米SEC、仮想通貨ETF上場承認プロセスを簡略化|アルトコインETF承認に期待高まる

【 この記事の要点 】

  • SECが仮想通貨ETFの上場手続き簡略化ルールを承認
  • Nasdaqなど主要取引所は迅速にETF上場が可能に
  • 新ルールで上場審査期間は最大75日まで短縮
  • ソラナやXRPなどアルトコインETF承認の期待高まる
  • 政権交代でSEC規制姿勢が前向きに転換

SEC、仮想通貨ETF上場手続きの簡略化を承認

SEC(米国証券取引委員会)は2025年9月17日、仮想通貨を含むコモディティ資産を保有するETF(上場投資信託)の上場手続きを簡略化する新たな汎用上場基準を承認したと発表しました。

これにより、Nasdaq(ナスダック)やNYSE Arca(NYSEアーカ)、Cboe(シカゴ・オプション取引所)などの米国証券取引所は、SECへの個別審査を経ずに一定の要件を満たす仮想通貨ETFを迅速に上場できるようになります。

同委員会の今回の決定によって、ソラナ(SOL)などさまざまな仮想通貨ETFが市場参入するための最後のハードルが取り除かれたとの見方もあり、今後の仮想通貨市場拡大を後押しする動きとして大きな注目を集めています。

SEC、新ルールで仮想通貨ETFの上場プロセスを短縮

SECがETF新ルールを承認、審査期間を短縮へ

SECは17日に開催した委員会投票で、Nasdaq、Cboe BZX、NYSE Arcaの3取引所が申請していた汎用的なETF上場ルールの改正案を可決しました。

この改正により、取引所は「Commodity-Based Trust Shares(コモディティ・ベースのトラスト持分)」に該当するETFについて、定められた基準を満たす限りSECの都度の承認なしに上場・取引を開始できるようになります。

従来、仮想通貨現物ETFの上場には取引所と運用会社の双方からの申請とSECによる個別審査が必要で、場合によっては最大240日超の期間を要していました。

今回の新ルール導入により、このプロセスは最長75日程度まで短縮される見通しです。

SEC幹部「プロセス簡略化はイノベーション促進」と強調

SECのポール・アトキンス委員長は公式声明で次のように述べ、米国市場でのデジタル資産ETF推進に前向きな姿勢を示しました。

この汎用基準の承認によって、デジタル資産という最先端のイノベーションに対しても米国の資本市場が世界最高の舞台であり続けることを確かなものにします。

上場プロセスの簡素化と参入障壁の低減によって投資家の選択肢を最大化し、イノベーション促進を図ります。

また、SEC売買市場部門のジェイミー・セルウェイ部長も「今回の承認は、合理的でルールに基づくアプローチによって投資コミュニティに必要な規制の明確性と確実性を提供しつつ、投資家保護を確保するものだ」とコメントしています。

仮想通貨ETFに課される新たな保護条件

新たな上場基準には、投資家保護の観点から複数の条件が設けられています。

例えば、対象となる仮想通貨は、CFTC(商品先物取引委員会)の規制下にある取引所で少なくとも過去6カ月以上先物取引が行われていることや、トラストが保有する資産のカストディ(保管管理)や運用体制が適切に整備されていることが求められます。

こうした条件を満たす銘柄であれば、SECへの規則変更提案(いわゆる19b-4申請)を追加提出することなく、取引所の判断でETFを上場できるようになります。

グレースケール大型ETFなども同時承認

SECは今回、汎用基準の承認に加え、複数の個別案件も承認したことを明らかにしました。

具体的には、仮想通貨5銘柄で構成されるグレースケール社の投資信託の上場や、Cboeが提供するビットコインETF指数に連動する新たなオプション取引の上場なども同時に承認されています。

グレースケールの大型ファンドはビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)だけでなく、XRPビットコインキャッシュ(BCH)など複数の暗号資産を含む商品であり、SECはこれまで承認に慎重だった複数銘柄の現物バスケット型商品にも道を開いた形です。

ブルームバーグのアナリストであるジェームズ・セイファート氏は6月「SECが複数の仮想通貨ETFを承認する確率は90%以上に達した」と予測していましたが、今回の決定により市場の期待が現実のものとなりました。

