
後継取引所ら通じた活動の継続を理由に
米外国資産管理局(OFAC)が、露モスクワ拠点の暗号資産(仮想通貨)取引所「ガランテックス(Garantex Europe OU)」を再び制裁対象に指定したと8月14日発表した。
ガランテックスは2019年以降、ランサムウェア攻撃などのサイバー犯罪に関連する1億ドル以上の取引を処理してきたとされる。
OFACは、大統領令13694(改正版)に基づき、ガランテックスがサイバー犯罪に利用され続けていることや、制裁回避のため後継取引所や関連企業を通じて活動を継続していることを理由に再指定を行った。
また、OFACは、ガランテックスの後続取引所にあたるグリネックス(Grinex)も制裁対象に加えた。グリネックスはガランテックスへの制裁や資産凍結を回避するために設立されたとされ、設立以来、数十億ドル規模の暗号資産の移転を仲介してきたという。
今回の制裁には、ガランテックスの幹部3人と、ロシアとキルギス共和国に拠点を置く複数の関連企業も含まれる。
対象となったのは、ガランテックスの共同設立者セルゲイ・メンデレーエフ(Sergey Mendeleev)氏、共同所有者兼最高商業責任者のアレクサンドル・ミラ・セルダ(Aleksandr Mira Serda)氏、共同所有者兼地域ディレクターのパベル・カラヴァツキー(Pavel Karavatsky)氏だ。
さらに関連企業として、グリネックスに加え、メンデレーエフ氏が関与するインディファイ・バンク(InDeFi Bank)とエクスヴェド(Exved)、さらにロシアのクロスボーダー決済企業A7とその子会社エーセブンワン(A71)、エーセブン・エージェント(A7 Agent)の計6社が指定された。加えて、キルギス企業オールド・ベクター(Old Vector)もルーブル連動トークン「A7A5」の発行を通じて関与したとして新たに制裁対象となっている。
制裁対象に指定された個人・団体の米国内資産や、米国人の管理下にある資産・権益は凍結され、OFACへの報告が義務付けられる。対象者が50%以上を保有する事業体も同様に凍結され、原則として米国内や米国人による取引は禁止される。
また、制裁対象と取引を行った金融機関や関係者も制裁リスクを負う。資金や物品、サービスの提供・受領も禁止されており、違反した場合には民事・刑事罰が科される可能性がある。
OFACは2022年4月、ガランテックスを、マネーロンダリング、テロ資金調達、ランサムウエア攻撃を可能にした疑いで制裁対象に指定した。
参考:発表
画像:iStock/Who_I_am
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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