多くの人が子供の頃に集めたであろうポケモンカード。それが今、数十万から数百万、時には数千万円で取引される資産となっています。しかし、その価値が高まるほどに「偽造品」や「保管の難しさ」、「取引の煩雑さ」といった物理的な壁が立ちはだかります。
今回は、この課題を解決しうる「RWA(現実資産)のトークン化」という技術を解説するとともに、実際にポケモンカードをNFTとして取引できるWeb3サービスを4つご紹介します。
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RWAとは何か
まず、この動きの背景にある「RWA(Real World Asset)」という言葉を理解しておきましょう。これは日本語で「現実資産」を意味し、RWAのトークン化とは、不動産や美術品、そしてポケモンカードのような物理的な資産を、ブロックチェーン上でデジタルトークン(NFTなど)として発行・取引する仕組みのことです。
これまで動かすことが難しかった現実世界の資産が、インターネット上でデジタルデータのように、24時間いつでも、世界中の誰とでも、簡単かつ安全に売買できるようになる。この革命的な仕組みが、現在のWeb3市場で最も注目を集めるトレンドの一つとなっています。
ポケモンカードのNFT化は、このRWAという巨大なブームの中でも、特に多くの人々にとって身近で分かりやすい象徴的な事例なのです。
ちなみに、RWAについて詳しく知りたい方は、下記の動画を合わせてご覧ください。
ポケモンカードをNFT化する仕組みとメリット
物理的なカードをNFTとして取引するためには、そのカードが本物であり、安全に保管されていることを誰もが信頼できる仕組みが必要です。ここでは、その具体的なプロセスと、NFT化によって生まれるメリットを見ていきましょう。
ポケモンカードをNFT化する仕組み
現実のポケモンカードをNFT化するプロセスは、主に以下の3つのステップで進められます。
- 専門機関による鑑定とグレーディング
- 厳重な金庫(Vault)での保管
- 所有権を証明するNFTの発行
各ステップについて詳しく解説します。
1. 専門機関による鑑定とグレーディング
ユーザーは手持ちのカードを、PSAなどの信頼できる第三者鑑定機関に送ります。
そこでカードが本物であるかの真贋鑑定と、状態の評価(グレーディング)が行われ、点数が付けられます。
このプロセスが、NFTの価値の根拠となる客観的な信頼性を担保します。
2. 厳重な金庫(Vault)での保管
鑑定済みのカードは、サービス提供者(後述するCourtyardなど)が管理する、温度・湿度が管理された極めて安全な金庫(Vault)へ送られ、厳重に保管されます。
これにより、カードの物理的な劣化や紛失、盗難といったリスクから資産が守られます。
3. 所有権を証明するNFTの発行
金庫にカードが保管されると、そのカードの所有権を証明する唯一無二のデジタルトークン(NFT)が、ブロックチェーン上で発行されます。
このNFTには、カードの写真、鑑定情報、グレード、保管場所などが記録され、誰でもその情報を検証できます。
ポケモンカードをNFT化するメリット
このような仕組みによって、コレクターや投資家は主に3つの大きなメリットを得られます。
- 信頼性の担保と取引の円滑化
- 保管と管理からの解放
- DeFi(分散型金融)での資産活用
それぞれのメリットを具体的に見ていきましょう。
信頼性の担保と取引の円滑化
NFTには鑑定情報が紐づいているため、ユーザーはオンラインの取引であっても偽造品の心配をする必要はありません。
また、物理的なカードを海外へ郵送するといった手間やリスクがなく、NFTをウォレット間で送受信するだけで、24時間いつでも世界中の誰とでも迅速に取引を完了できます。
保管と管理からの解放
高価で繊細なトレーディングカードの保管には、湿気や光による劣化、災害や盗難など、常に様々なリスクが伴います。
専門の金庫で24時間体制で管理されることで、コレクターはこれらの物理的な管理の煩わしさから解放され、安心してコレクションを保有し続けることができるのです。
DeFi(分散型金融)での資産活用
NFT化されたカードは、単なるコレクション品に留まりません。
将来的には、そのNFTを担保にお金(暗号資産)を借りたり、高額なカードの所有権を分割して少額から売買したりといった、DeFi(分散型金融)の仕組みを活用した新たな資産運用の可能性も拓けます。
ポケモンカードNFTを取引できるサービス4選
ここでは、実際にポケモンカードNFTを取引できる、今注目のサービスを4つご紹介します。
- Courtyard
- Collector Crypt
- TCG STORE
- PACKS
それぞれに異なる特徴があり、市場の多様なニーズに応えています。
Courtyard

| サービス名 | Courtyard |
| 取り扱いカテゴリ | ポケモン、バスケットボール、野球、サッカー...etc |
| 公式リンク | https://courtyard.io/ |
解説記事 ︎ | Courtyardとは?特徴や将来性を解説 |
Courtyardは、物理的なトレーディングカードをNFT化するRWAプラットフォームの先駆けの一つです。ユーザーから預かったカードを、貴重品の保管・輸送で世界的な実績を持つBrink's社の金庫で安全に保管し、その所有権をNFTとして発行します。
特筆すべきは、Web3に馴染みのないユーザーでも利用しやすい設計です。暗号資産だけでなくクレジットカード決済にも対応しており、最近ではフリマアプリ大手の「メルカリ」がCourtyardと連携し、メルカリNFT内でポケモンカードNFTの取り扱いを開始したことで大きな話題となりました。
また、2025年におけるNFTコレクション別の月間取引高では、CryptoPunksやPudgy PenguinsといったブルーチップNFTを抑えて第一位になることも多く、市場の関心が非常に高いことがわかります。
Collector Crypt

