機関投資家にも受け入れられつつあります。
実際、同じ週にS&PとFTSEという二大指数算出会社が相次いでオンチェーン化に踏み切ったことは、金融データのトークン化インフラに対する追い風の強さを示しています。
今後、チェーンリンクはこうした動きを通じて従来の資本市場とブロックチェーンエコシステムをつなぐ「データの架け橋」としての役割を一層拡大すると見られており、信頼性の高いリアルタイムデータ基盤の構築が進むことで新たな金融商品やサービスの創出が加速することが期待されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.93 円)
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Source:Dinari公式発表
サムネイル:AIによる生成画像




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