
SEC、若手仮想通貨企業との規制対話を全米で展開
SEC(米国証券取引委員会)は2025年8月1日、仮想通貨スタートアップを対象とした円卓会議シリーズ「Crypto on the Road」の開始を発表し、今後全米10都市で仮想通貨規制に関する意見交換を実施する計画を明らかにしました。
この円卓会議はSECの仮想通貨タスクフォースが主導しており、同タスクフォースを率いるヘスター・ピアース委員(共和党)が全米各都市を訪れ、さまざまなステークホルダーの意見を直接聞き取る方針です。
SECは、従業員10人以下かつ創業2年未満の仮想通貨(暗号資産)プロジェクトを主な対象としており、対象となる企業には各都市で開催される円卓会議への参加機会が提供されます。
シリーズの初回は8月4日にカリフォルニア州バークレーで開催される予定で、その後はボストン、ダラス、シカゴ、ニューヨーク、アーバイン(カリフォルニア州)、クリーブランド、スコッツデール(アリゾナ州)などを巡回します。最終回は12月5日にミシガン州アナーバーでの実施が予定されています。
SECは今回の取り組みについて「春にワシントンD.C.で開催された円卓会議に参加できなかった人々や、政策形成プロセスに関与する機会を持てなかった事業者の意見を積極的に聞きたい」と強調しており、仮想通貨規制が社会全体に及ぼす影響の大きさを踏まえて、より包括的な対話が必要との認識を示しています。
親仮想通貨派アトキンス氏が委員長就任
SECが仮想通貨業界との意見交換強化
初の円卓会議で仮想通貨規制に関する論点が浮上
SECの仮想通貨タスクフォースは2025年3月21日、ワシントンD.C.の本部で初の公開円卓会議を開催しました。会議では、仮想通貨が証券法の適用対象に該当するかどうかを中心に、仮想通貨規制に関する重要な論点が専門家らによって議論されています。
この会議でピアース委員は「春は新たな始まりを象徴する。SECの仮想通貨規制に対するアプローチも新たなスタートを切った」と述べました。この発言から、SECが従来の姿勢を見直し、業界との対話を重視する方向へ転換し始めていることが示されています。
当日の円卓会議には仮想通貨業界寄りの擁護派と規制強化を訴える懐疑派の双方が参加し、現行の証券規制の妥当性や新たなルールの是非を巡って活発な議論が交わされました。
擁護派側からは「イーサリアムなど仮想通貨トークンはアップル株とは本質が異なり現行法では実態に適合しない」として独自の規制枠組み策定の必要性が訴えられ、一方で懐疑派の専門家らは「既存の証券法で十分に対応可能であり新たな特例は不要」と反論して投資家保護を優先すべきだと主張しました。
全国巡回で仮想通貨業界の声を反映
こうした議論を踏まえ、SECは円卓会議の開催地を首都ワシントンD.C.にとどめず、全国に拡大する方針を示しています。
2025年4月にポール・アトキンス氏が委員長に就任して以降、SECは「執行による規制」から「明確なルール策定」へと方針を大きく転換しました。
これに伴い、ゲンスラー前委員長時代に提起された複数の仮想通貨関連訴訟が取り下げられ、一部のステーブルコインやミームコインについても証券規制の対象外とする動きが加速しています。
アトキンス委員長は上院の承認公聴会で「仮想通貨市場に合理的で一貫性ある規制体制を構築すること」を最優先課題に掲げています。また「SECにとって新たな時代の始まり」と述べ、仮想通貨業界に対する建設的な姿勢を明らかにしました。
こうした新方針の下、SECは全国各地の小規模事業者から直接意見を聞き取る今回の試みにより、今後の仮想通貨規制に多様な意見を反映させる方針を示しています。
米政府、仮想通貨政策レポートを公開
米政府とSECが仮想通貨規制に本格着手
ホワイトハウス、デジタル資産政策報告書を発表
2025年7月30日、ホワイトハウスの仮想通貨作業部会は、仮想通貨政策に関する報告書を発表しました。
報告書では、連邦議会に対して包括的な規制枠組みの整備を促すとともに、SECやCFTC(米商品先物取引委員会)などの当局に対しても、既存の権限を活用した仮想通貨取引の即時容認を求めています。
同報告書では、安全なセーフハーバー(規制のサンドボックス)の導入や分散型金融(DeFi)の潜在力にも言及されており、仮想通貨市場の健全な発展を後押しする措置が提言されました。
SEC、現物による仮想通貨ETF新規発行を承認
2025年7月29日、SECはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を対象とする仮想通貨ETFにおいて、初めて仮想通貨そのものでの発行と償還を認めました。
これまでは現金に限定されていたため、今回の決定は市場における重要な転換点とみなされています。
ポール・アトキンス委員長は「今回の決定は投資家のコスト軽減と市場の効率化につながる」と評価しました。SECはこの動きを、仮想通貨市場の規制環境と投資環境の双方を改善する重要な一歩と位置付けています。
今後の規制動向が、SECと業界関係者の対話によってどのような形で制度化されるのか、その動向が注目されています。
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Source:SEC公式声明
サムネイル:AIによる生成画像






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