キルギスがBNBチェーン上で国家ステーブルコイン発行へ。CBDCテストも始動

国家暗号資産準備金にBNB採用を検討

キルギス共和国が、BNBチェーン(BNB Chain)上で国家ステーブルコインを発行するようだ。BNBチェーンは、当初は大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が開発を主導したレイヤー1ブロックチェーン。現在はコミュニティ主導の独立したネットワークだが、同チェーンの独自トークンビルドアンドビルド(BNB)はバイナンスのプラットフォームおよびBNBチェーンのエコシステムを支えるものとなっている。

キルギス共和国大統領のサディル・ジャパロフ(Sadyr Zhaparov)氏は10月24日、バイナンス創業者チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏とに会合を行った。その後、ジャパロフ大統領は、同国通貨ソムに1:1でペッグされた新たなステーブルコイン「KGST」の発行開始を確実に実施し、国際プラットフォームへの上場を検討すると発表した。

また、国家暗号資産・ブロックチェーン技術開発評議会の事務局長を務めるファルカット・イミノフ(Farkhat Iminov)氏によれば、KGSTはデジタル資産国家登録簿に登録済みで、BNB Chainネットワーク上で運用される前提で準備が進んでいるという。

キルギス政府は、暗号資産およびブロックチェーン技術の推進に向けた国家的枠組みを整備する方針だ。政府発表によると、国家経済省にはデジタル資産関連の法制度改善を命じ、中央銀行(国家銀行)に中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタル・ソム」のパイロットテストを開始するよう指示している。

デジタル・ソムの導入は三段階で進められる予定だ。まず国家銀行と商業銀行間での送金システムを構築し、その後、国庫を接続することで社会保障や行政支払いを可能にする。最終段階ではオフライン環境を含む低接続下での決済テストを実施し、全フェーズ完了後に国内展開と拡大を図るという。パイロット開発には暗号資産企業のビルド・ブロック・テック(Build block TECH)が協力しているという。

また、キルギス政府は国家暗号資産準備金の創設も検討しており、CZ氏はXにて、準備金にはBNBが含まれると述べている。

ちなみにCZ氏は5月、「デジタル資産開発評議会」の初会合にてキルギス国家投資庁との間で覚書(MOU)を締結。その際に、キルギスの国家暗号資産準備金の第一弾として、ビットコイン(BTC)とBNBを提案したことを明かしていた。

暗号資産取引量はキルギス国内で急増しているという。イミノフ氏によれば、2022年の総取引量は50億ソム(約84.6億円)強であったが、2024年には5,870億ソム(約9,934.6億円)を超え、2025年上半期の暗号資産交換量は8600億ソム(約1.4兆円)に達し、2024年通年比で47%増となったという。

イミノフ氏は「KGSTは今後、二重換金を必要としない国際決済に活用され、最終的にデジタル・ソムと統合されることで海外での利便性がさらに高まる」とコメント。ステーブルコインとCBDCの併用により、国境を越えた支払いと送金の機会拡大を目指す方針だ。

なお、キルギスは、金(ゴールド)を担保とした米ドル連動型ステーブルコイン「ゴールド・ドル(USDKG)」を2025年第3四半期に発行する計画も発表している。

キルギスのGDPの約30%が海外送金に依存していることから、USDKGは国際送金や貿易決済に活用されることが期待されており、まずは中央アジアを中心に展開し、将来的には東南アジアや中東への拡大も視野に入れている。

キルギスは暗号資産やデジタル資産に前向きな姿勢を示しており、ジャパロフ大統領は2025年4月17日、中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)のパイロットプログラムを認可する法律に署名。この法案により、デジタル形式の国家通貨が法定通貨としての地位を正式に持つこととなった。

参考:報道1報道2
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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