
ニューサム知事、トランプ批判のミームコイン発行計画
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は2025年8月30日、ポッドキャスト番組「Pivot」に出演し、ドナルド・トランプ大統領を揶揄する目的で独自のミームコイン「トランプ腐敗コイン」を発行する意向を示しました。
ニューサム知事は「これからミームコインを出す。トランプ氏のコインと我々のコインの違いを見てほしい」と述べ、自身の構想がトランプ氏のコインより優れた成果につながるとの見方を示しました。
ミームコインの名称については「自身の名ではなく「トランプ腐敗コイン(Trump Corruption Coin)」が最適」と述べ、さらに「トランプ氏は時代を代表する詐欺師の一人だ。こうした状況自体が異常だ」と厳しく批判しました。
ニューサム知事は以前からX(旧Twitter)の公式アカウントで、大文字の投稿や風刺グッズを用いた発信を続けており、今回のミームコイン発表もそうした一連の戦略の一部とみられています。
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ニューサム知事が語る「トランプ腐敗コイン」の狙い
トランプ氏のミーム戦術を模倣し反撃姿勢示す
ニューサム知事は番組インタビューで、自身の挑発的な発信の背景にある考え方も説明しました。
同氏は、トランプ氏の言動を「鏡に映して見せているだけ」と強調し、SNSでのミーム画像や大文字投稿が繰り返され、それが一部メディアにより常態化していると指摘しています。
同氏は「この状況は異常で侮辱的だ。この茶番には断固として異を唱え、立ち向かう」との姿勢を示しました。
一方、FOXニュースのキャスター、ダナ・ペリノ氏はニューサム知事の手法を「ばかげている」と痛烈に非難し、一部の民主党支持者からもやり過ぎだとの声が出ています。
これに対し、ニューサム知事は「トランプ氏は同じメッセージ手法の反復で成果を上げてきた。なのでこちらも『火には火を』で臨む」と述べ、発信手法そのものを対抗軸として採用する理由を説明しました。
トランプ一家のビジネス手法を痛烈に批判
また、ニューサム知事は「攻勢を強め、茶番の異常さに気付いてもらう」と述べ、発行計画がその延長にあると説明しました。
名称を「トランプ腐敗コイン」とした理由については「トランプ陣営に深刻な汚職や詐欺があるとの主張を込めるためだ」と語っています。
加えて同氏は「トランプ一家は海外歴訪の前に家族を送り込み、取引をまとめている。縁故資本主義そのものだ。この利己的な汚職行為は今後も告発していく。国の危機であり、国民に『目を覚ませ』と訴えたい」と述べました。
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トランプ一家の仮想通貨ビジネスと政治的波紋
現在、トランプ大統領とその家族は複数の仮想通貨プロジェクトに関与しており、その活動は国内外で大きな関心を呼んでいます。
WLFIトークンが主要取引所で取引解禁
2025年9月1日、トランプ一家が支援する分散型金融(DeFi)プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial/WLFI)」のガバナンストークンが主要取引所で初上場しました。WLFIトークンは初値から上昇し、一時は時価総額が260億ドル(約3.8兆円)を超えました。
その後は短期売りが出て価格は最大で30%超下落し、現在は0.20ドル台で推移しています。運営側は下落への対応として、プロトコル収益を用いた買い戻し・焼却(バーン)を提案しており、長期保有者の価値向上を図るとしています。
市場解禁初日には240億枚のWLFIトークンが流通し、その影響でトランプ一家の保有評価額は一時50億ドル規模まで膨らんだことが報じられており、一部の専門家は「大量保有があるプロジェクトでは、少量の売却でも相場急落につながり得る」とリスクを指摘しています。
懸念の高まりを受け、ホワイトハウスのキャロライン・レバット報道官は「大統領も家族も利益相反行為はしていない」とコメントしたことが伝えられています。
トランプ氏の仮想通貨収益と利益相反疑惑
2024年の財務開示によると、トランプ氏はWLFI関連事業を通じて少なくとも5,730万ドル(約83億円)の収益を計上されており、仮想通貨分野が同氏の収入に占める比重の大きさが示されています。
米誌ニューヨーカーの分析では、2022年以降にトランプ氏と家族が仮想通貨関連事業から得た収益は推計24億ドル(約3,500億円)で、近年の総収入の約44%に当たるとしています。
この状況を踏まえ、民主党議員は大統領や政府高官、その家族のデジタル資産ビジネス関与を禁じる法案「MEME法案」や「COIN法案」を相次いで提出しています。
民主党のクリス・マーフィー上院議員は「公職の私物化だ」と批判し、サム・リカルド下院議員も「トランプ氏は既に仮想通貨事業で12億ドル(約1,770億円)の利益を得ている」と述べ、問題視する姿勢を示しました。
利益相反疑惑や腐敗批判が強まる中、ニューサム知事の「トランプ腐敗コイン」発行予告は政治と仮想通貨の両分野で大きな注目を集めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.32 円)
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Source:ポッドキャスト「Pivot」
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用






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