バイナンス、トークン価格「0ドル表示」の原因を公表|被害ユーザーに総額約3億ドル補償も

一部取引ペアでの「0表示」バイナンスが原因を公表

大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)は2025年10月13日、先週末(11日)の市場急落時に一部トークンの価格が「0ドル」と表示されていた問題について「表示上の不具合によるもので、実際にトークン価格が0ドルになったわけではない」と説明しました。

今回の急落で、コスモス(Cosmos/ATOM)エンジン(Enjin/ENJ)アイオーテックス(IoTeX/IOTX)などのアルトコインがバイナンス上で0ドルと表示され、コミュニティで混乱が広がっていました。

バイナンスは声明で、該当のトークンはいずれも実際に価値を100%失ったわけではないとした上で、原因については「一部の取引ペアで最小価格変動幅の小数点桁数を最近変更した結果、ユーザーインターフェース上で価格が0と表示される不具合が生じた」と説明しました。

さらに、この表示バグはUI(ユーザー画面)の問題であり、API経由の取引価格表示には影響がなかったことも明らかにしています。

「0ドル表示問題」発生の経緯と被害ユーザーへの全額補償

ティックサイズ変更が引き起こした誤表示

バイナンスの発表によると、今回の市場急変時には取引板の流動性不足により古い指値注文が一気に約定したケースも確認しています。

実際、IOTXやATOMなど一部銘柄では2019年頃から残っていた低価格の指値売り注文が買い手が不在に近い状況で次々と成立し、一時的に価格が急落する現象が発生しました。

バイナンスは急落当時のプラットフォーム動作を検証した結果、コアとなる先物・現物のマッチングエンジンやAPI取引は正常に稼働していたものの、21時18分(UTC)以降、一部モジュールで技術的な不具合が生じたことを認めています。

この検証過程の中で、今回指摘された「0ドル表示問題」が発生し、最小価格単位(ティックサイズ)の変更に伴う四捨五入の誤表示によって価格が0に見えてしまったと説明しています。

バイナンスはこの問題に対応するため、ユーザーインターフェース上の表示形式を速やかに修正し、異常値が表示されないよう最適化を進める方針です。

なお、今回の価格急変については「今後同様の異常値が発生した場合でも個別の告知は行わない」としていますが、裏側のAPIで提供される価格データには影響がないため、取引機能自体は問題なく継続できると説明しています。

被害ユーザーに総額2億8,300万ドルの補償を実施

こうした技術的トラブルへの対応と並行して、バイナンスはユーザー保護策も実施しています。

同社は市場急落に伴い生じた一部トークンのペッグ崩壊によって強制清算(ロスカット)被害を受けたユーザーに対し、総額2億8,300万ドル(約430億円)に達する補償支払いを実施したことを明らかにしました。

この補償金額には、急落後に価格が乖離したラップドトークン(WBETHやBNSOL)や合成資産USDeの価格乖離による損失を被ったユーザーへの救済措置が含まれており、24時間以内に2回に分けて支払われています。

バイナンス共同創業者のイー・ヘ氏は今回のシステム障害についてX(旧Twitter)上で「過去16時間の大幅な市場変動とユーザー流入増加の影響で、一部ユーザーの取引に支障が生じた」と述べて深く謝罪し、損失を被ったユーザーはサポートへ連絡するよう呼びかけました。

さらに、同社のリチャード・テンCEOも「影響を受けた皆様に心よりお詫び申し上げます。言い訳はせず、皆様の声に耳を傾け、今回の件から学び、より良いサービス提供に努めてまいります」と謝意を表明しています。

バイナンスは、プラットフォームやシステム起因の損失については個別に精査のうえ全額補償する一方、市場変動による損失や未実現利益については補償対象外とする方針を明確に示しています。

システム改善と情報開示で信頼回復を目指すバイナンス

今回の一連の対応は、技術的課題に直面する中でも迅速かつ透明性を持って行動したバイナンスの姿勢を示すもので、ユーザー保護を最優先に掲げ、補償を含む一連の措置を迅速に実施した点は業界内でも高く評価されています。

一方、仮想通貨市場全体では依然として価格変動が激しく、取引所に求められるシステムの安定性と信頼性の重要性は一層高まっています。今回の不具合はそのリスクを改めて浮き彫りにし、運営体制の強化が急務であることを示しています。

バイナンスは今後もシステム改善と透明な情報開示を重ねることで、世界最大手の取引所としての信頼回復を目指しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.46 円)

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Source:Binance公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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