| サービス名 | Collector Crypt |
| 取り扱いカード | ポケモン |
| 公式リンク | https://gacha.collectorcrypt.com/ |
Collector Cryptは、トークンエコノミクスを全面的に活用した、よりWeb3ネイティブなアプローチで市場の熱狂を生み出しているRWAプラットフォームです。最大の特徴は「ガチャ(オリパ)」と、それを支える独自トークン「$CARDS」の存在にあります。
ユーザーはNFTを購入することで、ランダムに封入されたポケモンカードのNFTを手に入れることができます。このガチャの確率はブロックチェーン上で公開されており、従来のオリパが抱えていた不透明性を解決しています。
さらに、プラットフォームの収益が$CARDSトークンの買い戻し(バイバック)に使われる仕組みがあり、サービスの成長がトークン価格に還元されやすい設計となっています。このモデルが投資家の強い期待を集め、$CARDSの価格は短期間で10倍以上に高騰しました。(下記参照)

TCG STORE

| サービス名 | TCG STORE |
| 取り扱いカード | ポケモン、ワンピース、遊戯王 |
| 公式リンク | https://tcgstore.io/ |
TCG STOREは、日本国内の企業であるCryptoGames株式会社が運営する、トレーディングカードのRWAプラットフォームです。国内サービスならではの安心感と、日本のトレカ文化に根ざした展開が特徴です。
特に注目すべきは、日本初の「ブロックチェーンオリパ」をリリースした点です。これは、オリパの「あたり」が確実に封入されていることが証明され、いつ誰が何を引いたかが全てブロックチェーン上に記録されるため、極めて透明性が高いガチャ(オリパ)を実現しています。
また、TCG STOREで発行されたNFTは、Courtyardと同様に「メルカリNFT」でも販売が開始されており、国内最大の二次流通市場へのアクセスを確保している点も大きな強みです。
PACKS

| サービス名 | PACKS |
| 取り扱いカード | ポケモン |
| 公式リンク | https://packs777.xyz/gacha |
PACKSは、株式会社D-Chainの運営するトレカNFTマーケットプレイスです。Baseチェーン上のステーブルコイン(USDT/USDC)またはクレジットカードを使い、希少なポケモンカードのNFTがランダムで当たるガチャを引くことができます。
PACKSには、ユーザーが獲得したNFTを自ら出品できる「オークション機能」があります。また、ガチャには1回数ドルの「STARTER パック」から、100ドル以上の超高額カードを封入した「PREMIUM パック」まで3つの価格帯が用意されており、初心者から本格的なコレクターまで、幅広い層が楽しめるように設計されています。
ガチャのロジックが全てブロックチェーン上で完結する「フルオンチェーン」方式による透明性の高さも特徴です。
コレクションの未来はどう変わるか
ポケモンカードのNFT化は、単に取引が便利になる以上の、大きな変革を秘めています。
それは、私たちの「コレクション」という文化、そして「所有」という概念そのものの未来を映し出しているのです。
ポケモンカードNFTの将来性
現在、CourtyardやCollector Cryptといったサービスは、あくまで第三者の立場で実物のカードをNFT化しています。しかし、その裏では本家である株式会社ポケモン自身も、デジタルカードの所有権を個別に管理する、NFTの要素を含んだ特許を取得していることが明らかになっています。(参照:Yahooニュース)
もし将来的に、ポケモン公式が自らNFT市場に参入し、「ポケポケ」のような公式アプリで発行されたデジタルカードがブロックチェーン上で取引可能になれば、市場の景色は一変するでしょう。数億人規模のファンが、現在のRWAサービスとは比較にならないスケールでNFT市場に参入し、コレクションのあり方が根底から覆る可能性があります。
お気に入りのカードが、ゲームの資産であると同時に、現実の価値を持つ金融資産として世界中で取引される。そんな未来がすぐそこまで来ているのかもしれません。
現状の課題
一方で、この新しい市場には課題も存在します。現在、どのプラットフォームが市場の主導権を握るのか、激しい覇権争いが繰り広げられています。
信頼性重視のCourtyard、トークン経済で熱狂を生むCollector Cryptなど、各サービスが異なるアプローチでシェアを奪い合っており、ユーザーはどのエコシステムに乗るべきか、見極める必要があります。
また、RWAという分野自体が新しいため、国ごとの法整備もまだ追いついていません。税制や所有権の法的な定義など、今後定められるルール次第で市場の状況が大きく変わる可能性もはらんでいます。
ポケモンカードのNFT化は、私たちのコレクション体験に革命を起こす大きな可能性を秘めていますが、その未来はまだ始まったばかりなのです。
まとめ
ポケモンカードのNFT化は、RWAという技術が偽造品や保管といった物理的な課題を解決する象徴的な事例と言えるでしょう。
CourtyardやCollector Cryptなど多様なサービスが登場して市場の未来に期待が集まる一方、本家である株式会社ポケモンの動向が今後の鍵を握ります。
「所有」という概念が物理的な制約から解放され、コレクション文化の新たな時代が始まろうとしているのです。
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参照元:NFT Media
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