「ビットコイン崩壊説は間違いだった」ハーバード経済学者ロゴフ氏が予測の誤りを認める

「BTCは100ドルに」予測を外したロゴフ教授が誤りを認める

ハーバード大学経済学教授のケネス・ロゴフ氏は2025年8月20日、自身が2018年に示したビットコイン(BTC)価格に関する予測が誤っていたことをX(旧Twitter)上で認めました

ロゴフ氏は2018年3月、米CNBCの番組で「今後10年間でビットコイン価格が10万ドル(約1,470万円)に到達するよりも、100ドル(約1万5,000円)まで下落する可能性の方が高い」と語っていました。

しかし7年後の現在、ビットコイン価格は10万ドルを上回り、8月14日には一時12万4,000ドル(約1,830万円)に到達して過去最高値を更新しています。

同氏はXへの投稿で、自身の見通しが外れたことを受け入れた上で「What did I miss?(何を見誤ったのか)」と問いかけ、予測を外した背景について分析しました。

ほぼ10年前、私はハーバード大学の経済学者として「ビットコインは10万ドルになるよりも100ドルに近い」と発言しました。しかし、何を見落としていたのでしょうか。

(後略)

ロゴフ教授が語るビットコイン暴落予測の誤算

ロゴフ教授のビットコイン分析と現実の乖離

当時ロゴフ氏は、ビットコインの実需価値は限られており、各国政府が規制を強化すれば価格は急落するとみていました。

その後、2018年末にはビットコインが一時3,000ドル近くまで下落し、同氏は「政府が仮想通貨の成長を放置することはない」と警鐘を鳴らしていました。

しかしその後、ビットコインは着実に上昇し、2025年8月14日には一時12万4,000ドルに到達して過去最高値を更新しています。

こうした状況を受け、ロゴフ氏はX投稿で自身の予測が外れた理由を3点挙げました。

1. 米国の仮想通貨規制への楽観的見通し

第一に「米国が仮想通貨に関して良識的な規制に踏み切ると楽観視し過ぎていた」と述べています。

ロゴフ氏は「なぜ政策当局が税逃れや違法行為を助長するようなことを望むだろうか?」と述べており、当時期待していたような厳格な規制による市場縮小は起きなかったと説明しました。

2. ビットコイン需要を支えた新興国の事情

第二に「ビットコインが世界の地下経済で決済手段としてこれほど需要を獲得するとは想定していなかった」と述べています。

ロゴフ氏は「各国の法定通貨に代わる取引媒介として、20兆ドル(約2,950兆円)規模の地下経済でビットコインが選好されるとは想定していなかった」と認めました。

実際には、ブロックチェーン分析企業チェイナリシスの推計で、2024年に仮想通貨が関与した不正取引は約500億ドル(約7.4兆円)規模に上りました。現金を介したマネーロンダリング全体と比べれば、比率は1%未満とされています。

同氏は当初、現金が違法取引の主流であり続けると考えていましたが、一部の新興国でビットコインがインフレヘッジや価値保存手段として受容された点は十分に織り込めていなかったとみられています。

3. 規制当局者・政治家による仮想通貨保有の現実

ロゴフ氏は第三の理由として「規制当局者や政府高官自身が仮想通貨を大量保有する事態は想定外だった」と述べています。

同氏は「規制の責任者が何億ドルもの仮想通貨を保有し、明白な利益相反が看過される事態になるとは予期できなかった」と振り返っています。

加えてロゴフ氏は、挙げた諸点を根拠に、従来のエコシステムモデルでは仮想通貨市場の変化を十分に捉えられなかったと総括しました。

ロゴフ氏発言に対する仮想通貨業界の辛辣な声

こうしたロゴフ氏の発言に対して、仮想通貨業界からは様々な反応が寄せられています。

米資産運用会社Bitwiseのマット・フーガン氏は「ロゴフ氏は『人々によって支えられる分散型プロジェクトが成功し得る』という点を想像できなかった」と述べ、中央集権的な分析の限界を指摘しました。

あなたは見逃した:

中央集権的な機関ではなく、人々の力に支えられる分散型プロジェクトが大規模に成功する可能性を想像できていなかった。

また、米起業家のアンソニー・ポンプリアーノ氏は「法定通貨の経済学者は今なおビットコインを理解していない」とコメントしています。

さらに、経済学者サイフェディアン・アモス氏も「自分の見誤りを世界のせいにしている」と批判し、厳しい論評が相次ぎました。

一方で、ハーバード大学の運用基金は8月9日、ブラックロック社のビットコイン現物ETFに1.2億ドル(約172億円)規模の投資を行ったことが報告されており、ロゴフ氏の母校も皮肉にもビットコイン市場に参入する状況となっています。

ロゴフ氏の予測修正が示すビットコイン新局面

ロゴフ氏が過去の予測の誤りを認めた事実は、ビットコインを巡る規制や市場の現実が当初の想定を超えて進化したことを示しています。こうした環境変化により、経済学者の見立ても修正を迫られています。

一方で、ビットコイン市場は供給制約や制度的な後押しを背景に過去最高値を更新しており、機関投資家の参入によって資産クラスとしての地位が確立しつつあります。

今後は規制の行方や国際的な政策対応、アルトコイン市場の拡大などが焦点となり、ロゴフ氏の発言は市場動向を読み解く上で貴重な示唆を与えるものとされています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.41 円)

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Source:ケネス・ロゴフ氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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