
LINEメッセンジャー対応ステーブルコインアプリ誕生へ
2025年9月22日、Kaia DLT財団(Kaia)とLINE NEXTは、ステーブルコインを基盤とするWeb3スーパーアプリ「Project Unify(プロジェクト・ユニファイ)※仮称」を発表しました。
同アプリは2025年内にベータ版が公開される予定で、LINEメッセンジャー内で展開するMini DApp(ミニDApp)やKaia基盤の単独アプリとして提供される見込みです。
チャット送金から加盟店決済まで対応する統合アプリ
発表によると、「Project Unify」はステーブルコイン預入によるリアルタイム利息付与やチャットを通じた即時送金、オンライン/オフライン加盟店での決済・キャッシュバック機能を備えた統合型のスーパーアプリです。
ユーザーはウォレットにステーブルコインを預けるだけでインセンティブ(利回り)を獲得でき、LINEのメッセージ機能を介して誰にでも手軽にステーブルコインを送金できます。
加えて、100以上のWeb3アプリやNFT・ゲームとも連携し、オン/オフランプを含む多様なサービスを1つのプラットフォームで利用できる点も大きな特徴とされています。
アジア各国通貨建てステーブルコインをサポートする設計
このスーパーアプリは、将来的に日本円、米ドル、韓国ウォン、タイ・バーツ、インドネシア・ルピア、フィリピン・ペソ、マレーシア・リンギット、シンガポール・ドルなど各国法定通貨に連動したステーブルコインをサポートする設計であり、複数の通貨建てステーブルコインを1つのプラットフォームに統合する計画です。
これによりアジア地域で乱立するステーブルコイン市場を単一アプリ上でまとめ、国境を越えた決済・送金や資産運用を円滑化する方針を示しています。
また、ステーブルコイン発行事業者やアプリ開発者向けに「Unify SDK」も提供予定であり、発行体は現地市場に合わせてUnifyの機能を実装し、開発者は自社アプリにステーブルコイン機能を容易に統合できるようになるとしています。
2025年仮想通貨決済トレンド
LINE×Kaiaが描くステーブルコイン基盤スーパーアプリ構想
LINEメッセンジャー連携による展開戦略
今回の発表は韓国・ソウルで開催された「Korea Blockchain Week(KBW)」に合わせて行われ、LINEが展開するメッセンジャーアプリ(日本・台湾・タイなどで月間約2億人が利用)に組み込む形で提供されることが明らかになりました。
Kaiaは、LINEの独自ブロックチェーン「Finschia(フィンシア)」と韓国Kakao社の「Klaytn(クレイトン)」を統合して2024年に誕生した高性能パブリックブロックチェーンで、2億5,000万人以上の潜在ユーザーを擁するアジア最大級のWeb3エコシステムの構築を目指しています。
なお、KaiaとLINE NEXTは今年1月にLINEメッセンジャー上のMini DAppプラットフォームを公開し、これまでに1億3,000万人以上の新規ユーザーを獲得しています。
スーパーアプリ「Project Unify」はこの既存基盤を活用し、従来は分かれていたサービスを統合することで、幅広いユーザーに安定したデジタル通貨サービスを提供するとしています。
ステーブルコイン利回りや送金機能の導入
発表資料によれば、提供予定の機能にはステーブルコインの利回りサービスや個人間送金機能、加盟店決済といったフィンテックの基本機能に加え、DeFi(分散型金融)やNFT・GameFi領域までを網羅することが示されており、「オールインワン型アプリ」として展開される見通しです。
Kaia DLT財団代表のソ・サンミン氏は次のように述べ、専門知識がなくともメッセージアプリ感覚でWeb3金融サービスを利用できる点を強調しています。
Project Unifyのステーブルコイン基盤は、DeFiの仕組みをユーザーに見えない形で簡略化したものです。
同アプリでは、テキストメッセージで資産を送金し、資産を預け入れて利息を得ることや、レンディングなどのサービスにも手軽に参加できます。
また、LINE NEXT代表のコ・ヨンス氏も次のように述べ、ステーブルコインの実需拡大に期待を示しました。
Kaiaとの協業を通じてステーブルコインのニーズと活用可能性を確認できました。
今後は誰もが簡単かつ安全に利用できるオールインワンのステーブルコイン基盤サービスを提供し、エコシステム拡大をリードしていきます。
また、本スーパーアプリのミニアプリ版は各国の規制環境に応じて機能を調整して提供される予定で、コンプライアンス面にも十分配慮した設計と説明しています。
アジア分散決済網を統合する壮大なビジョン
また、各国ごとに独立・断片化されている決済ネットワーク(銀行送金網やモバイル決済など)を、統一されたデジタル通貨基盤で繋ぐという壮大なビジョンも示されています。
例えば、日本在住のユーザーがアプリ上で円建てステーブルコインを保有し、それをタイ在住の友人へバーツ建てステーブルコインとして即時送金するといった、シームレスな多通貨間送金の実現も期待されています。
Kaia側ではこのビジョン実現に向け、韓国ウォンを含む各国ステーブルコイン発行体や関連企業との協業も進めており、安定した流動性確保と法定通貨へのオン/オフランプ充実に注力するものとみられています。
ステーブルコインは脅威ではなくチャンス
LINEとKaiaの協業強化とスーパーアプリの展望
LINEとKaiaの提携は、昨年実施されたグローバル・ステーブルコインハッカソンの共同開催(Tether・Kakao Payも参加)などを経て強化されており、今回のプロジェクトはその集大成とみられています。
今後のアップデート次第では、アジア発のスーパーアプリが金融インフラの垣根を越えてデジタル通貨で人々をつなぐ事例となる可能性に注目が集まっています。
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Source:Kaiaプレスリリース
サムネイル:Kaiaプレスリリースから引用






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