
世界170か国対応のRWA投資サービスが誕生
2025年9月16日、仮想通貨決済企業Alchemy Pay(アルケミー・ペイ)は、Backed Financeの「xStocks(エックスストックス)」と提携し、法定通貨で米国株式やETFのトークン化資産に直接投資できる新プラットフォームを開始したと発表しました。
発表によれば、このプラットフォームを通じて世界170以上の国・地域のユーザーは、各国の法定通貨(フィアット)で米国株式・ETFをトークン化した60種類超の資産に直接投資できるようになります。
また、同プラットフォームは決済手段としてVisaやMastercardに加え、Apple Pay、Google Pay、SEPA送金、さらに50以上の現地決済に対応しており、ユーザーは仮想通貨(暗号資産)を経由せず法定通貨で直接支払うことができると同社は説明しています。
アルケミー・ペイは本サービスを「世界初の法定通貨対応RWA投資ゲートウェイ」と位置付け、金融市場へのアクセスを従来以上にグローバルに開放する方針です。
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アルケミー・ペイが描くグローバルRWA投資の未来
法定通貨で直接米国株を購入可能に
Alchemy Pay(アルケミー・ペイ)のRWA(現実資産)投資プラットフォームは、法定通貨とブロックチェーンを直接結びつける仕組みとなっています。
発表によれば、同プラットフォームでは、従来の証券口座や仮想通貨の専門知識がなくても、手元の現地通貨で米国株式市場のトークン化資産を購入できるとしています。
これにより、銀行口座や証券口座を持たない新興国のユーザーを含め、幅広い層が米国の株式市場に参加できる道が開かれる見込みです。
米国を代表する株式・ETFを網羅したトークン化資産
提供されるトークン化資産は、Apple(アップル)、Tesla(テスラ)、Coinbase(コインベース)に加え、S&P 500に連動するETF「SPY」など、米国を代表する株式・ETFが含まれています。
発表によると、これらのトークンは、Backed Financeが発行する「xStocks」で、実際の株式と1対1の比率で連動する設計です。さらに、規制当局の認可を受けたカストディアン(資産管理機関)に保管される現物株式が裏付けとされています。
また、トークン保有者は、基となる株式の配当金や株式分割などの企業アクションに連動する権利を持つ仕組みであり、ブロックチェーン上では24時間365日これらの資産の取引が可能です。
なお、米国在住の投資家は現行の規制上、本サービスを利用できないものの、それ以外の地域では法律に準拠した形で提供されます。
金融インフラとしての決済基盤と取引機能の統合
今回のサービス実現にあたっては、Alchemy Payの法定通貨決済インフラとBacked Financeのトークン化技術が融合しました。
取引執行や流動性の確保には、Kraken(クラーケン)やBybit(バイビット)など複数の提携先が参加しており、実際の米国市場データに基づくリアルタイム価格が提供されます。これにより、公正な水準での売買が行えるとしています。
このような仕組みにより、従来の株式投資には見られない柔軟性が提供されていると説明されています。
アルケミー・ペイの戦略的ビジョン
アルケミー・ペイの最高マーケティング責任者アイロナ・ツィク氏は、新サービスについて「今回のローンチは当社だけでなく、RWAエコシステム全体にとって重要な一歩です。世界初の法定通貨対応RWAゲートウェイの導入により、人々の金融市場との関わり方を再定義します」とコメントしています。
さらに同氏は「Backed Financeとの協力により、一般の人々が主要な株式やETFにアクセスできるようにし、これまで多くの人々を締め出してきた伝統的市場の壁を打ち破れる」と強調しました。
同社はこれまで、仮想通貨と法定通貨を橋渡しする決済ゲートウェイ事業で成長してきましたが、今回の取り組みを通じて「より包括的なグローバル金融ハブへ発展していく」とのビジョンを示しています。
アルケミー・ペイは今後もトークン化資産のラインナップ拡充を図り、株式に加えて社債や不動産、コモディティ(商品)などのRWAも取り入れていく方針です。
今話題の「RWAのトークン化」とは
世界で広がるRWAトークン化と規制課題
近年、仮想通貨業界だけでなく従来の金融業界からもRWAのトークン化への参入が進み、市場の存在感が急速に高まっています。
米ロビンフッドは欧州市場で200銘柄超の株式トークンを提供開始し、未上場企業のOpenAIやSpaceXのトークン化計画も発表しました。さらに米クラーケンはBacked Financeと提携し、ソラナ(SOL)基盤で株式トークンを提供する構想を示しています。
また、資産運用大手BlackRock(ブラックロック)もETFのトークン化を視野に入れ、同社のラリー・フィンクCEOは「あらゆる金融資産はトークン化できる」と述べています。
一方で、このような企業の動きに対して、規制面での議論も活発化しています。世界取引所連合(WFE)は今年8月、各国の証券規制当局に対し「トークン化株式」が投資家保護の観点で新たなリスクをもたらす可能性があるとして注意喚起を行いました。
こうした声を受けて、米国や欧州の規制当局もトークン化証券を既存の証券規制の枠組みにどう組み込むか議論を始めており、健全な市場育成に向けたルール整備が今後の課題となっています。
こうした背景の中、アルケミー・ペイの新プラットフォームは金融市場の民主化を象徴する取り組みとして注目を集め、今後の市場変革への期待が高まっています。
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Source:Alchemy Pay公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







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