ソラナ・XRPなどのアルトコインETFも承認目前か

実際、新ルール適用後はソラナやXRPといったアルトコインを対象とする初の現物ETFが早ければ10月にも米国市場に登場する見通しです。

これらのETFは資産運用会社から1年以上前にSECへ申請されていたものの、ビットコインやイーサリアム以外の現物ETFはこれまで承認されてきませんでした。

今回のSECの発表により、今後はソラナやXRP、さらにはドージコイン(DOGE)などを含む十数種類もの仮想通貨ETFが一斉に上場する可能性も指摘されています。

実際、米資産運用会社REX Sharesが申請したドージコインETF「DOJE」とXRP ETF「XRPR」は、SECが書類上での有効化を行ったことにより9月18日から米国市場で取引開始予定と発表されており、ビットコイン・イーサリアム以外のアルトコインにもETFを通じた投資機会が広がる見込みです。

投資家保護を巡りSEC内部で慎重論も浮上

こうした動きを受け、市場関係者からも今回の決定を歓迎する声が上がっています。

Bitwiseインベストメントのテディ・フサロ社長は「この動きは米国におけるデジタル資産規制の画期的な転換点であり、2013年に初のビットコインETF申請が行われて以来10年以上続いた前例を覆すものだ」と述べ、規制当局の方針転換を評価しました。

一方で、SEC内から慎重論も出ており、一部の委員は「現物仮想通貨ETFのような未検証の商品を市場に投入するのは拙速で、本来求められる投資家保護の判断を放棄している」と指摘しています。

SECのキャロライン・クレンショー委員は反対声明の中で「今回の汎用基準承認によって、これら新しいデジタル資産ETFの上場審査を証券取引所任せにする形となり、SEC自らが担う「詐欺や操作的行為を防止し、投資家を保護する」という責務を事実上先送りしてしまう」と懸念を表明しました。

バイデン政権時代の慎重姿勢から大転換

今回の規制緩和的な動きの背景には、米国の政権交代による政策転換もあると指摘されています。

2024年末の米大統領選でトランプ氏が政権に復帰して以降、政府は「米国を仮想通貨の首都にする」と宣言し、SECの規制姿勢も従来より前向きに変化しています。

バイデン前政権下で委員長を務めたゲイリー・ゲンスラー氏の時代には、SECは現物ETF申請に慎重に対応し、2018年以降ビットコインETFの提案を20件以上も非承認としてきました。

これに対し、トランプ政権は暗号資産コミュニティに歩み寄り「より好意的な見方でデジタル資産に臨む」と公約しており、今回の迅速なETF承認プロセスの導入もそうした流れの一環とみられます。

Coinbase CEO、SEC規制転換で「ゲンスラー再来を阻止」

SECによる仮想通貨ETFの上場承認プロセス簡略化は、米国暗号資産業界に追い風となる政策変更です。一方、規制当局に対する業界側の働きかけも活発化しています。

米大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)のブライアン・アームストロングCEOは、仮想通貨の市場構造に関する法案成立を後押ししており、「仮想通貨業界が米国で健全に発展できるよう取り組むとともに、二度とゲイリー・ゲンスラーのような人物が出てこないようにしている」とX(旧Twitter)に投稿しました。

ここ数日、ワシントンD.C.に滞在し、暗号資産に関するマーケット構造法案の成立に向けて活動してきました。

この法案は、アメリカ国内で暗号資産産業を発展させ、イノベーションを促進すると同時に、消費者を保護し、二度とゲイリー・ゲンスラーのように人々の権利を奪おうとする人物が出てこないようにするための重要な取り組みです。

ゲンスラー前委員長は在任中、CoinbaseやBinance(バイナンス)など主要取引所を相次いで提訴し強硬姿勢を貫きましたが、今年2月にはSECがCoinbaseに対する訴訟を取り下げる方針で合意に至り、同社は「これは当社のみならずユーザーや米国、そして個人の自由にとっての勝利だ」と勝利宣言していました。

アームストロング氏の発言は、仮想通貨業界が明確なルール整備を求めて政界に働きかけを強める中で、過度に排他的な規制者が再び生まれないようにする決意を示したものと受け止められています。

SECのポール・アトキンス委員長も9月15日の講演でゲンスラー氏時代の方針を批判し、今後は「執行措置(訴訟)に踏み切る前に事前の違反通知を発出する段階を設ける」と述べるなど、適正手続きや予見可能性を重視する姿勢へと転換しています。

今回のETF上場基準の緩和とあわせ、SECの前向きな姿勢は米国における仮想通貨市場の成長を後押しすると期待されています。

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Source:SEC公式発表 / SEC公式声明
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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